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『セックス・エデュケーション』シーズン3 E3 挿入歌

Episode3の挿入歌一覧です。

1、『Rock Me Gently』(1974)/ Andy Kim

オープニングの一曲。トレーラーハウスに住む夫婦、ジェフリーとシンシアのベッドシーン。
 和訳、解説ともにこちらが詳しい(洋楽和訳 Neverending Music)。「Rock me gently / Rock me slowly」の歌詞がこんなことになるなんて……。音楽とともに揺さぶる体、揺さぶられる車、揺さぶられる人形、揺さぶられる家具、絶命する猫……。

2、『Macumba』 (1973)/ Titanic

引っ越してきたオーラが、勝手にかけているオーティスのレコードの一枚。

3、『Blank Generation』(1977) / Richard Hell & The Voidoids

猫ジョナサンの遺影が飾られる中、トレーラーハウスでの車を揺さぶるベッドシーン再び。
 リチャード・ヘルの来歴に詳しい記事をみつけた(LAZY SMOKEY DAMN!)。発言など掲載したこちらの記事も面白い(NEVER MIND THE SEX PISTOLS)。
 「I belong to the blank generation and / I can take it or leave it each time」、からっぽの世代であるといい、それすらもどうでもよいかのようにリチャード・ヘルは歌う。このシーンのセックスはやがて、違う目的を持った、欺瞞にみちたものだと明かされる。どこか大切なものが抜け落ちたセックスに、この歌の内容をかけているのか、、?(マジ、、?)

4、『Trans Mantra』(2021)/ Ezra Furman

書き下ろし曲。ホープ校長により次々と生徒たちの身だしなみが規制されていく。校舎裏トイレという絶好の着替え場所を失ったノンバイナリーのキャルは、暗い面持ちで更衣室へと入る。堂々と着替える女子たちの中、彼女たちに背を向けてキャルは着替え始めた。胸の膨らみをおさえるためのインナーがあらわになる。それを見て笑う女子たち。彼女らが去った更衣室の中で、一人手を胸にあてるキャル。

 S3の新キャラであるキャルにあてられた歌だといえるだろう。普通に歩いたり、しゃべったりすること——「みんながしている普通のこと」を、「自分も簡単にできているようにふるまっている」という状況が歌詞でまずストレートに語られる。後半ではそれに対し、誰も行かない場所に行き、誰も話さない言葉をしゃべる、ということが語れれる。そして繰り返すのは、「I don’t want to know / I don’t want to know what they’re saying about me」。キャルの状況にぴたりとあっている。しかし、全体的にさわやかなナンバーで、前向きに決別していくという感情も湧く。

5、『Nails, Hair, Hips, Heels』(2019)/ Todrick Hall

オーティスカップルとのダブルデートに向けて、エリックは自室でおしゃれを決め込む。曲に合わせて軽快に踊りながら、メイク、ファッションをばっちりきめ、元彼のラヒームにもらった詩や本をベッドにほうりなげる。

 トドリック・ホール、かっこよすぎる。プロフィールについてはニコニコ大百科参照。この記事内の引用にてトドリックは「100%そのままの自分を見せること」について語る。自己を周囲に見せていくことに臆さないエリックがフォロワーなのに納得。そしてこのエリックの気質はのちにアダムとの関係に変化をもたらしてしまうのだが……。

6、『The Man in Me』(1970)/ Bob Dylan

気まずいダブルデートの中、アダムは率直な意見をオーティスに述べる。素直なアドバイスにオーティスは驚きながらも納得する。また、アダムがキム・カーダシアンの番組(邦題:カーダシアン家のお騒がせセレブライフ)の視聴者であることがわかると、空気が一変。4人はボウリングデートを楽しむ。

 『ビッグ・リボウスキ』の映画でも使用されたこの曲の歌詞はこちらを参照させていただいた(名久井翔太の音楽文章ラジオ)。ボーリングというビッグ・リボウスキのオマージュをしつつ、皆が知らなかった、「アダムの一面」を歌詞にもなぞらえてもいるわけである。

7、『Your Party』(2007)/ Ween

楽しいデートから一転、すれちがいからギスギスした空気をまとったエリックとアダム。2人がアダムの家へと入ると、この曲がリビングからきこえてくる。そこにはアダムの母と、見知らぬ男が激しく求めあっている姿があった。

 妻と共に出席したパーティーについて歌っている曲だが、アダルトでシックな曲。「彼女」とかいう言葉を使わず、「Wife」と言い続けるのが特徴的。

8、『Never My Love』(1967) / The Association

ルビーの家にはトレーラーハウスのジェフリーが訪ねてきている。病気のルビーの父親とジェフリーは、大麻を楽しむ。ルビーはそんな父親にうんざりしながら、憎んでいるわけではなさそうだ。ルビーのオーティスへの想いが父親の口からバラされる中、各々がそれぞれの恋心に思いを馳せる。

 邦題は「かなわぬ恋」。有名な話なようだが、この曲はジャニーズ(事務所、ではなくジャニーズ事務所の最初のアイドルグループ)のために提供されたものが未発表となり、その後アソシエイションがカバーしたという形でヒットした。近年ではA.B.C-Zもカバーしているよう。
 絶対にこの愛に終わりはないと信じていたあのころ……と思い出すような形でこの曲が使われる。初々しいころと、時間の経過した愛の両方を感じさせる使い方。和訳はこちらを参照させていただいた(洋楽を対訳する大役)。この後の展開を思うと切ない選曲。

9、『Frying Pan』(2021)/ Ezra Furman

書き下ろし。メイヴはアイザックと和解。ジャクソンは湧き上がる新しい感情に微笑む。エリックとアダムのすれ違い……それぞれの夜。

10、『Tender』(1999)/ Blur

エンディング曲。オーラと和解したオーティスは部屋でひとり、メイヴのことを想う。そこにルビーから電話があり、今日1日のことを感謝される。「愛してる」という言葉とともに。それに対しオーティスは、「That’s nice.」とだけ返す。ルビーの表情が曇る。

 和訳はこちらを参照させていただいた(Hot なゴハンを)。ルビー、オーティス双方にあてはまる言葉たちである。ルビーは自分の感情に気がつき、それが相手からも返ってくることを望む。オーティスはメイヴのことが頭から離れない。「Waiting for that feeling to come」、ふたりは愛を感じる時を待っている。

EP4に続く。

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