憧憬の象徴

何でも聖紆塵が天地を劃つ頃より、天には善良な者が 地には邪智たる輩の生命が宿つたと云う。天と地は互に引付け合い、柔な皮膚はその膨みを余儀無からしめ、撓わは徐に大なる物となつた。胸先の曲線は天の優美な雲海を表し地の愚下はその異様さに出し抜けに憧憬を匽し得なかつたと云う。愚下も又生命宿はす。然し愚下の愚下たるや、何でも胸先の大なる所以も無かつたので、穢き脚の付根に丁度不浄の形の有つたのを、天に向い変梃に伸びたので、矢張惹れる所以たるものの証憑なりき。然し流石の愚下も愚下な物で、優美なる曲りをかつふつ見せで、大木の如き愚直な伸びを表した。然し天は地を卓犖し、地も天には及なかつた。故、杜撰で拙劣な寸法に帰し、今以て両手程の胸先と、片手程の石の棒より大なるを能わずした。今猶互に二つの異なるを劃す符牒となる。天地を劃つ頃よりそれ等は生れ出るより躰に宿し生命を終る迄運命を共にせしめた。其れ牝牡の象徴たる所以なり。云々。

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