4月7日(金)~12日(水) 日記は天に捧げるもの
4月7日(金)
金曜は本が取次からたくさん届く日なので、店で品出しをした。
たくさんの段ボール箱に詰まった本を、それぞれ棚に分類していく。もともと本棚を整理するのがすごく好きなので楽しい。どういう種類の本が動いているのか、というのを見れるのも楽しい。
あさって、下北沢の日記祭というイベントで対談をするので、古賀及子さんの『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』を読む。
子どもたちとの暮らしを描いた日記本なのだけど、やたらと面白い。
面白さが濃い、というか退屈な文章がなくて、次々とテンポよく面白が繰り出されていく。これはデイリーポータルZという面白の激戦区で鍛えられてきた人ならではなのだろうか。ネットだとすぐに読者が離脱するからこれくらいの面白さを求められるのか、と思うとちょっと恐怖を感じるほど。紙の本からは出て来ない文章な気がした。
4月8日(土)
名刺が出来上がったので店に取りに行って、そのついでに後半4時間店番をした。
ずっと閉まっていた地下のルネッサンスという喫茶店が久しぶりに開いていて、コーヒーの差し入れをいただいた。美味しい……。今度店も行ってみよう。
暇なとき、短歌の本にポップをつけていっている。ちくま文庫で出た砂丘律は売れ行きがいい。
上のも好きだけど、結局下のほうにした。
こういう歌は僕ののんきな字が合わないような気もする。
4月9日(日)
日記祭のために下北沢のBONUS TRACKへ。
今日はトークイベントに出るほか、ブースで自分の日記も販売する。
いつも文学フリマとかで売っているので本を売るのは慣れているけど、屋外というのは初めてかもしれない。
ちょっと風が吹くと軽い本は飛ばされそうになる。
隣のブースの古賀さんと、本の上に重しとして置く石がほしいね、と言い合う。この瞬間に、ちょうどいい感じの石を売る人が来たら買っていたと思う。石売りのビジネスチャンス。
日記祭、思ったより人が多くてにぎわっていて、楽しい感じだった。文フリはベイサイドの倉庫しかないようなところでやるので、本当に「同人誌を買うぞー」って人しか来ないけれど、ここは下北沢の街なかなので、いろんな人が休日にぶらっと来れる感じでいい。周りで美味しそうな食べものや飲みものもたくさん売っているし最高。
古賀さんのトークイベントは盛り上がった。
僕と古賀さんが同世代でずっとネットで日記のようなものを書いてきて思ったことなどをいろいろ。
僕はシェアハウス日記を書いたものを本にしていて、みんなシェアハウスの生活は物珍しいからそれには興味あるかもしれないけれど、今はただの中年一人暮らし日記なので、みんな興味ないんじゃないか、という不安さがある。ということを言ったら、古賀さんも同じことを考えているという。
古賀さんの日記本は子どもとの生活を書いたものだけど、子どもが出てこないものを書いてみたい気持ちもある。でも、そうすると「育児もの」として読んでた読者は離れてしまうんじゃないか、と恐れているらしい。
「古賀さんの日記は、子どもが出てこなくても面白いと思う」と言ったら、古賀さんにも同じ言葉を返された。二人で「ただの中年日記」をやっていこう、という約束をした。
あとは古賀さんは日記を「天に捧げるもの」として書いている、という話が面白かった。神さま見てますか! 人間はこんなに楽しく生きていますよ! どうぞお納めください! という感じらしい。
そのへんは僕と全然違って面白かった。僕の日記は半分くらい自分向けで、半分は読んでくれる人たち向け、という感じだろうか。
僕も、エッセイとか短歌とか作品を作るときは、少し「天に捧げるもの」という感じがあるかもしれないけど、日記にはないな。
このイベントは日記祭で、祭りというのは神に捧げるものなので、そういう感じでやるのはいいかもしれない、みたいな話をして、一時間のトークは無事終わった。
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