金型製造を始めてみました

こんにちは、こんばんは。

長野県佐久市で金型製造をはじめ、3年目を迎えました。

国内では衰退産業とされる射出成形の金型製造に参入しましたが、何でイマドキ金型やるの?って聞かれる事が多いので書いてみました。

金型製造に踏み切ったきっかけは「顧客へ迷惑をかけない最低限のQCDを自分たちで握りたかったこと」これに尽きます。

弊社は製品設計の請負開発業として創業した会社です。前職の会社員時代から継続して、設計したデータを成果物として顧客へ納品して報酬を得てきましたが、「設計したモノまで見てもらって、モノで納品して欲しい」というニーズが、急激に増えてきた時期に創業しました。

当時勤めていた会社はCADコンサル、人材派遣、設計請負の3本柱でしたが、設計請負だけが売上の波が激しく単月の赤字幅も大きく、会社のお荷物になってました。

また、コンサル&派遣が取引してた大手メーカーと違い、製造委託を発注して下さる顧客は発注額と会社規模が合ってないとの判断をされてか、会社からの協力を得られないこともありましたし、当時の自分には上を納得させられる力がなかったです。

そんななか、あるスタートアップの仕事はめちゃくちゃ刺激的でした。仕様も決まってないなかで、その製品にとって何が最適かをずーーっとみんなで話し合ってるのに参加させてもらって、人生かけてるんだなーと。熱いよな、メーカーからの設計請負では感じる事が出来なかった製品開発への情熱でヒリヒリしてて毎日が面白かったです。

じゃあスタートアップに入社しちゃえよって思うかもしれませんが、一つの製品に捉われず色々設計したかったので製品設計請負として創業しました。

私自身は、リモコン筐体を8年ちょい設計してました。リモコンで設計を覚え、様々な経験をさせて頂き、設計者としての礎を築きました。色々な背景はありましたが端的にリモコンを設計する事でこれ以上得るものがないと感じて退職しました。

当時の上司にあたる方から「お前はリモコン愛してないのか?」と言われましたが、ごめんなさい愛せないっすってのが答えです笑。

そもそも会社経営なんかを分からずに「自分より設計出来る設計者はそーそー居ない(世の中にはめちゃくちゃ居ますw)的なノリで会社を作りました。

創業からメインの仕事は設計、設計した製品の量産化、量産段取りをマネージメントし、製造工場と顧客の間に入って報酬を得ていました。

ただ製造マネージメントってのは、やればやるほどハマって顧客と製造工場の間で板挟みだし、何より工場側がケツを捲ると何も出来ない。

結局は製造QCDを交渉云々で何ともする事が出来る幅が小さかったです。

発注前の取り交わしは何だったのって思う事が続いて(ベロベロに舐められてました)、発注後は製造側が急に強くなるんだなぁと感じる事が多かったし、顧客に迷惑かける事は少なくなくストレスでした。

転機は会社を作って3年目の決算は、色々なラッキーが重なりメンバー3人で大きな売上を出せたなか、自分が駆け出し設計者の頃からお世話になった長野県佐久市在住の金型設計&製造職人さんから連絡があり、年齢的に退職して引退することにしたから、今後は畑と山の世話をする。今までありがとう!って。

まだ60前半だし、自分が型構造で困ると真っ先に相談してた方なので引退は拒否というか無理です。居なくなったら本当に困るんです的な流れから、一緒に金型製造やってもらえませんか?と誘い、協力を得られました。
※なんで佐久に工場を、の理由です

そこからは渡りに船。会社の業績は良いから銀行からゼニーを借りれるし、小規模でも良いから金型製造を自分たちで持つことが出来る!的な嬉しさで始めちゃいました。

追加ラッキーで事業再構築補助金ってのが政府から発表されて、コンサル等は入れずに自分の想いを作文して、採択されたのもデカかったです。借入の大半をカバー出来ました。

ちょっとだけ真面目な事を書くと、金型製造を持つ前、自社の強みは顧客の立場を理解して高速対応するサービス力や製品設計力にありましたが、今はリアルな製造性考慮設計(DFM)を纏い、設計力は上がったと感じてます。

顧客視点に立つと設計段階から量産の話が出来る設計会社は相談しやすいと思いますし、今までのサービス売りから技術的なアドバイスを求められる機会が増えてきました。

仮に量産不具合が発生した際は、ハードウェアに問題があっても全て弊社の責任として対応するのも顧客からしたら話が早いと思います。

現在、主要顧客から金型製造のキャパアップを求められてますが、機械や人を増やすのではなく金型設計の「設計力」を高めることとサービスの品質濃度を落とさないことに最大限リソースを集中して、今まで通り最低限の設備で製造キャパアップを目指します。

最近、規模の大きな金型メーカー、成形メーカーさんから協力を得られるカタチを協議してるところです。

ただし、大事なところを自分たちでどれだけ握れるか。

次回は気が向いたら「金型製造をやってみて分かった事」予定。
想定してた以上にプレイヤーも業界もめちゃくちゃアナログなんですよね〜。

長くなりましたが、今日はここまで。

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