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勝手に予想乙女たんnote-血液透析で抜けそうなお薬ってどんなものですの?

一般の方でもご存知の方は多いかもしれませんが、何かの病気などで腎臓が働かなくなりますと、本当は尿と一緒に体外に排出されるべき不要なモノが身体の中にどんどんと溜まっていってしまいますの。

そこで登場するのが「人工透析」ですわ!

簡単に申し上げますと、人工的に作られた体外の『人工腎臓』ですわ。
腕から機械に血液流して、綺麗になった血液を再度身体に戻していきますの。

科学つよい!ですわ!!

(まぁ、とても疲れたり、血圧が変動しやすかったり、完全に腎臓と同じほどに綺麗にできるわけではないということもありますけれど……)

それでもやっぱり科学つよい!ですわ!!


ではそんな人工透析に『薬学』がどのように関わってくるかなんですけれど、まず第一の前提として腎臓にとってお薬は「排出されるべき異物」だということですわ。
つまり、腎臓の代わりである人工透析でもお薬が除去されてしまいますの。

でもでも!本当に難しいのはここからですわ!
なんとこれも腎臓と同じで、お薬によって除去されやすいお薬と、除去されにくいお薬がございますの!
多くのお薬では実際に測定することで、どの程度人工透析で除去されるのかは判明しておりますわ。

け!れ!ど!そういったデータがないお薬もまたたくさんございますわ!

そこで今回は、どのようなお薬が除去されやすいのか!
勝手に予想していきますわ!

「どんなお薬が人工透析で除去される?」


ー予想ポイント ① 【分子量:分子の重さ】ー
人工透析をとっっっっても単純に申し上げますと、薄い膜で膜で濾しとるこということですわ。
と言うことは、とっても大きい分子はその薄い膜を通り抜けることができませんの。ではどれくらいの分子量だと通り抜けられなくなるのかしら?

ヒントは血液の成分ですわ。

血液中には様々なタンパク質が存在しておりますので、これを指標にしてみてはいかがかしら。

アルブミン ー 分子量:6,6000 - 透析で除去されませんわ!
グロブリン - 分子量:3,3000 - 透析で除去されますわ!

どうやらこの二つの間に境がありそうですけれど、少なくとも分子量33000までは透析で除去される可能性があるということが推理できますわ!さすが薬学乙女たんbot!名推理!!

……なんて思いましたけれど、ほとんどのお薬の分子量は500程度ととても小さいですので、実際の臨床現場で分子量を考慮する必要はなさそうですわ。

せっかく名推理だと思いましたのに…。


ー予想ポイント ② 【タンパク結合率:薬はアルブミンにくっつきます】ー
先程も登場いたしました『アルブミン』ですが、お薬の中にはこのアルブミンと仲が良くてすぐくっ付いてしまうものもありますの。
それでは思い出してくださいませ。アルブミンは透析で除去……

……されません!

つまりアルブミンに結合している薬物も除去されにくくなりますわ。

タンパク結合率 高 ≒ 透析除去率 低

だと推理いたしますわ!



この推理は正しそうですわ!やりましたわ、名推理!!



ー予想ポイント ③ 【分布容積:お薬は血管の外に出てしまうことも】ー
お薬の中には血液中よりも、肝臓や筋肉などの組織の細胞の中の方が好きというものもございますわ。そういったものでは分布容積が大きくなりますわ。
※分布容積:組織に移行しやすいお薬はこの値が大きくなっていきますわ。逆に血液中だけですと血液の容量(3-6L程度)になりますわ。

それでは分布容積が大きい薬は、お薬の多くが組織に移行してしまっているため「血液を綺麗にする人工透析」では、なかなか除去されないはずですわ!

分布容積 大 ≒ 透析除去率 低

だと推理いたしますわ!

この推理は先程と違って直線的な関係ではありませんね…。
けれど、5 L/kgを超えると急に透析除去率が低くなりますので、『5 L/kg以上は除去されない』と考えれば私、正解ですわ!!
(※私も詳しくありませんが、ROC分析を用いるとカットオフ値を推定できると伺ったことがありますが、こういったものにも用いることができるのかしら?)

正確なことはわかりませんが、重ねて推理させていただきますと、分布容積が小さい薬剤には『タンパク結合率 大』の薬物が多く存在しておりますの。
つまり、分布容積が小さい薬物でもタンパク結合率が高ければ透析で除去されなくなりますわ。その部分を考慮して検討を行えば、分布容積と透析除去率の関係がもう少し明らかになるかもですわ。

とりあえず!たぶん名推理!ですわ!!



あくまでざっくりとした「除去されやすそうか、されにくそうか」程度ではございますけれど、もし透析除去についてのデータがない場合には、

1. (高分子医薬品だけ) 分子量
2. タンパク結合率
3. 分布容積

この3つを使って推定してみてもいいかもしれませんわ。


ということで、今回はここまで。
次回もまた薬学っぽいサイエンスをアウトリーチしていきますわよ。
それではまたね、ですわ。

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