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ケアマネージャーとシステムエンジニアの共通点

まずは自己紹介から

初めまして、ダイスケです。居宅ケアマネジメント事業所でケアマネとして働いて約6年になります。
ケアマネの資格を取るまでは、デイサービスや介護老人保健施設、特別養護老人ホームで介護職をしていました。その間に通信制の福祉系大学で学び、資格取得(介護福祉士と社会福祉士)もしています。

ここまでが私の介護業界でのキャリアとなりますが、実は同じくらいの期間、IT業界でプログラマ・システムエンジニアとして働いていました。
この経験が、ケアマネの仕事にたいへん役立っています。

ケアマネとシステムエンジニアは似ている

私がケアマネの仕事を始めてから最初に受けた印象です。
「えー?利用者と機械を一緒にするのかよ!」
と不審に思われた方も多いかと思われますが、実はシステムエンジニアの仕事は、顧客や担当者との調整作業と設計書の作成が大半を占めています。ある程度の規模のプロジェクトでは、PCに向かってプログラムコードを書く作業はプログラマの役割となります。プロジェクトの規模や開発手法により違いはありますが、基本的な開発の流れは以下の通りです。

  1. 要件定義
    システムが何をするか、ユーザーが何を求めているかを詳しく決めます。

  2. 基本・詳細設計
    システムの全体像を考え(基本設計)、それを実現するための具体的な方法や手順を決めます(詳細設計)。

  3. 開発
    実際にプログラムを書いて、システムを作っていきます。プログラマが開発することが多く、また既存のパッケージを導入する場合、この工程は省かれることもあります。

  4. 詳細・結合テスト
    作ったシステムやプログラムが正しく動くかチェックし(詳細テスト)、全体としてしっかり機能するかを確認します(結合テスト)。

  5. リリース・運用
    システムを実際に使い始めます。問題があれば対応しながら運用を続けます。

  6. 改善・バージョンアップ
    ユーザーからのフィードバックを基に、システムを更新したり、より良くするための変更を加えたりします。ここから「1.要件定義」に戻りループします。

この中でも特に重要なのが要件定義、ここでユーザーから課題や希望を聞き、言語外のニーズを読みとって機能を提案、予算から外れる事や契約上できない事はその旨伝えて納得してもらい、まとめたニーズや解決したい課題を設計に落とし込む… 何となくケアマネのアセスメントや課題分析に似ていませんか?
各工程をケアマネ業務に変換すると、以下のようになります。

  1. 要件定義(導入・アセスメント)
    アセスメントで利用者や家族のニーズを理解し、ケアの目的や目標を設定するプロセスが該当します。

  2. 基本・詳細設計(課題分析・ケアプラン作成)
    基本設計に相当するのは、ケアの全体的な方向性を決めるプロセスです。詳細設計は、具体的なケアプランの策定、どのような介護サービスが必要か、どの事業所が関与するかなどを決めるステップです。

  3. 開発(サービス事業所選定)
    介護サービスをケアマネが直接提供する事は無いので、ニーズを満たす事業所を探し、実施依頼を行います。パッケージの導入に近いものになります。

  4. 詳細・結合テスト(サービス内容調整・利用者確認)
    各サービス事業所と実施内容について調整し、サービス内容を利用者や家族に確認を取ります。主に担当者会議で実施します。

  5. リリース・運用(モニタリング)
    ケアプランの実施を開始し、日常的な管理とモニタリングを行う段階です。この時期には、プランの実行を監視し、必要に応じて迅速な対応を行います。

  6. 改善・バージョンアップ(再アセスメント)
    ケアの結果や利用者からのフィードバックに基づき、ケアプランを見直し、改善策を講じるフェーズ、ここからアセスメントを実施し、ループします。これにより、より効果的なケアプランへと更新していきます。

システム導入・運用と介護サービス導入・運用の違いはありますが、各工程を抽象化すると、異業種であっても似通った業務の進め方になっていることが分かると思います。

そして共通することがもう1つ。

お客さんに喜んでもらえるとうれしい!

これはどの仕事にも言える事ですが、取り組んで来た事に効果が現れ、ユーザーに認めてもらうことは、私にとっては何よりやる気が出る瞬間です。システムエンジニアの時は、対企業や2次請け案件もあり直接ユーザーの声を耳にすることが少なく「仕様を満たすように作ったから問題ないですよね」といった無味乾燥なやり取りをするような場面が多かったのですが、ケアマネジメントでは直接ユーザーである利用者の反応を聞くことができます。
不満な点なども直接聞くことができ、自分自身で対策を立てることができるという点では、エンジニア時代に仕様変更などの調整でさんざん苦労した身としては、たいへんやりやすいと感じています。

もっと改善できることがあるはず

ただ問題点もあります。
ケアマネの仕事を始めて実感したのは「何でこんなに効率悪いの?」という点でした。

  • 書類は基本的に紙ベース、毎年大量の書類が発生し管理が大変

  • 書類のやり取りは郵送かFAX、毎月の提供票送信は地獄…

  • やる事はケアマネ手帳で管理するそうだが、各利用者ごとにやる事・やった事を把握しきれない 等々

ケアマネ仕事に慣れないうちは先輩のやり方に倣って仕事していましたが、書類作成や管理にかなり時間を割かれており、肝心の利用者に向き合う時間がありません。「これは何とかしないと…」と危機感を持ち、管理者と相談しながら手を付けられる所からIT化を行い、業務効率向上を図る事になりました。
現時点での主なIT化成功例は「LINEWORKSの導入運用」「書類の完全データ化」「提供票の月次FAX全自動化」となります。これらについても随時投稿していこうと思います。

今後の投稿では、日々のケアマネ業務で行ってきたIT化による改善の例の紹介や、エンジニア視点で考えるケアマネジメント効率化について書きたいと思います。
また、生成AIがすごい勢いで能力を伸ばしている状況において、ケアマネージャーの業務へどのように取り込めるか。実例や可能性の考察を含めて考え方を発信していきたいと思います。

こんな方々に読んでほしい

ケアマネージャーを始め介護福祉関係の方、IT化やAIについて興味があるけれど、何をすれば効率化できるのか分からない。IT用語は難しすぎて何が何やら…といった方のお役に立てるような、私が実際に取り組んでみた実践的な情報を発信していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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