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小児にロキソプロフェンが処方されたら、そのまま調剤する?

 添付文書上、禁忌にはなってないが、臨床で小児へのNSAIDs処方を見る機会は少ない。
 ロキソプロフェンの場合、用法用量には「通常、成人に・・・」と記載があり、また「年齢により適宜増減・・・」と記載はあるが、明確な小児用量が記載されていないために表題のような見解になっているものと思われる。

 下記疾患の解熱・鎮痛急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)場合
 通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mgを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として 1 日 2 回までとし、 1 日最大180mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
(ロキソニン®の添付文書より)

 まあでも、小児用量がなくても10歳以上くらいなら15歳以下でもNSAIDsを投与することなんて結構ありそうだが・・・?
 とりあえず、NSAIDsの添付文書の小児投与に関する記述をリストアップしてみた。

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 インドメタシン系は15歳以下は原則禁忌。
 その他のほとんどは、「使用経験がない」・「安全性未確立」を理由に慎重投与となっている。
 小児用量が明記されていたのはポンタールとブルフェンのみ。
 でもポンタールはインフルエンザ脳症の関係で小児のインフルには使えない。
 サリチル酸系(アスピリン、エテンザミド、PL)、ボルタレンも同様にライ症候群やインフルエンザ脳症の関係で小児のインフルには使用不可。
 インドメタシン系がインフルやライに関係なく小児には原則禁忌だが、それ以外のNSAIDsは安全性未確立と理由のみで慎重投与になっている。
 よって、インドメタシン以外は小児に使えなくはないが、堂々と使えるのはブルフェン・ポンタールのみということ。

 インフルエンザ脳症やライ症候群発症予防で、アスピリンやボルタレンが15歳未満(小児)のウイルス感染症に原則禁忌になっているので、そこから「NSAIDsは15歳未満には使えない」という拡大解釈に波及しているものと思われる。

 ちなみに、ナイキサンは安全性未確立が1歳以下だけなので、2歳以上は使用可能?
 また、ソランタールも小児には安全性未確立とはされておらず、慎重投与ではあるが他のNSAIDsよりは使いやすいのではないかという印象を受ける。

【2017/11/11記載】

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薬備(ヤクビ)〜保険薬局薬剤師のアカデミック備忘録〜鎌田貴志
仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。