「亜鉛華軟膏」と「亜鉛華単軟膏」の違いまとめ。ついでに「フェノール亜鉛華リニメント」の情報も。
比較内容は上表の通り。
効能効果、用法に違いはない。
亜鉛華軟膏は白色ワセリンが基剤だが、単軟膏の方はそれ自体が基剤になっている。
その違いのため、「亜鉛華軟膏は浸出液を吸収するが、亜鉛華単軟膏はほとんど吸収しない」という使い分けがある。
主成分である酸化亜鉛の配合比率が、亜鉛華単軟膏は10%、亜鉛華軟膏は20%というのも特徴。・・・でも! サトウザルベ軟膏だけは20%でも単軟膏に分類されている模様・・・ってことは、「単」かそうでないかの違いは酸化亜鉛の濃度ではない??
それ以外の配合成分ではこれといって、ルールのようなものは見当たらない。
まとめイメージ → ジュクジュク傷には「単」じゃない方!
やけどには亜鉛華軟膏、おむつかぶれには単軟膏という感じか。
冒頭表の適応症にある「面ぽう」・「せつ」・「よう」とは以下の通り。
「面ぽう」は、毛穴が皮脂で詰まった状態のこと。「コメド」や「白ニキビ」・「黒ニキビ」ともいわれ、ニキビの一歩手前の状態。
「せつ」は毛包の炎症(毛1本分)で、「よう」は複数本の毛包が炎症を起こした状態で「せつ」の悪化ver.ってとこ。
フェノール亜鉛華リニメントの詳細は下表の通り。
こちらは製品ごとの相違はない。
ちなみに、フェノール亜鉛華リニメントはドイツ語で「Karbol Zink Linimente」と表記し、「カルボール チンク リニメント」と読む。
なので、カチリと略される。
この「Karbol」がフェノール(phenol)のことで、別名「Carbolic acid(石炭酸)」とも呼ばれ、そのためカチリは「石炭酸亜鉛華リニメント」と表記されることもある。
カチリの薬効薬理は、カチリ「ホエイ」®の添付文書によると以下の通り。
フェノール(2%)の防腐、消毒、鎮痒作用と酸化亜鉛の収れん作用のほか、皮膚面に塗擦すると水分が蒸発してトラガントの薄膜が残り、皮膚を保護する作用を有する。
仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。