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かんな奥様ストーリー【6】

「すごく美味しかったです!!」
 デザートを食べ終わったあと、かんなはすぐに料理の感想を告げた。
 会計を済ませた時には、残っていた白ワインをぐいっと飲み干していた。
「前菜から見た目がお洒落で、ゼリーみたいなのにもちゃんと味があって、子羊のお肉が柔らかくて、もこもこ泡のようなスープも面白い触感で、デザートなんてインスタ映えしそうな仕掛けがあって、もう、すごかったです!!」
「……気に入って貰えてよかった」
 口早にフルコースの感想を述べるものだから、それに圧倒されてしまった俺は苦笑いをする。
「じゃあ、店を出ようか」
 会計を済ませ、俺とかんなは店を出る。
「いつものホテルまでちょっと遠いですね」
 食事をしたらホテルに向かうのだが、フランス料理店からいつものラブホテルまで距離がある。外は寒いし、長い時間をかけて歩きたくはない。
「タクシーでも拾いますか?」
「いや、通り一つ越えるとホテルがあるみたいだから……、今日は別のホテルにしようか」
「いいですね! 行きましょ!!」
 料理店を予約するときから、いつも利用しているラブホテルよりも距離があるとは知っていた。別のラブホテルがあることも。
「どんなホテルなんだろ、楽しみだなあ」
 かんなは俺の腕を掴み、身体を預けてくる。
 寄り添ってかんなと歩くことに優越感を抱きながら、俺はラブホテルへと向かった。

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