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紅いボナパルト③~アウステルリッツの黄塵~


この記事では、「資産形成」について考えるにあたり、私なりの体験をまとめました。第3弾です。


※以前の投稿記事




以前、某TV番組で芸人さんが葉書応募などの懸賞品だけで生活する企画が人気を博しました。

そこで懸賞が資産形成に寄与するかについて検証してみようと思い、2016年9月から2020年8月までの期間、事業に見立てて「エントリー活動」を開始しました。

私の4年間の取り組み、感想や当選率の分析についてまとめます。最後に懸賞によるリターンは、資産形成に寄与するかについて総括します。

■1.集計図1



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図1の項目を説明します。検証期間は、2016年9月から2020年8月までの4年間です。

A.応募総数は、応募数の内訳となります。応募方法ごとに①~④に分けて集計したものです。

B.所要時間総数は、応募に際して①~④の作業にかかった時間数の内訳となります。

C.時給換算は、B所要時間総数を時給1500円とした場合の応募方法①~④の内訳となります。

D.当選数は、年度ごとの当選数の合計となります。

E.当選率は、当選率の内訳となります。D当選数÷A応募総数にて集計したものです。

F.1当選あたり時給換算は、C時給換算額÷D当選数にて集計したものです。


■2.所要時間からみた全体評価


ちなみに2020年で事業が終わっている理由は、別の事業に資金を振り分けたかったのと、note投稿や資格試験などに「時間」を使いたくなったからです(笑)

図1にまとめたように、応募総数(A)は2,008件、そのうち当選数(D)は56件ですので、当選率(E)は2.8%でした。これが高いか低いかでいうと、懸賞のカリスマ的な方がいて、その方の当選率(50%以上、応募件数も月100件以上)に比べれば微々たるものです。

ただ、今回の目的は「資産形成に寄与するか」の検証を中心にまとめたいと思います。

まず注目したのは「時間」です。名著「ライフシフト~人生100年時代の戦略~」においても金融資産などと並んで重要視されています。私も時間が重要な資産・資源であると実感しています。

労働対価として給与がありますが、それを労働時間で除算したものが「時給」であり、「投資時間」によって得られた対価を測ることになります。図1では所要時間総数(B)で表しましたが、1,815時間です。これに平均時給換算(C)した1時間あたり1,500円を積算すると、2,721,750円となります。

4年間だと1年あたり約68万円だった計算になります。平均年収が400万とした場合、副業なら成功している方ではないでしょうか。


■3.応募商品


最初の2年はとにかく当選したかったので、手当たり次第に応募しました(笑)

3年目からは当選後に使いやす物に目標を絞り、【食材・カタログ・旅行・金券】としました。懸賞は何百もあり、毎日情報が更新されます。懸賞情報を検索する時に目的があった方が絞りやすいですし、「応募スキル」「コメント力」も磨かれると思います。


■4.応募方法


懸賞応募のための情報収集は、懸賞サイトを中心に探し、応募方法としては以下の①~④になります。

①WEB型は、募集元のサイトから企画や商品への感想、キーワードクイズ回答するものです。最短で1分でできるものもが多かったです。

②企画型は、募集元のサイトから商品や建物、サービスのネーミング、俳句、川柳、写真、作文を応募するのが多かったです。

③葉書型は、店頭の専用葉書もしくは市販葉書にキーワード記入や対象商品バーコードもしくは対象商品購入時のレシート添付して応募するのが多かったです。

④封筒型は、③葉書型の発展系で、B5サイズほどのチラシを切り抜いて糊付けして封筒を作り、アンケート回答や対象商品バーコードもしくは対象商品購入時のレシート添付して応募するのが多かったです。


■5.応募ルーティン


当選数を上げるには一定量の応募が必要というアドバイスを懸賞ブロガーの方のサイトで見かけたので、応募作業をルーティン化してみました。

●朝:前日までに仕上げた応募葉書の投函、懸賞サイトチェック

●昼:昼食の買物ついでにコンビニの店頭や売場をチェック

●夜:夕食の買物ついでにスーパーの店頭や売場をチェック、帰宅後にWEB応募

●休日:企画型懸賞へ応募するためのリサーチ、応募葉書の作成、WEB応募など


■6.所要時間


応募方法ごとの1件あたりの所要時間は、以下の①~④になります。(hは時間)

①WEB型は、すぐ完了するものもあれば、コメントを考えたりしまので、1件0.5h(約30分)くらいです。

②企画型は、リサーチやまとめ、ネーミングのブレストなどするので、1件2時間くらいです。

③葉書型は、店頭葉書などフォーマットが印字されているので楽です。ゼロからだと時間掛かるので、1件1時間くらいです。

④その他作業は、
(1)「対象商品含む●千円以上のレシート」という条件を満たすため、通常の買い物時間意外に、他の売場を回ったりして1時間くらいかかります。

(2)対象商品は初めて買う食材や金額合わせのために多めに購入するため、無駄にしないためにも通常の調理時間以外に、食材の整理、加工、レシピの検討で1時間くらいかかります。


