会社員から主夫になって得たもの、失ったもの
「専業主夫」を名乗って1年が経った。私は新卒1年目で会社を辞めて主夫に転身した。会社員歴よりも主夫歴の方が長いことになる。今回は会社員から主夫になって「得たもの」「失ったもの」を書いてみる。
主夫になって得たもの
1. 健康
「健康のために主夫になった」と言っても過言ではない。私は会社員適性が低く、メンタルを崩して休職をした。休職を機に、主夫になることを(夫婦ともに)決意した。
会社に適合できなかった最大の原因は「共同作業」だ。昔からマイペースと言われることが多く、共同作業は苦手かつ嫌いだった。いわずもがな、会社の仕事は共同作業の連続である。
一方で「家事」は個人作業に近い。共同作業の側面もあるが、妻は主導権を私に委ねてくれる。おかげで主夫になってからはストレスが激減し、ストレス発散のための不健康な習慣も消えた。会社員時代はアルコールやジャンクフードの摂取量が多かったが、主夫になってからは欲しくならない。
2. 自由時間
主婦・主夫と会社員の自由時間を定量的に比較するのは難しい。主婦・主夫はオンオフの境目が曖昧だから。しかし、定性的には主婦・主夫の方が自由時間が多いように感じる。
家事は裁量権が大きい。「いつ」「なにを」「どうするか」をほぼ全て自分で決定できる。私は自由度が高いほど精力的になるタイプなので、充実している。
逆に言うとメリハリがないし、全て自分で決めなければならない。ある程度の縛りを欲する人にとって自由すぎるのは苦痛かもしれない。
3. 料理スキル
妻は学生時代から私の手料理を食べていた。そんな妻は「主夫になってから、一段とご飯が旨くなった」と言う。自覚はないが、料理スキルも上がっているようだ。
学生時代の料理は「効率」に力点を置いていた。学生の本分は勉強や研究であり、その合間に料理をしていたからだ。しかし、主夫は家事や炊事こそが本務である。学生時代よりも丁寧に料理しているのかもしれない。
4. 内省する時間
主夫は「ひとり」で過ごす時間が多く、自ずと内省する時間も増えた。内省とは、次のような意味で用いている。
内省する手段の一つが「note」である。他には、ブログ(WordPressのほう)や読書もある。
「内省ばかりしていたら発狂しそう」と思う人もいるだろう。しかし、私はかなりの内向型人間。興味関心が「外」ではなく「内」に向いている。発狂するどころか、内省する時間がたまらなく楽しい。
主夫になって失ったもの
1. 収入
「月収ウン十万円」から「月収1000円」にまで減った。今の私の収入源はブログだけである。
稼ぐ気がないと言えば嘘になるが「収益」よりも「書きたい気持ち」を優先している。低需要かつ独りよがりな発信で月1000円も稼げれば悪くない。
2. 世間体
世間体は最低レベル。世間の理想からは外れているので当然である。しかし、私も妻も世間体を重視しない性分なのが幸いした。
特に、私は「どんな判断であれ、自分の固有の感受性に基づいて考えること」を理想としている。世間的な判断軸よりも、自分の中での内的整合性を重視する。主夫になって以降は「非世間的自己への改造」に実験的に取り組んでいる。
3. 社会的信用
世間体はなくても困らないが、社会的信用はないと困る。代表例はクレカと賃貸契約の審査だ。
クレカは学生時代に作ってあったので平気だった。しかも、継続したら自動で昇格するタイプなので「無職がゴールドカードを持つ」というバグが発生している。このバグを活用して、無料で空港のラウンジを利用してみた。無職のくせに。
賃貸契約は妻の名義で通したが、私の職業(と年収)も聞かれた。契約時は正式な退職日の前だったのでギリギリ会社員を名乗れた。しかし、次回の契約時には困るかもしれない。
4. 人間関係
関わる人間の絶対数が激減した。スーパーの店員など「名も知らぬ人々」を除けば、会話量の99%は妻が相手だ。ほかには年に数回、友人や親に会うだけ。
人間関係を妻に依存している現状については検討の余地がある。だからと言って、つながりを広げたいとも思えない。リスクヘッジとして人間関係を広げても疲れるだけだろう。
まとめ
暇つぶしとして読んでくれた人が大半だとは思う。それでも十分うれしい。しかし、少ないとは思うが「主夫になるか悩んでいる人」に届いたらより嬉しい。主夫になる人向けの情報はかなり少ないので。
「得たもの、あるいは得たことが良い」「失ったもの、あるいは失ったことが悪い」とは限らない。自由時間が多すぎて悩む人もいれば、世間体を手放せずに苦しむ人もいる。
物事の結果が「良い」か「悪い」かは評価する時点での状況に依拠する。少なくとも現時点では、私は会社員から主夫に転身して(転身できて)よかったと感じている。
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