女神の前髪 5  私は楽天家

当時の業界ではこの種で完全と言える自動機械はまだありませんでした。
発注した機械はメーカーも初めて作る機械でした。
対象となるワークにも知見がありませんでした。
機械に要求される処理能力やワーク適性も、当時としては厳しいものでした。
そんなことで自動機械の納期が大幅に遅れていました。

メーカーは世界的な一部上場企業で、優秀な技術者も揃っていたのに、です。
技術者も、迷惑かけて面目ないと謝っていました。
それでもその種の専業他社機よりもシンプルでコンパクト。
オリジナル性とフレキシブル性のある個性的な優れモノでした。
数年後追加でもう一台作りました。

私の方では毎日毎時、頭の中で色んな数字が踊っていました。
あの単価で、あの数量で、あの歩留まりで、あの投資額で、計画通りの採算がとれるだろうか。
うちの生産現場や工程管理としての力量で、この仕事に付いて行けるだろうか。
大変なユーザークレームが発生しないだろうか。
夜中にガバット起き上がる時が何度もありました。
こんなことで寝られない様じゃ今後もっと大きな仕事が出来ないぞ。
色々手は打ってきたし、初めからの流れから推して、天に任せることにしました。
良く眠れるようになりました。
私は結構楽天家なのです。

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