■7.時給換算


B.所要時間総数は1,815時間だったので、これを時給に置き換えて金額換算してみました。

パーソルキャリア社の発表した「平均年収ランキング2021年」によると、全体の平均年収は403万円だったそうです。

これを区切りの良い400万円とし、以下の式のように時給を割り出しましたところ、1,488円でした。

【平均年収400万÷(12か月+賞与4か月)÷月平均21日÷1日8時間=1488→1500円】

これも区切りの良い1,500円にして計算すると、1815×1500=2,721,750円となりました。

平均年収の約7割程度ですが「経験値」で考えると妥当な数値化かと思います。


■8.当選数・当選率


A.応募総数の2,008件に対する当選数は、56でした。確率としては2.8%です。

投資に対するリターンだと考えたら、銀行預金の金利(0.001~0.002%)よりはるかに高く、また国債(0.03%~0.66%)よりも高いですね。安定銘柄の株式や投資信託のリターンと同等くらでしょうか。投資効率としては悪くない数値だと思います。


■9.1当選あたり時給換算


F.1当選あたり時給換算は、C.時給換算総額をD.当選数56で除算したもので、48,603円となります。

エントリー事業を時給換算し、さらに当選を「利益」と置き換えた場合の金額としてみると高単価な印象です。

すべての仕事が同じ金額とは限らないので、コンスタントに依頼が続けは収入に大きなプラスになりそうです。


■10.メリット


①大手メーカーが販売促進に知恵を絞っており企画に参加するのが楽しかった。情報収集のアンテナが磨かれる

②感想や葉書の内容を考えるのが楽しかった。文章作成・コメントのスキルが上がる

③様々な売り場を回るので商品や価格について詳しくなる。お買い得品を見つけるスキルが上がる

④葉書は1枚作成すると達成感がある。切手、ポストカード、シール、チラシ写真の活用や工夫をするなどデコスキルが上がる

⑤何よりも当選が嬉しい。投資費用に対するコストパフォーマンスは良い。高額商品が当たれば一気に費用回収できる

⑥継続して楽しめる趣味になり得る


■11.デメリット


①まとめサイトからの情報を確認していたので、情報が制限されている。自分で探すと効率が悪い。

②WEB企画は応募が簡単だが、結局は購買者の情報収集に使われている感があり、個人情報の管理など不明な点が多い

③少なからず支出は上がる。買い回り時間と食材の調理時間の確保がプラスアルファで必要。

④選考基準が不明。どんなに工夫しても1応募に過ぎない。

⑤「時間」も資産と考えると、投資時間に対するコストパフォーマンスは高いとは言えない。

⑥情報収集、商品購入、応募葉書作成など時間が多く必要。不定期シフトやフルタイム労働者には不利。


■12.感想


・メリットとデメリットでまとめたように、高額当選がない限り、資産形成に直接的に寄与させるのは難しいと感じました。

・むしろ自分のスキルを磨く手段として、修行のつもりで継続することで、本業のへのプラスアルファが期待できます。

・TwitterなどのSNSによる募集もあるため、写真・コメント投稿などSNS運用スキルにプラスになる可能性があります。

・買い物を楽しむことや休日のモチベーションなど生活の面白味を追求できるメリットを最大化できるのではないでしょうか。


■13.エントリー事業で得られた「節得」という概念


応募のためだけにただ買い物するだけでは、応募金額を上回るための無駄なコストになります。食品であれば使い切れるもの、普段買っている物の代用になるかという検討して、ギリギリのラインを攻める必要があります。売り場でも吟味すれば浪費は避けられると思います。

「買う・買わない」の2択や購入回数を減らす「倹約」は支出抑制として有効ですが、生活の面白味が無く、継続も難しくなります。何より臨時で購入した時に割高だった時の残念感が高まります。なので「節約しつつお得に買う」(節得)という概念が大事です。つまり、よく買う商品の代替品を見つけて価格・サイズをダウンすることで、生活の面白味は減らさずに必要な買い物はできると考えます。

例)ペットボトルコーヒー500ml/150円(税込)・・・目的は「美味しいコーヒーを好きなタイミングで飲む」

節得①同じメーカーの粉コーヒーに切り替え、かつ水筒に入れて飲む(コスト半減)

節得②同商品のミニサイズに切り替え、同じくミニサイズで安価な別商品と組み合わせる(コスト微減)

