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ちずる奥様ストーリー①

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 現場監督の仕事は、最近とみに難しくなったと感じている。
 昔は馬鹿な部下にはそれこそ拳骨を一発落として、怒鳴りつけて叱りつければよかったが、今時はそういうことも出来ない。
 昔ほど無茶苦茶なことをする奴自体も減ったが、その分こっちが気が使わなくちゃいけない相手が多く、毎日なんとも神経をすり減らすことが続いていた。
 嫌な上司になりたくないとは思っていたが、こんな形で苦労するようになるとは、正直思っていなかった。
「はぁ……やれやれだ」
 疲れ果てた体を引き摺るようにして家に帰り、一人寂しく晩酌をしていても、ストレスが肩に直接のしかかっているような疲労感を覚えてしまう。
 随分ストレスが溜まっているようだと俺は溜息を吐いた。
 俺ももう四十代後半。昔ほど無茶が聞く体でもなくなってしまっていて、色々と辛い。
(……こういう時は……やっぱあれだな)
 俺はパソコンを立ち上げ、早速目的のホームページを立ち上げる。
 そこには天使のような笑顔を浮かべた魅力的な女性たちの写真が、ずらりと並んでいた。
「さて……今回は誰と遊ぼうか」
 ストレス解消の一番いい方法。
 俺にとってそれは酒ではなく――デリヘルを利用することだった。

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