見出し画像

歩いて、歩いて、ときどき泳ぐ

うつ病になってから、散歩と水泳を始めた。散歩をするようになったきっかけは「家に閉じこもっていないで、その辺を歩いてきたら」という母の一言。泳ぎ始めたのは、医師で作家の南木佳士さんがうつ病を患ったときにプールで泳いでいたという話を読んだから。

実際、運動はうつ病を治すのにいいらしい。とりわけ有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、ランニング)と非有酸素運動(ウェイトトレーニング)は中等度のうつ病を軽減する効果がある。これを週に3回、30分以上続けることで効果が出るそうな(青木、2002)。

わたしの散歩コースは、川沿いの歩道をてくてく歩いて住宅街を抜け、丘を登った先に広がる畑から、カラマツ林のある牧場までの往復7km。普通に歩いて1時間ちょっとかかる。今の時期、川でカモや白鳥が泳いでいたり、カラマツ林に松ぼっくりが落ちていたり、遠くに雪を頂いた山が見えたり、歩いていて退屈はしない。ダッフルコートを着てマフラーを巻いて、このコースを(体調が悪くない限り)毎日歩く。

水音をきく

プールに行くのは週に1〜2回。元気なおばあちゃんやちょっとお腹の出たおじさんが通う市営プールだ。

わたしは自意識過剰だから、最初のうちは水着になるだけでも居心地の悪い思いをした。最近になってようやく「誰もわたしのことなんて注目していない」と納得して、自分のペースで泳げるようになってきた。

足の先からちゃぽんと水に入る。水中ウォーキングや平泳ぎでからだを慣らしてから、クロールでゆっくり25mを往復する。疲れたら仰向けになって、ぷかぷか浮きながら水の音を聞く。泳いでいる間はバタ足や呼吸のリズムに意識が集中するから、余計なことはいっさい考えない。泳ぐのは瞑想するのに似ている。

実家での暮らしも残りあと2ヶ月。大学の周辺にはプールがないから水泳は続けられないけれど、散歩はこれからも日課にしたい。


[引用]
青木邦男(2002). 運動の不安軽減効果及びうつ軽減効果に関する文献研究, 山口県立大学大学院論集 (3), 37-45.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?