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売れ残りが殺処分される訳がない理由を、元ペットショップ店員が語ります。

生まれて間もない小さな犬や猫。

そして、大きくなっても家族が見つからない子もちらほら・・・

売れ残りの子はどうなるのか。家の近くにあるあのペットショップは、どのような対応を取っているのか・・・。

巷で言われている4つの行先について、
元ペットショップ店長が赤裸々に、本音で語ります。

ペットの実家

①殺処分

売れ残ったら殺処分をし、空いたスペースに新しく仕入れた子犬・子猫を展示するというもの。回転率重視と言われる方法ですね。

巷ではよく言われていますが、このようなことは

あ・り・え・ま・せ・ん!



何十年前も前でも、ほとんどなかったでしょう。

令和の犬猫の仕入れ価格は、ペットオークションを介すと5~35万円ぐらい。15万円ほどが一般的でしょうか。

子犬・子猫の仕入れ価格は、決して安い額ではありませんよね。命を育むためのお金がかかっているのですから。

これほどのお金をかけて仕入れ、維持費もかけて、人件費もかけて、治療費もかけて、最終的に殺処分をすることは倫理的にも当然ですが、経営的にもありえません。

なんとかお金に変えようと試みるのは、ペットショップ側の健全な経営判断ではないでしょうか。

②ペットショップ店員が持ち帰る

これも上記と同じ理由で、ありません。コンビニのように「賞味期限がきれた商品は持ち帰ってもいいよ」などと言えるほど安価なものではありません。

ショップ店員が連れて帰るのであれば、お客様と同等の金額を支払うか、少額の社割を適用して迎えします。

ちなみに筆者は、お客様と同等の金額を払って、大きくなった猫をお迎えしました。

⑤繁殖犬・猫になる

こちらも、ほとんどありません。

そもそも、繁殖犬・猫になるということは、ペットショップがブリーダーに売れ残ったら返品するということです。

返品制度はどの業界でも、何か月におよぶ長期保障はほとんどありませんよね。

一般的に、体調が悪かった等が理由で、ペットショップが買い取って1日~2日以内であれば、ブリーダーに戻せる制度はあります。

しかし、「売れ残ったからブリーダーに返品する」という制度は、あまりにもペットショップに有利すぎる制度です。

ただし、自家繁殖をしているペットショップの場合、親になるケースはあります。
それでも、筆者である私は自家繁殖場があるペットショップで勤めていましたが、自家繁殖する子は「親候補」として、販売するための子犬・子猫とは別で、仕入れをしていました。

なぜか?

親にするためには「筋肉」と「良い骨格」「大きさ」が必要だからです。つまり、仕入れ時に骨格見極め、1歳を迎えるまでに筋肉をつけてもらわなければいけません。

親候補にも値段が付くことがありますが、相場よりも20万円近く高い場合が多いです。(つまり、家族を見つける気はありません。)

③他店に移動する(同社orディスカウント店)

他の店舗に移動します。この方法が売れ残った犬や猫に対して最も多く行われる手法で、多くのペットショップがこれを利用します。

移動といえば聞こえは悪いですが、地域によって人気な品種は大きく異なるため、場所を変えることで家族をより早く見つけてあげられることに繋がります。

例えば、人気犬種であるチワワやトイプードルは、
東京ではあまり人気がありません

移動先の店舗は、同じ会社の系列店か、会社が変わってディスカウント店に行くパターンか2つ存在します。

意外と、幼さを求められることはない

実際のペットショップの現場では、意外にも幼い子を求める飼い主さんは、ほとんどいらっしゃいません。

運命の出会いをした子が、ちょっと大きかろうが、小さかろうが、若かろうが、飼い主さんにとってはペットショップにいる程度の月齢(2か月~1歳程度)であればどうでもいいのです。

意外でしょうか?
(小さい方が可愛く、運命と感じやすいかもしれませんが・・・)

ただ、長い間ショーケースでひとりぼっちの場合、性格や運動神経に差がでます

生後2~4か月が最もよく家族が見つかる月齢ですが、この月齢は人間で言うと3歳~7歳程度。この期間にひとりで家族を待つことになります。

そうなると、心や運動神経、筋肉などの全て影響がでるのです。

命ある彼らが新しい家族と出会うまでの負担をより少なくするために、私たちは何をしなければならないでしょうか。

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