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血糖を下げるGLP-1は直訳すると「グルカゴン様ペプチド-1」・・・グルカゴンって血糖値を上げるホルモンやぞ?あれれ?

 GLP-1はインクレチンの一種で、インクレチンは現在、以下の2種類が同定されている。
 GLP-1(Glucagon Like Peptide-1:グルカゴン様タンパク1)
 GIP(Glucose Dependent Insulinotropic polypeptide:グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)
 いずれも高血糖時のみ分泌され、DPP-4で速やかに代謝されるため血中半減期が非常に短い。

 GLP-1
 小腸下部のL細胞から分泌される。
 半減期は1~2分。
 膵臓ではインスリン分泌促進(β細胞)の他、グルカゴン分泌抑制(α細胞)やβ細胞保護の作用がある。
 その他の臓器では、食欲抑制(体重減少)や胃排出速度抑制、肝グリコーゲン合成酵素産生促進などの作用も確認されている。
 2020年1月現在、「リラグルチド」・「エキセナチド」・「リキシセナチド」・「デュラグルチド」という4種のGLP-1受容体作動薬(いずれも皮下注射薬)が市場に出ている。
 リラグルチド(ビクトーザ®)には体重減少の効果も期待できるという報告もある。

 ところで、GLP-1は「glucagon like peptide-1」の略で、直訳すると「グルカゴン様ペプチド-1」となるが、グルカゴンは血糖値を上げるホルモン。

 ややこしい命名をするんじゃねぇー!

 なぜこのような命名になってるかというと、グルカゴンと同じ遺伝子proglucagonの配列から作られるため。
 以下は、GLP-1の模式図と、化学構造式。

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 GIP
 グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(Glucose Dependent Insulinotropic polypeptide)
 小腸上部のK細胞から分泌される。
 半減期は5分。
 膵臓ではインスリン分泌促進とβ細胞保護の作用がある。
 その他の臓器では脂肪細胞に作用して脂肪蓄積促進(体重増加)や骨芽細胞に働いて骨形成などが確認されている。
 GLP-1と違い、GIPに関する医薬品はまだ開発されてない(2020年1月現在)。

仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。