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【当院の活躍する薬剤師たち #4】:鶴が丘ガーデンホスピタル

「患者さんにとって病院内のセクショナリズムは関係ない」

新連載「当院で活躍する薬剤師たち」第4弾は、東京都町田市にある鶴が丘ガーデンホスピタルにお邪魔して、精神科医で院長でもある後藤晶子先生と薬剤師の田原薬局長、船木先生、高木先生にお話を伺いました。

<後藤晶子院長と弊社田口>

同病院では毎朝、医師や看護師、薬剤師、リハビリテーションスタッフ、事務スタッフなどが一堂に会し、患者さんの状態や当日のオペレーションなどについて話し合っているそうです。狙いは縦割りのセクショナリズムを徹底的に排除すること。あらゆる情報について共通認識を深めることで多職種間の連携を強化し、最適な医療を提供するという姿勢がうかがえました。
こうした取り組みは臨床チームメンバー間の信頼感の向上や連携力の強化にもつながり、なんでも言い合える関係性を築くことで、患者さんやその家族が安心して治療に臨める環境づくりや院内の業務効率化にも影響を与えています。

インタビュー当日はなんと後藤先生からケーキの差し入れが!🎂
和気あいあいとした雰囲気の中、ケーキを囲みながらお話を伺いました。

差し入れのケーキ🎂とっても美味しかったです

▼病院のご紹介

鶴が丘ガーデンホスピタルは、東京都町田市に位置する200床の精神科病院です。「私たち、鶴が丘ガーデンホスピタル職員はこころ病める人と共に歩み、安心と安らぎのネットワークを作ります」という基本理念のもと、多職種協同で人情味のある、ひとりひとりに合わせた「手作りの医療」を展開しています。地域の方々にとって利用しやすく、早めに相談できる身近な「人生の伴走者」となり、当事者の方々がより安心して充実した人生を送れるようにサポートしています。

Q: 鶴が丘ガーデンホスピタルにおける病院薬剤師の役割を教えていただけますか?

後藤先生:当院には4名の薬剤師がおり、チームとして患者さんのケア向上に貢献しています。患者さんへの服薬指導はもちろん、患者さん向けの勉強会「心のカレッジ」や家族教育でも薬の説明を行っています。精神科領域の薬は、服薬に対する不安や抵抗感をもつ患者さんが多いため、その不安を取り除き、正しく薬を使っていただくために、薬剤師の説明は非常に重要です。

船木先生:精神科領域の薬は、依存してしまうとか副作用が強いといったイメージを持たれている患者さんが少なくありません。そのため、患者さんの不安を取り除き、治療が正しく受けられるような接し方は意識しています。例えば患者さんへの薬の説明について、電子カルテを通じて医師がどのような意図で処方しているかを理解したうえで、話をするよう心がけています。

他にも、作業療法士(OT)や事務、相談室のスタッフなど、さまざまな職種の考え方を理解し、それを薬に反映させることが病院薬剤師の役割であり、魅力だと感じています。また薬剤師がカンファレンスや家族会、「心のカレッジ」などにも参加し、患者さんとその家族に薬の正しい理解を促し、不安を軽減する役割も担っています。

田原先生:当院のような精神科では、スタッフが慌ただしいところを見せてしまうと患者さんもそれに反応してしまうことが多いため、常に落ち着いた態度を保つように意識しています。例えば、医師と異なる言葉で薬剤師が患者さんに説明してしまうと、不安が増してしまいます。患者さんが混乱しないよう、医師と同じ言葉を使うことを意識していますね。

Q: 他職種の理解促進がかなり浸透しているのでしょうか?

後藤先生:そうですね。多職種との連携こそ患者さんやご家族にとっての最適な医療を提供するカギだと考えています。当院では毎朝9:30、医師や看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、事務スタッフなど患者さんに関わる全ての方が集まり、当日のオペレーションや患者さんの状態について話し合い、共通認識を持って行動しています。これにより、万が一トラブルが発生した際にも全員で対処することができるなど、医療というサービスにとって必要不可欠な要素です。

Q: 精神科の薬剤師を志された理由は何でしょうか?

船木先生:私は小さい頃から地方の過疎地域で育ちました。人口が少ないため精神科の患者さんを支える側、支えられる側としての余裕がなく、病気があろうがなかろうがその地域の住民として暮らしていくのが当たり前だったんです。こうした経験から、精神疾患を患っている方が幸せに生きられる社会は、みんなにとっても生きやすい世の中だと感じ、そのような仕事に就きたいと新卒で精神科の病院薬剤師を志しました。

結婚を機に東京に来たため、新卒で入った病院は辞めてしまいましたが、その際に鶴が丘ガーデンホスピタルを紹介していただきました。当時、薬局長(田原先生)のインタビュー記事を読み、上下関係なく一人ひとりの薬剤師の意見を尊重してくれるなんてさっぱりした方なんだろうと思い、ここで働こうと決めました。

高木先生:私は産後の復帰先として職場を探していました。当院を見学した際に雰囲気が良かったこと、あと私も薬局長のインタビュー記事を読んでいいなと思い、当院で働くことに決めました。「病院薬剤師」と聞くと、総合病院での夜勤や慌ただしさ、給与の低さなどのイメージがあるかもしれませんが、当院は子育て世代でも働きやすい環境が整っていることが魅力だと思います。

Q: 非常に和気あいあいとした魅力的な環境だと感じますが、職場づくりで意識されていることはありますか?

田原先生:言いたいことを言い合える環境づくりを意識しています。
言いたいことが言えずに業務に支障が出ると、最終的には患者さんの安全に影響を及ぼします。そのため、スタッフが自由に意見を述べることができる環境を大切にしています。

また、病棟においても他職種の意見を尊重し合い、意見をすり合わせることで、医療職としてのスキルも向上し、結果として患者さんに良い治療を提供できると考えています。他の先生方もセクショナリズムの徹底的排除を仰っていましたが、まさに病院全体で意識づくりができているというわけです。病院は規模や診療科目により仕事内容や雰囲気が異なりますが、当院のような単科病院もあることを知ってもらいたいです。

<田原先生>

Q: 最後に、読者の方々へのメッセージをお願いいたします

田原先生:病院という場所は、その規模や診療科目により仕事内容や雰囲気が大きく異なります。当院のような精神科病院では、スタッフが慌ただしい姿を見せると、患者さんもそれに反応してしまうことが多いので、常に落ち着いた態度を保つことを意識しています。

薬剤師は医療以外にも多くの分野で活躍できる場があり、働く守備範囲が広いです。病院薬剤師に対する敷居が高いというイメージを少しでも低くできるよう、情報を発信していければと感じています。

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