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繁殖引退犬(成犬)をブリーダーが直接手放したい訳

「この子だけを抱きしめることはできない。」そんなブリーダーの葛藤からペットの最後のおうちはスタートしました。繁殖引退犬を、ブリーダーが直接里親さんに引き渡しします。

ペットの最後のおうち

今回、繁殖引退犬を直接里親さんへ引き渡せる環境を整備してほしいとブリーダーから依頼がありました。その依頼内容を一部公開します。

繁殖引退犬とは、ブリーダー飼育放棄とは、保護犬とはいったい何なのか。その実態の裏話を話してくださいました。

どうして直接を引き渡しをしたいのか

ブリーダー:ペットの実家さん、繁殖引退犬の直接譲渡をやってくれませんか?

私:引退犬ですか?今は子犬と子猫のブリーダー直販だけですからね。引退犬を里親さんへ譲渡したいのですか?

ブリーダー:はい。今までは、動物愛護団体を通じて引き渡しをしていましたが・・・やっぱり、切なくて。

私:手放すことは切ないですよね。もう一緒に暮らせないなんて。

ブリーダー:それもそうなんですが、、、もう二度と会えないことが切ないのです。

親を手放す、切ない理由

ブリーダー:会えないのです。一度動物愛護団体さんへ手放すと、もう二度と親犬と会うことはありません。トラブル防止のために、ブリーダーと里親はお互いの情報が分からないことになっています。

私:え?毎日楽しそうに一緒に暮らしている親と、もう会えないのですか?

ブリーダー:そうなんです。ほとんどの団体さんは、ブリーダー情報を里親さんへ知らせません。そして、私たちもどんな里親さんの元へ行ったか分からないんです。しかも、里親募集の詳細には「ブリーダー飼育放棄」「保護犬」「何度も出産をくり返し」って書かれてしまうんですよね。その言葉も受け入れられなくて。確かに所有権は放棄しましたが・・・。

私:ブリーダーさえOKと言うなら、ブリーダー情報って教えてもらえるのかと思っていました。

ブリーダー:そうでしょう?だから、里親さんと連絡が取れるような動物愛護団体さんがないかと探しているのですが・・・。全くなくて。だから、ペットの実家さん、やってくれないですか?ブリーダーが直接譲渡できる仕組み

私:そんな背景があるなんて知りませんでした。
でも、引退犬ってちょっと、いや、かなり悪いイメージがあるじゃないですか。ブリーダーが手放すことに対して。

いらないから、捨てるのか

ブリーダー:いいんです。批判されても。私の名前を出して、直接引き渡しをしたいです。愛した我が子ですから。一緒に子育てをした、苦楽を共にした仲ですから。最後ぐらい、ずっとのおうちを私が見つけてあげたい。

私:強い意思があるのですね。その前に、どうして親を手放さないといけないのでしょうか。

ブリーダー:愛情込めて育てているつもりです。ですが、子犬を育てている最中、「遊んで」「かまって」と言われても限界があります。1対1で遊んであげられる時間はごくわずか。残念がっている親犬の顔を見るのがとても辛いです。

私たちは、一般の飼い主さんより食事や栄養、睡眠などの体調管理をしている自信はあります。管理ができないから親を手放したい訳ではありません
もっと、この子にはより豊かな生活を、里親さんに託したいと思っています。

私:豊か・・・ですか。

親犬にとって豊な生活とは

ブリーダー:豊かとは、一緒にお布団に入って寝たり、一緒に遊んだり、おやつをもらったり、ドックランやドックカフェに行ったり・・・。最近は一緒に旅行もできるような時代になりましたしね。甘えたい時に甘えることができる、ふつうの一般家庭の日常です。これが、どうしても私たちには限界があって。

私:ブリーディング施設は、産科と保育園が合わさったような慌ただしいですからね。

ブリーダー:そうなんです。「いらないから捨てるんだ」と思われていますが、違います。そんな訳ないじゃないですか!みんな、みんな、愛しています。愛しているから辛いんです。この子にだけに愛情がかけられないことが辛いんです。甘えん坊のこの子だけの、お膝を用意してあげたいと思っています。

成犬ってお迎えしやすい?

ブリーダー:正直、子犬よりは大変だと思います。良いブリーダーならひっぱり合いなど、一緒に遊んでいますけど。そうでないブリーダーの方が多いですからね。引っ張り合いもできない大型犬もいるんじゃないでしょうか。しかも男の子だと、マウントをとるように教育されている訳ですから。

私:確かに、父親(男の子)のマウントを今から辞めろと躾をするのは酷ですね。

ブリーダー:はい。他には、慣れるのに成犬は時間がかかりますね。わんこによりますが、2週間で慣れてくれる子もいれば、1ヵ月単位で慣れてくる子もいます。はじめてわんちゃんと暮らす方なら子犬をおすすめしますね。

私:そうですよね。今まで色々な年齢のわんこを引き渡ししてきましたが、やっぱり生後2か月の子に比べると、成犬はメンタル面での心配があります。大人の子はメンタルケアが大切ですよね。人間でいうと、30代後半ぐらいの年齢ですからね。

ブリーダー:そうです。でも、私より懐いちゃう家庭もあるみたいで(笑)それは嬉しい反面、さみしい(笑)

私:素敵なご家庭だったのですね。ちなみに成犬を迎えるメリットは、子犬とは違い、お迎えする前にそのわんこの性格が把握できるという点でしょうか。

ブリーダー:元気すぎるわんこは大変だと感じる飼い主さんもいますしねー!大型犬なら尚更。性格が分かるって、成犬ならではのメリットだと思います。でも、わんこの性格って飼い主さん次第なところがありますよ♡

ブリーディング引退犬の直接譲渡

現在の譲渡方法では、ブリーダーが直接譲渡できる環境が整備されておらず、動物愛護団体による譲渡が主流になっています。

この背景から、繁殖引退犬・猫のブリーダー直接譲渡サイト「ペットの最後のおうち」がスタートしました。これは、fumi fumi合同会社が運営する「ペットの実家」(https://petzik-breeder.co.jp/)が定める下記掲載基準を満たした優良なブリーダーが、自ら繁殖引退犬・猫を直接譲渡する仕組みです。

これにより、ブリーダーと里親候補者との間に直接的なコミュニケーションが生まれ、ペット業界の透明性が向上することになります。