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【徒然】ブリーダーズカップ勝利が教えてくれたこと

「つれづれなるままに、日暮らし馬券を契りて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく思ひ廻らせば、あやしうこそものぐるほしけれ。」

本稿では、そろそろ仕事を辞めそうな筆者が、某古典のように暇を持て余しながら、競馬、スポーツ、飲食の各主題について、妙に正気を失ったような心持ちで書き尽くしていきたいと思います。

今回の主題は「競馬」です。

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さて、”兼好じゃない吉田一族”も先週ほど、ものぐるほしくなったことがあっただろうか。

矢作厩舎の2頭、ラヴズオンリーユー号がBCフィリー&メアターフ、マルシュロレーヌ号がBCディスタフにて歴史的な勝利をあげた。

陣営の海外輸送後の調整力はもちろんのこと、日本から直行便で輸送でき、尚且つ気候の良い西海岸のデルマーを遠征先に選択した慧眼は見事であった。

2頭の歴史的な勝利は次の3点を私たちに示したくれたのではないだろうか。

・アメリカ競馬への適性と対応力
・能力開花のための遠征気運の醸成
・進化の過程を楽しむチャレンジ精神

これら3点にフォーカスして、ブリーダーズカップ勝利から見出せる「挑戦し続けること」の意義を考察していきたい。

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日本の芝競馬については、長年仏蘭西の凱旋門賞や英國キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスなど、ヨーロッパに追いつけ追い越せというスタンスで世界を目指してきた。

その一方で、競走馬の血統面については、サンデーサイレンス産駒を中心とする「アメリカ系血統」が主流となり、今日まで活躍馬を輩出し続けている。レースや馬場環境の高速化もサンデーサイレンス系の隆盛に比例して拍車が掛かった。

前述の通り、サンデー系が主流の日本競馬と、アメリカの芝競馬は親和性が高い認識であるが、それだけではない。

日本においては、芝→ダートへと転向する競走馬の事例も珍しくなく、これらの馬は芝でのレース経験・持ち時計を有していることから、スピード感に優れ、ダート競馬でもそれを活かすことができると考えている。

無論、これは芝で要求されるスピード感とダートで要求されるスピード感が異なることは承知の上での見解である。

事実、BCディスタフを制した、マルシュロレーヌは芝での出走経験があった。

マルシュロレーヌ競走成績

本場、アメリカのダート競馬は、道中の流れが極めて厳しく、相応の追走スピードを有していないと、そもそもレースにすら参加できないという状態のままゴールラインを迎えることが多い。

今回のマルシュロレーヌは芝のレースを経験していたことで、基礎スピードが身についていたことから、本場アメリカの流れにも順応できたのではないだろうか。

「日本の芝は速すぎる、それ故に馬場の重いヨーロッパでは勝つことができない。」

事あるごとにこのように言われているが、アメリカ、ドバイ、香港においては、芝・ダート・オールウェザー問わず、日本で培った適性や武器を存分に発揮できているため、今後更なるビッグレースを制覇するのは間違いない。

少なくとも、今回のBC勝利によって、日本競馬は新たな次元への進化を遂げることができた。
夢物語と言われていた国際競走の場に、日本馬、日本人騎手・調教師が当たり前のように出走し、勝利できる時代が切り拓かれたのである。

筆者もヨーロッパ競馬の一流競走に憧れがあり、勝利を願う気持ちは揺るがない。

ただ、それと同じくらいアメリカ競馬にも比重を置き、アメリカ挑戦の妥当性を示し、頂点を目指す気運を高め、文化として醸成させていくべきではないか。

そのために、国内でのプロモーション活動(海外馬券発売の売上向上、BCやケンタッキーダービーなどの知名度向上)をはじめ、プロジェクトや支援施策をこれまで以上に検討していく必要があると申したい。

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競走馬の一生、ましてや現役生活は長くはなく、順調に過ごせることは稀であると言っていい。
そんな中で、チャレンジ精神を持ち続け、愛馬の負担となるにもかかわらず、遠征を決断される陣営には心からの敬意を表したい。

大切なのは、挑戦する気概を持った人々が増えてくることだ。これは競馬の業界に限ったことではない。現状のレベルに満足して歩みを止めないで、変化を恐れずに進化の過程を楽しむことができる人材と文化を育むことが、肝要ではないか。

コロナ禍により、時流が目まぐるしく変化する中、新しい時代を切り拓いていくための大事な教えを賜った。

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以上、最後までお読みいただき誠にありがとうございます。

現職を続けていれば、こうした思いや具体的なPR施策のようなものを某団体に提案する機会を設けることができたと思いますが、次のキャリアを見据え、前に進まなければなりません。
今後は当スペースを使って、考案した施策等を書き残していければと思います。

また、日々においては、正気を取り戻し、なるべく馬券を千切らずに払い戻せるよう暮らしていきたいものでございます…

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