いろは句会2(ポルノグラファー編)

FOD配信ドラマ「ポルノグラファー」の俳句を、いろは順で吟じていこうという句会です。世話人も含め初心者ですので、ルールみたいなものとして、
①ポルノグラファーの俳句であること
②季語、切れ字についてはこだわらない(しかしあったほうがよい)
③17字にまとめる努力を(定型詩という形へのリスペクトを)
④誰かと読む句が重なってもかまわない
というざっくりしたものを定めて、恒例のいろは順に投句していく形で開催しました。


【い】
いたずらな嵐景色を塗り替えて(アヤカタソ)
【ろ】
朗読の魅せる淫夢や半夏生(sakura)
朗読をしているあなたを見てる夏(sakura)
【は】
肌の下 見せぬ傷跡 花石榴(sakura)
【に】
逃げ水や 出会い頭の恋だった(sakura)
【ほ】
ほんとうのことは言えない蝉時雨(アヤカタソ)
「惚れてんだ」届かぬ夏に 彷徨いて(sakura)
【へ】
返事する声もそぞろに白昼夢(アヤカタソ)
平安にと君のこと想う夏の日よ(サボテン)
【と】
透過する嘘の向こうで降る雷雨(アヤカタソ)
戸惑いつ彷徨いながら蝉しぐれ(サボテン)
囚われて三点リーダに放つ恋(sakura)
戸惑いと期待をリュックに夏のドア(sakura)
溶けていくアイスクリームのようなキス(sakura)
遠き日の君の影追うオフィスビル(sakura)
【ち】
仲春に 逢瀬の覚悟 文にのせ(ちわ)
契りしもなお置き去りて空蝉よ(ちわ)
【り】
理性の音(ね)  乱す蜩 夏の宵(ヨル。)
【ぬ】
縫い止めて しまわぬように 春の夢(ちわ)
濡れるほど君を知りたし 蝉時雨(sakura)
濡れてなお立ち昇るのは君の香よ(サボテン)
【る】
類火炎 煽られて燃え やける夏(ちわ)
ルールなどもとから無くて月の下(アヤカタソ)
【を】
犯(をか)しても晴れぬ想いは雲月夜(サボテン)
幼子の無垢さで月下美人咲く(アヤカタソ)
をいクソッ でも名刺挨拶 社会人(ちわ)
【わ】
「わすれてよ」重ねる嘘を朝日射て(アヤカタソ)
【か】
かげろふのやうなおとこをひとり轢き(アヤカタソ)
陽炎の先のあなたに出会う夏(sakura)
【よ】
よもあらじ まかりならぬ 駆けに駆け(ちわ)
酔いし舌 うごめく恋矢に 貫かれ(ちわ)
【た】
戯れに 孤独を隠し おとす針(ちわ)
【れ】
冷蔵庫 開ければ半解凍の恋(sakura)
【そ】
そうやってうそばかりつく夕顔は(アヤカタソ)
「それだけ」じゃ 忘れられない青嵐(sakura)
【つ】
月影に柔肌明か(さやか )揚羽蝶(sakura)
【ね】
熱帯びた夕立ちは過ぐ帰り道(アヤカタソ)
【な】
夏氷 あなたの瞳に棲まう人(sakura)
【ら】
雷雨さえ洗い流せぬ罪ありて(sakura)
雷光に択(えら)む 君の字 裂く痛み(ちわ)
【む】
無理だよと 臆した無垢を 彼に重ね(ちわ)
結び葉のごとき約束出来たなら(sakura)
【う】
嘘をつく君の唇花いばら(sakura)
嘘纏う わりなき恋の横顔よ(sakura)
初心き彼の 接吻を待ち 息を聴く(ちわ)
虚ろなる瞳に宿る五月闇(sakura)
【ゐ】
射る視線 嘘を暴かん 熱帯夜(sakura)
礼無し(ゐやなし)に月下美人が誘う夜(アヤカタソ)
【の】
濃紺に染む街愛し夏の星(アヤカタソ)
【お】
想い秘め 今日は開襟シャツを着る(sakura)
【く】
草いきれ 放つかのごと 青き性(sakura)
くちびるのきおく身を焼く炎暑かな(アヤカタソ)
【や】
約束を果たして春の風甘し(アヤカタソ)
【ま】
まだ恋と知らず戸惑う夏の中(sakura)
惑う眼に露悪の荊(いばら)の真を知り(ちわ)
【け】
煙さえ君の魔法か宵の闇(アヤカタソ)
【ふ】
ふしだらな行間にする夏の恋(アヤカタソ)
振り返るあなたの夏に僕がいる(sakura)
【こ】
恋に堕ち 罪を知る夏 揺れながら(sakura)
【え】
笑み零る 若竹の子の 素直さや(ちわ)
【て】
出来心 責める盛夏のアスファルト(sakura)
【あ】
青空が塗り替えていく夏景色(アヤカタソ)
会いたくて ただ会いたくて夏木立(sakura)
【さ】
さにつらふ君の手紙と春の夢(アヤカタソ)
囁きの甘き香りよ 花梔子(sakura)
【き】
喜雨にじゃれ泥跳ねに覚め萎む蓮(ちわ)
木島さん心で何度も夏の宵(サボテン)
傷つけてくれないかせめて鬼あざみ(sakura)
【め】
目覚めれば 空蝉を抱く 未明かな(ちわ)
【み】
未来捥ぐ偽る利き手賢しらに(ちわ)
【し】
「しりたくて」に泣き「教えてくれないか」(ちわ)
新緑の我に満ちたり君といて(sakura)
「知りたくて」唇ふさぐ君は海(sakura)
白南風(しらはえ)や いつかの僕を映す君(sakura)
【ゑ】
ゑぐりしは彼の恋心裸身喰む(ちわ)
酔うほどに身を切る未練 夏の霧(sakura)
【ひ】
悲劇でもページ捲らん君となら(sakura)
ひと夏の恋で良かったそれだけで(ちわ)
【も】
もういない 「先生」を呼ぶ夏走る(sakura)
もう遥か恐くて壊し夏の夢(ちわ)
望月や光纏いし君の肌(アヤカタソ)
【せ】
扇風機虚も実もなく首を振る(アヤカタソ)
「先生」と不可逆の夏巻き戻す(sakura)
【す】
「好きなんです」肩に染み込む我の罪(sakura)
すべりおちる鞄そのまま抱く背中(アヤカタソ)
【ん】
...んだよ...なんなんだよぉ末期(まつご)蜩(ちわ)
「ん」だけで伝わる夏を君と待つ(sakura)