内緒の関係かすみ奥様のストーリー⑤
組んだ腕に当たる柔らかいもの――要は彼女のおっぱいである。
あえてなのか、少し動く度に当たるような距離に迫っているので、腕を少し動かしただけでその柔らかいものに私の腕が埋もれてしまう。
私がそれを意識したというのは、彼女にも伝わったのだろう。
元気よく話していた声のトーンが少し落ち着いた。
だがそれは起ったとか嫌がったとかそういうことではなく、恥ずかしさを堪えているようだ。
こちらの腕を掴む彼女の手に、力が込められる。
「……そろそろ、いきますか?」
どこに、なんていう馬鹿な問い返しはしない。
ただ頷くだけでも良かったが、少し悪戯心が芽生えた。
「そうだなぁ……かすみさんは、どうしたい?」
予想外の問い返しだったのか、かすみさんの目がぱちくりと瞬く。
しかし私の問いの意図はすぐ理解出来たのだろう。
その頬を少し朱に染め、かすみさんはもじもじと躊躇いがちに応えてくれた。
「……いきたいです」
その言葉が聞きたかった。
こちらの無茶な振りに的確に応じてくれたかすみさんに感謝しつつ、私は予約していたホテルに向かう。
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