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ソコタノ日記:買ってよかった絵本「ころべばいいのに」

「ヨシタケシンスケ展かもしれない」に行って来た。

1/10に静岡市清水文化会館(マリナート)で開かれている「ヨシタケシンスケ展かもしれない」を妻と観に行ってきました。この展覧会、実は、昨年、福岡に旅行に行った時に観て来たものです。あまりに楽しかったのでせっかく地元でやっているんだから、観ないわけにはいくまいと考えて観に行くことにしました。
もう少し言ってしまえば、福岡旅行の前に東京に遊びに行った時、東京でやっていたので行こうと思ったら、もう当日券では入場できないということで、あきらめたものでもありました。……福岡で観られてラッキーって感じでしたし、さらに地元の清水で観られて4倍ラッキーって感じです。
「ヨシタケシンスケ展かもしれない」は、本当に楽しい展覧会で、もしこれからお近くで開かれることがあったら、ぜひお出かけになることをおすすめいたします。(長野、神奈川、岡山で開かれるようです。)

お土産に絵本「ころべばいいのに」を買った。

「ヨシタケシンスケ展かもしれない」のお土産として絵本「ころべばいいのに」を購入してきました。この本は、前から知っておりましたし(何しろ小学校の教員でしたから)、妻が、孫に買い与えてもおりました。内容も知っておりましたが、それでも、自分用にほしいと思って購入しました。
ヨシタケシンスケさんの数ある絵本の中で、自分が一番好きな本なのだと思います。
まず、「ころべばいいのに」というタイトルが最高でしょう。ヨシタケさんらしいと思います。

絵本「ころべばいいのに」はアンガーマネージメントの本

「ころべばいいのに」の主人公は女の子です。名前は書かれていません。全体にわたって女の子の内言で話が展開していきます。
人にイヤなことをされて、そのイヤな気分に自分でどう対処していくかをユーモアの要素を入れながらも深く考察していく感じのお話です。
イヤな思いをさせた人間に対して

みんな いしにつまずいてころべばいいのに。

と女の子は考えます。その気持って、誰もがもつものじゃないでしょうか? 「死ねばいいのに」ではなく「ころべばいいのに」くらいにおさえているところがステキです。
彼女はイヤな思いをさせられ腹を立てているのですが次のようにも考えます。

きらいなひとのせいで ぜんぜん たのしくない。
イヤだったことを どんどん おもいだしちゃうし、
「わたしって、ダメなの?」って、じぶんのことも
どんどん きらいになっちゃうし。

ああ、だれかを にくんでいるじかんが もったいない!

この気分、よーく、よーくわかります。こんなに短い文で腹を立てている自分のことを表現っできるってのはヨシタケさんの感性がするどいからなのだと思います。

で、女の子は、きらいなひとはなにかにあやつられているんじゃない? と考え、人を操る怪物を想像します。その怪物には固有名詞としての名前がついていません。というか、「アイツ」と表現されているだけです。……「アイツ」が名前と考えていいのかもしれません。

ヨシタケシンスケ展で展示されている「アイツ」

このアイツについての考察がなかなかおもしろいのですが、それは、また絵本で読んでいただいた方がいいでしょう。

女の子は最後に次のように考えます。

きっと このさき、おとなになっても きらないなひとは いるかもしれない。
でも、いたっていいわよね。

嫌いな人やイヤなことはなくならない。けれどそれをおそれることも、否定することもしないのです。

だって、ちゃんと かんがえたり、ちゃんと そのばしょから にげたり、
ちゃんと むかいあったり。どうするかは じぶんで きめられるんだもんね。

「かんがえる」のと「むかいあう」のの間に「にげる」があります。それも
「ちゃんと」がつけられています。「にげる」ことも「かんがえる」「むかいあう」に劣る行為じゃない、同じ高さという扱いなのです。
そして、どうするかは自分で決められるといっているのです。
ここに女の子の自主性、主体性が表れています。逃げる行為も主体的な行為の一つであり、自分で選ぶならそれでもいいというわけです。

ちゃんと、できるようになろうっと。

この言葉が大事なのだと思います。嫌な人に出会ったり、嫌な思いをさせられたりしても、自分で対処する人間になろうっとする。誰かにゆだねるのではなく、自分の気持ちは自分でなんとかする(逃げるのを含めてです)人間になろうと女の子は考えるのです。

アンガーマネージメントの手法はいろいろとあるのでしょうが、いずれにしろ自分という主体をちゃんともたなければならない! ってことが伝わってきました。

絵本ではありますが、大人の鑑賞に十分たえる名作だと思っております。

おすすめですよ。

で、おまけですが……。

もうひとつのお土産「アイツ」のぬいぐるみ

展覧会では、絵本の他にいろいろとお土産を購入しました。そのひとつが、アイツです。

アイツのぬいぐるみ(小)

これが、なかなかにかわいらしい。ぷっくり膨らんでいるお腹がなんともいえません。
妻は、ショルダーバッグを少し改良して、フタにスナップを付け開閉できるようにし、中に、紙製のコインを入れました。(絵本の中でのアイツは、コインを集めます。)
ちょいといじわるなところがあるので、やりたい放題の4歳の孫娘の名前をあだ名につけました。
この画像を孫娘のところに送ったところ「ぬいぐるみを送って」と要求! もう自分のものと決めつけてしまいました。ぶんどられること決定です。……だから、お前の名前をつけたんだよ! って言ってやりたい。
むすめは絵本「ころべばいいのに」を妻からもらっているのでたのしみにしているようです。

台所のカウンターにすわっているアイツ。どこに置いてもなじんでいる。

現在、アイツは、我が家の台所のカウンターの上にちゃっかり座っています。(自立して座れる? ように作ってあるのはさすが!)
なんかなじんでいる感じです。
嫌な人や嫌なことはどこにでも存在するってことなのかもしれません。でも、それゆえ、それらとうまーく付き合えるような「自分」を育てていくのが大事なのでしょう。

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