「子育ての大誤解」が私を救った

 ジュデス・リッチ・ハリスの書いた「子育ての大誤解」これを読んでから子育てに鬱々と悩むことが減った。
これはざっくばらんに言うと、親が子供に与えられる影響はさほど大きくない。ということを様々な文献や研究結果から説明してくれる本で、「毒になる親」の反論とも言えるだろう。
実際1人目育児中は「毒親」大ブームでわたしは自分の親を毒親だと思って恨んでいたし、自分が毒親にならないようにはどうすればいいかと思い悩んでいた。
「毒親」は、あなたが生きづらいのは全て親のせいで、あなたには親を責める権利がある。ということを語った本なのだが、このセンセーショナルな言葉がブームになったせいで言葉だけを借りた二番煎じ本が大量に出ていて、私が暗中模索しながら手にした本も大体が「毒になる親」の言葉や雰囲気だけを借りた紛い物だった。
これらの本を読んで学びがなかったとは言わないが、不安感は倍増した。
なぜならこれらの本は「あなたの性格は親のせいで歪んだ!」と書いてあるが、その歪んだ性格をどうすれば生きやすくなるのかを書いてくれていないのだ。
わたしは初めての子育てで一生懸命いい親になるための情報を集めていたが、解決策を提示してくれるような「毒親」本はなく、わたしは歪んだ親に育てられたどうしようもなく歪んだ人間だ。という自己認識だけが残った。

子どもが喋るようになると一方通行の育児ではなくなること、子供を保育園に預けて仕事が始まると、忙しくて自分を見つめ直して過去を紐解く暇なんてないこと、たくさんの人が関わって育児をしてくれる安心感から、毒親という概念で悩むことは無くなったのだが、2人目の育休に入ったため、改めて毒親という概念に向き合うことにした。

まず本家の「毒になる親」を読んでいなかったので読むことにした。結構長い本で大変だったのだが、今までの「毒親」を表題に掲げた二番煎じ本と一線を画していたのは、まず毒親とは敵対すべきもので愛そうと努力しても無駄だとバッサリ切り捨て、対峙方法を明確に示してくれていること。そして最後に「確かに毒親に育てられたあなたは歪んだかも知れない。でももう大人ならあなたは自分で成長できる」という道を提示してくれることだ。

これを読んでわたしは衝撃を受けた。「毒になる親」が与えたかったのは、毒親に育てられた歪んだあなたはもう何をしてもダメ、というお墨付きではなかった。自分がダメな理由をすべて親に押し付けていいという示唆だった。
「毒になる親」は、今までうまくいかなかったのはすべて親のせいでいい。あなたが劣っているせいではない。だから諦めないでもう一歩踏み出してごらん。という本で、いつまでも親を恨むための本ではなかったのだ。

そしてさらに読んだのが「子育ての大誤解」だ。
「子供には親が施すことがすべて」という現代子育ての常識をデータに基づいて完膚なきまでにやっつけてくれる本なのだ。

これによると、子どもの将来の性格を決定づけるのは遺伝子と仲間で、親の教育で与えられる影響はほぼないようだ。親のできることは良い環境に子どもを置くことだが、どこに行ったっていじめっ子はいるし、優秀な学校に入ったって、落ちこぼれたら一生劣等感を引きずるわけで、自分がどんなに頑張ったって自分の子だし、いいように育つときは育つし、ダメなときはダメだし。。というある種の諦めを学べる。
怠い日に無理して笑顔で語りかけ育児しても東大理Ⅲに入るような子を作り上げることはできないのだ。

そんなことより私が人生を楽しんでいる姿を見せてあげよう。好きな職業につけて楽しくて、あなたが生まれてきてくれて幸福で、あなたのしたいことを何でも応援するよっていう姿を見せることが親のできることかなと思ったのだ。

まだまだ親になって3年足らずのひよっこだが、この2冊を読むことで、なんとなく今後の子育ての柱を作れたような気がする。

親ができることってそんなに多くない。
でも親が原因で諦めさせてしまうことだけはしないようにしよう。
こどもが人生を楽しいと思えるように育てられたら嬉しいな。

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