Q&A 親子ローンって何?親子ペアローン・親子リレーローンの特徴とメリット・デメリット
親子ローンとは、1つの住宅を購入する際に、親子二世代で住宅ローンを組んで返済していく借入方法のことを指し、「親子ペアローン」と「親子リレーローン」の2種類があります。
親子ローンを取り扱っている金融機関の多くは「親子で同居すること」を条件にしています。そのため、二世帯住宅を親子で共同購入する際に利用されるのが一般的です。
親子で住宅ローンを組むことで、一般的な住宅ローンと比較して借入金額を増やせたり、返済期間を長くしたりすることが可能になるため、メリットばかりに注目しがちです。しかしながら、親子ローンを利用することによるデメリットも存在するため、全体像を正しく理解したうえで借り入れを行わないと、返済が難しくなってしまったり、返済不能に陥ってしまったりといったリスクもあります。
本記事では「親子ペアローン」と「親子リレーローン」がどのような仕組みの住宅ローンなのかと、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
1.親子ペアローンとは
「親子ペアローン」とは、1つの不動産に対して親と子が個別に住宅ローン契約を結んで返済していく方法。のちに解説する「親子リレーローン」は親と子で返済をスタートする時期が異なりますが、親子ペアローンでは親と子が同時に返済をスタートします。
1)親子ペアローンのメリット
「親子ペアローン」を利用するメリットは大きく分けて3つ。「借入金額を増やせる」こと、「親子がそれぞれ団体信用生命保険に加入できる」こと、そして「親子がそれぞれ住宅ローン控除を受けられる」ことです。
(1)借入金額を増やせる
親子ペアローンでは、親子がそれぞれ住宅ローン審査を通過する必要がある分、親子リレーローンよりも収入面の審査が厳しいという側面があります。審査が厳しい分一度に借り入れられる金額も高くなるため、リレーローンよりも借入金額を増やせるのです。また、親子が別々にローン契約を結ぶため、借入期間や金利を一致させる必要もなく、それぞれ違った条件での借り入れが可能です。
(2)親子がそれぞれ団体信用生命保険に加入できる
「団体信用生命保険」とは、住宅ローン債務者が返済中に死亡したり高度障害になったりした場合に、保険金によって住宅ローン残債を返済できるという制度です。
「親子ペアローン」においては、親と子がそれぞれ団体信用生命保険に加入できるため、一方が死亡したり高度障害になったりした場合に、もう一方に返済の負担がかかることはありません。
(3)親子がそれぞれ住宅ローン控除を受けられる
親子ペアローンでは住宅ローンが2本になるため、親と子のそれぞれが住宅ローン控除を受けられるという点も大きなメリット。住宅ローン控除が適用されると、新築住宅購入の場合は13年間、既存住宅購入の場合でも10年間の所得税控除を受けられます。控除金額は毎年12月31日時点での住宅ローン残債の0.7%、年間で最大35万円にも及ぶため、大きな節税効果があるという点は押さえておきましょう。
2)親子ペアローンのデメリット
次に、親子ペアローンを利用する際に注意したいデメリットは「お互いに連帯保証人になる必要がある」ことと、「契約時の諸費用が2倍かかる」ことが挙げられます。
(1)お互いに連帯保証人になる必要がある
「親子ペアローン」を利用する場合、契約時にお互いがお互いの連帯保証人になる必要があります。つまり、一方が返済を怠ったり収入の減少によって返済不能に陥ったりした場合に、もう一方がその返済分をすべて背負わなくてはいけなくなります。
(2)契約時の諸費用が2倍かかる
住宅ローンを組む際には、金融機関が定める事務手数料などの諸費用が発生します。契約が1本である「親子リレーローン」とは異なり、「親子ペアローン」は契約が2本になるため、融資を受けるための手数料や諸費用も2倍かかります。金融機関によって金額に違いがあるため、しっかりと比較して決めるようにしましょう。
2.親子リレーローンとは
「親子リレーローン」とは、親子で1つの住宅ローンを契約し、リレー形式で返済していくローンのことを指します。住宅ローンを組んで最初のうちは、親が主債務者として返済し、子は連帯債務者または連帯保証人に入ります。親の返済期間はリレーローンを組んだ時に決めておき、期間が終わったら子が連帯債務者として返済をスタートするという方法です。
1)親子リレーローンのメリット
親子リレーローンは、大きく分けて下記2つのメリットがあります。
1.子が若いうちからローンを組める
2.親が高齢でもローンが組める
1つずつ詳しく解説します。
(1)子が若いうちからローンが組める
親子リレーローンでは、最初に親が返済を行い、一定期間が経過すると子供に債務が移る仕組みになっています。若いうちは収入が低く返済に苦労するケースも多いですが、親子リレーローンを利用することで、親の返済期間が終わるまでは子に負担がかからないという点が大きなメリットです。
(2)親が高齢でもローンを組める
住宅ローンは75~80歳までに完済できることを条件としている金融機関が多いため、申込者が高齢の場合はローンを組めないことがあります。親子リレーローンでは子がローンを引き継ぐことから、子の年齢を基準にしてローンを組め、返済期間を長くすることが可能になるのです。返済期間が長ければ、その分月々の返済金額も抑えられることにもつながります。
2)親子リレーローンのデメリット
借入金額を増やし、返済期間を長くすることができる親子リレーローンですが、利用にあたってのデメリットももちろん存在します。親子リレーローンのデメリットは大きく分けて下記の2つです。
・団体信用生命保険に加入できるのは子どものみ
・新しいローンを組みにくい
順番に解説していきます。
(1)団体信用生命保険に加入できるのは子どものみ
親子リレーローンの場合、団体信用生命保険に加入できるのは子どものみとしている金融機関がほとんどです。つまり、子が死亡したり高度障害になったりした場合には、子が返済する分の住宅ローン残債は保険金によって賄われますが、親の死亡・高度障害の場合には、子がその分を返済しなくてはいけなくなります。親子がそれぞれ団体信用生命保険に加入できる親子ペアローンと比較すると、親子リレーローンは子にかかる負担が大きい住宅ローンだと言えます。
(2)新しいローンを組みにくい
親子リレーローンの借り入れを行った時点では同居し続ける予定でいても、ライフステージやライフプランの変化により、別居を余儀なくされることもあるでしょう。子どもが結婚や転職・転勤のために新しく住宅を購入することになった場合、親子リレーローンの返済が終わっていないと、新しく住宅ローンを組めない可能性もあります。
まとめ
親子ペアローンと親子リレーローンは、親子で一緒に借り入れを行う住宅ローンということで混同されがちですが、それぞれにメリット・デメリットがあり、借り入れられる金額や設定できる返済期間も異なります。どちらのローンタイプが適しているかは、借り入れを行う人の収入や年齢などによっても大きく異なります。また、住宅購入時は同居し続けることを前提としていても、将来的にライフプランが変化したり、転勤や結婚などで別居を余儀なくされたりするケースも考えられます。同居を継続できなかった場合にローンの扱いがどうなるかも含めて、まずは金融機関のローン担当者にしっかりと相談しましょう。
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