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【元店長が語る】ペットショップの流通過程の死と流通後の死

私は以前大手グループチェーンのペットショップで店長をしていました。当時、毎週8頭~15頭の犬猫が入荷されていましたが、なかにはすぐ亡くなってしまった子もいました。


流通死の頭数

答えは半年で2頭。
半年で260頭の犬猫を仕入れた場合、店舗入荷後に死亡する確率は0.7%です。思ったより少なく感じましたか?

朝日新聞の調査では、「流通量の約3%にあたり、この5年間で計12万匹以上にのぼる。」と記載されています。

しかし、この数字は、

『死亡数には原則、死産や、繁殖用に使われ、寿命で死んだ犬猫は含まれない。このため、販売用の子犬や子猫、繁殖用の親犬や親猫が、ケガや病気、ストレスなどで死亡していると見られる。』

と付け加えられており、流通していない繁殖者の元で死亡した頭数や、若くしてなくなった親までが含まれています

朝日新聞デジタル 2022.1.26現在

ちなみに私の店舗では、体調不良の生体をすぐに病院へ連れていける環境だったため、死亡率は低い方でした。しかし、全ての店舗がそうではありません。連れていけない子も、いました。連れていける環境ではないお店もありました。

流通死と直結するご飯の問題

ペットショップ店員の主な仕事は、接客、掃除、在庫管理など。それだけではなく、「生体管理」が重要です。この生体管理をどのポジションの人がやるかは会社によりますが、私たちの会社では、アルバイト~店長までの全員で行っていました。

この生体管理は何をするかというと、体調を診ること、感染症を防ぐこと、病気を判断する力を付けること、そしてご飯をあげることです。

このご飯をあげるということが何より大変なのです。これが、流通死の問題に直結します。

ご飯をあげること、それの何が大変なのか。

まずは、店舗に入荷されてくる犬や猫は、どのような流通を経て、お店にたどり着くのかを説明します。

まず、ブリーダーが一番近いオークション会場に生体を持ち込みます。
例えば、鹿児島県で生まれた犬は、九州のオークション会場に持ち込み、競られます。競られた後は各会社の生体が集まる場所(例えば兵庫)に移動し、ワクチン接種やマイクロチップを挿入します。
その後、配属先の店舗が関東であれば、関東に移動します。これを、2~7日かけて行います。

人間でも疲れるこの距離の移動を、生後50日ほどの子犬と子猫が短期間で移動するのです。

当然、店舗に到着後は食欲がない場合が多く、脱水気味で入荷されます。このとき、お店でお腹いっぱいまで食べる子はごくわずかで、犬で20%ほど、猫にいたってはほぼご飯を食べてくれません。猫は環境が変われば食べなくなるのです。

そのため、私たちスタッフは死なせないために、子猫の口にご飯を入れ、食べさせます。「いやいや、食べたくない!」と必死に顔をふる子猫の口にむりやりご飯をいれ、食べさせるのです。食べないとすぐにでも死んでしまう月齢です。食べさせる量を間違えれば下痢をしたり、低血糖になり体が動かなくなることもあります。亡くなる子も、います。中には食べさせる過程で誤嚥してしまい、亡くなってしまった子も他店にいました。

はじめまして、の子に対して、かつ月齢詐欺が横行しているペット業界において、「この子がどれだけ食べるのか」「今までなにを食べてきたのか」分からない段階でお世話をしなければなりません。

流通死の問題は、”流通中”だけではなく、そのストレスからくる流通後の死も含まれいます。

この食むらは1日だけではなく、1週間は続きます。

かわいいペットショップにいる子たちは、極限のストレスから持ちこたえた子犬・子猫です。


ペットの実家で迎えませんか?

流通死を防ぐ唯一の方法は、ブリーダーから迎える方法です。
そうすれば、オークションやショップで感染症に罹るリスクも減ります。

私は退職後、「あなたと出会うまでも、幸せに。」というコンセプトの下、ブリーダーから直接迎えることができるペットの実家を立ち上げました。

ママやブリーダーから大切に育ててもらっている過程を見て、家族を探せる仕組みです。

ペットの実家でのびのび暮らしている子を家族として迎え入れ、ブリーダー直販が当たり前になる日が来ることを願っています。