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繁殖引退猫(成猫)を引き渡すブリーダーの覚悟
「この子だけを抱きしめることはできない。」
そんなブリーダーの葛藤からペットの最後のおうちはスタートしました。
繁殖引退猫を、ブリーダーが直接里親さんに引き渡しします。
繁殖を終えた親猫を手放すブリーダーさんへ、その背景を取材しました。繁殖引退猫とは、ブリーダー飼育放棄とは、保護猫とはいったい何なのか。その実態の裏話を話してくださいました。
どうして直接を引き渡しをしたいのか
ブリーダー:元々子猫の掲載をお願いしていたブリーダー直販のペットの実家さんが、新しく譲渡をスタートすることを聞いて、すぐご連絡しました。
私:ありがとうございます。譲渡したい親猫ちゃんがいらっしゃったのですか?
ブリーダー:はい。繁殖を引退した親をブリーダーが手放すことに対して、あまりよく思われていないことは知っています。ですが、一緒に生活していく中で、親たちに満足のいく愛情はかけてあげられないことに悩んでいます。
私:どういうことでしょう。
ブリーダー:愛情込めて育てているつもりです。ですが、猫育てをしている最中、「遊んで」「かまって」と言われても限界があります。1対1で遊んであげられる時間はごくわずか。残念がっている親猫の顔を見るのがとても辛いです。
私たちは、一般の飼い主さんより食事や栄養、睡眠などの体調管理をしている自信はあります。管理ができないから親を手放したい訳ではありません。
もっと、この子にはより豊かな生活を、里親さんに託したいと思っています。
その豊かさを考えたら、親を手離すことに対して批判は我慢できます。
私:豊か・・・とは具体的にどのようなことなのでしょうか。
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親猫にとって豊な生活とは
ブリーダー:豊かとは、一緒にお布団に入って寝たり、一緒に遊んだり、おやつをもらったり、時には叱られたり、甘えたい時に甘えたり、ふつうの一般家庭の日常です。これが、どうしても私たちには限界があって。
私:ブリーディング施設は、産科と保育園が合わさったような慌ただしいですからね。
ブリーダー:そうなんです。「いらないから捨てるんだ」と思われていますが、違います。そんな訳ないじゃないですか!みんな、みんな、愛しています。愛しているから辛いんです。この子にだけに愛情がかけられないことが辛いんです。
親たちをどうやって手放すか
ブリーダー:元々、動物愛護団体さんへ引退した猫ちゃんをお願いしていました。里親さんの審査もしっかりしてくれるし、安心です。安心のはずなんですが・・・。
私:どうしましたか?
ブリーダー:会えないのです。一度動物愛護団体さんへ手放すと、もう二度と親猫と会うことはありません。トラブル防止のために、ブリーダーと里親はお互いの情報が分からないことになっています。
私:その話、よく聞きます。「どんな環境で育ててきたんだ!」と里親さんが乗り込んでトラブルになる可能性があるからとか・・・。我が子ともう二度と会えないなんて・・・。つらいですね。
ブリーダー:そうなんです。しかも、里親募集の詳細には「ブリーダー飼育放棄」「保護猫」って書かれてしまうんですよね。その言葉が、どうしても、どうしても受け入れられなくて。確かに所有権は放棄しましたが・・・。
だから、今回、ペットの実家さんが、里親さんを見つけてくれると聞いて、「これだ!」と思いました。私が、ブリーダー自身の手で、お相手の顔を見て、直接親猫をお願いしたいです。可能なら里親さんとSNSも交換して、日々の成長もみたいです!
私:そうおっしゃっていただけて、はじめてよかったと思いました!
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成猫ってお迎えしやすい?
ブリーダー:正直、子猫よりは慣れづらいですね(笑)猫ちゃんによりますが、2週間で慣れてくれる子もいれば、1ヵ月単位で慣れてくる子もいます。はじめて猫ちゃんと暮らす方なら子猫をおすすめしますね。
私:やっぱり、時間がかかって根気が必要ですね。そのために、弊社でもトライアル期間は用意しました。
ブリーダー:ありがたいです。安易に返品できると思われても嫌ですが、相性が悪いままずっと暮らすは猫ちゃんのためにはならないので。
私:そうですね。ちなみに成猫を迎えるメリットは、子猫とは違い、お迎えする前にその猫ちゃんの性格が把握できるという点でしょうか。
ブリーダー:元気すぎる猫ちゃんは大変だと感じる飼い主さんもいますしね(笑)性格が分かるって、成猫ならではのメリットだと思います。
ブリーディング引退猫の直接譲渡
現在の譲渡方法では、ブリーダーが直接譲渡できる環境が整備されておらず、動物愛護団体による譲渡が主流になっています。
この背景から、繁殖引退犬・猫のブリーダー直接譲渡サイト「ペットの最後のおうち」がスタートしました。これは、fumi fumi合同会社が運営する「ペットの実家」(https://petzik-breeder.co.jp/)が定める下記掲載基準を満たした優良なブリーダーが、自ら繁殖引退犬・猫を直接譲渡する仕組みです。
これにより、ブリーダーと里親候補者との間に直接的なコミュニケーションが生まれ、ペット業界の透明性が向上することが期待されます。