節得③3回中2回は別メーカーの同類の商品を買う(コスト微減)

節得④思い切って安価な別メーカーに切り替える。クーポン取得時やご褒美に元々のコーヒーを飲む(コスト微減)

などなど。

■14.史実でのアウステルリッツ会戦とナポレオン



①【アウステルリッツ会戦 概要】

図1 1805年時のヨーロッパ勢力図

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アウステルリッツの戦いとは、1805年12月2日、ナポレオン・フランス帝国と第三次対仏大同盟(英露墺瑞)が激突した大会戦である。


フランス皇帝ナポレオン1世、オーストリア皇帝フランツ1世(神聖ローマ皇帝フランツ2世)、ロシア皇帝アレクサンドル1世の3人の皇帝が対決したことから「三帝会戦」とも呼ばれる。


発端は、イギリスが1804年から1805年にかけて新たな対仏同盟を結成したことにある。

1804年12月に締結されたイギリス=スウェーデン協定にはじまり、1805年4月にロシアが同盟加入、同年8月にオーストリアも同盟に加わったことで戦機がみなぎる。



図2 開戦前配置図(青:フランス軍 赤:オーストリア・ロシア連合軍)


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(画像引用元)




第三次対仏同盟成立後、まずオーストリアがバイエルンへ侵攻したが「ウルムの戦い」でフランスに敗北し、帝都ウィーンを明け渡すことになる。


フランツ1世はモラヴィアへ後退し、アレクサンドル1世のロシア軍と合流する。


ナポレオンもドナウ川を渡ってモラヴィアへ進出し、アウステルリッツ西方へ布陣した。


1805年12月2日、アウステルリッツ郊外で、ナポレオン率いるフランス軍約73,000と、ロシア・オーストリア連合軍(以下、連合軍)約85,000が対峙する。


さらにオーストリア軍には、イタリア方面のカール大公の部隊がおり、劣勢なフランスはこの部隊が集結する前にアウステルリッツでロシア・オーストリア連合軍主力を叩く必要があった。





②【アウステルリッツ会戦の主な攻防】

・12/2、連合軍はアウステルリッツ西方のプラツェン高地へ進出し、午前8時、攻撃を開始した。

・フランス軍の布陣は、右翼(南側)が手薄であり、アレクサンドル1世は主力をプラツェン高地からフランス軍右翼へ殺到した。

・フランス軍右翼は攻撃に耐え切れずに押し下げられたかに見えた。だが、これはナポレオンの誘導策で、手薄になった連合軍の中央部へ逆に攻撃を集中させた。

・連合軍中央部を守っていたロシア軍も増援して防いだが、ナポレオンは更なる予備兵力と精鋭の近衛隊を投入して突破した。

・連合軍中央部の突破に成功したフランス軍部隊は、フランス軍右翼へ殺到していた連合軍部隊の背後から襲い掛かった。

・夕刻、連合軍は散り散りになって敗走し、約15,000人の死傷者・捕虜を出した。



③【会戦後の影響】

12月26日、オーストリアが単独でフランスと「プレスブルクの和約」を締結して同盟から脱落し、第三次対仏大同盟は崩壊する。

フランツ2世は神聖ローマ皇帝位から退位を余儀なくされ、神聖ローマ帝国は解体する。

さらにフランスの介在でドイツ領にに「ライン同盟」が成立し、ヨーロッパの勢力図は大きく変容した。

また、西に位置するプロイセン、ロシアへの足掛かりになったことで戦線はさらに拡大する。


アウステルリッツ会戦の勝利でフランスの覇権は拡大した。一部の評論家からはナポレオンの才覚によって大勝しすぎたため、

ナポレオンの傲慢化を助長したとの指摘があり、フランス帝国の凋落のはじまりとみることもできる。



④【資産形成への教訓】

「勝って兜の緒を締めよ」の諺に尽きる。

私たちに置き換えた場合、保有している金融商品のうち複数または特定銘柄が大幅に乱降下した際の参考になると思われる。


大幅に値上がりしたことに喜び、買い増しの上で、その銘柄を現金化してしまうのは、早計である。

一方で、保有資産の価格変動に一喜一憂せず、保有を続けるという助言もある。


もし現金化する場合は一部に留め、それを安定的な収益が見込める国債やREIT(不動産信託)に振り替えるのはどうだろうか。

これならばポートフォリオを大きく変えずに利益確保を行うことで、全体の保有額の底上げになるのではないだろうか。


アウステルリッツに舞い上がった黄塵は、ナポレオンの栄光の狼煙であった。

しかし、同時にナポレオン自身の目を曇らす砂嵐でもあったのだ。



ここまでお読みいただきありがとうございました☆

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