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festaヘッドドレス・full bloomヘッドドレスについて

Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作しています。

今回はfestaヘッドドレスとfull bloomヘッドドレスについてのnoteを書きました。
雰囲気の異なる2つのシリーズですが、どちらも"白鳥の湖"をコンセプトとして、swan lakeヘッドドレスとともに製作したアイテムです。

swan lake ヘッドドレスは登場人物であるオデットとオディールをモチーフにしており、festaヘッドドレス・full bloomヘッドドレスは各国の踊りの音楽を聴いて製作をしたものになります。

私が”白鳥の湖”をはじめて見たのは小学生の頃です。バレエを習っていた妹の発表会でした。子供クラス・大人クラス合同の公演会で習い事とは思えないような本格的な舞台を見ることができました。
運動が苦手な私はバレエをやっておらず、妹の可愛い衣装が羨ましくて羨ましくて仕方なかったです。「もっと素敵な衣装を着るからいいもん!」と自由帳に理想の衣装を描いて妄想の中で着てくるくる回っていました

公演の中で衣装と同じくらい夢中になったものがあります。それが楽曲で、当時は特に『ナポリの踊り』の曲が好きにでした。序盤は静かなのにどこか軽やかで楽しげなトランペット単体のメロディーに時折木管楽器のハーモニー、途中でトランペットが少しずつテンポアップしたと思ったら沢山の楽器の音色が合流し豪華でリズミカルな演奏になる、とても明るい気分にさせてくれる曲です。
私もどんなドレスで踊りたいか、想像するだけでとても楽しかったです。

宴会の中で披露される各国の踊りはどの曲も個性的で魅力的で、本シリーズではそれぞれの曲を聴きながらそのイメージをデザインや配色に反映させています。
オデットとオディールのヘッドドレスを企画・製作している時に「白鳥の湖は悲しいシーンの多いお話だから賑やかな宴会の場面が浮かぶよう、仲間になるようなアイテムも作ろう」と思ったのがこの4つのヘッドドレスの製作のきっかけです。

白鳥の湖シリーズはいずれも毎回の材料を揃えることや製作にいつも以上に時間がかかるため、お迎えがあった時に嬉しさもありながら「あぁ、出てしまった・・・(また作るの大変だ)」という気持ちになることがあります。
しかし苦労した分なのか、お求めくださった方の喜んでいる姿が見られたり後日着けて見せていただけると嬉しさが溢れて「また頑張って作るぞ!」と思えます。

festa ヘッドドレス

赤が『スペインの踊り』、緑が『ナポリの踊り』をモチーフに作っています。どちらもお祭りでは華やか・煌びやかな装いになるイメージがあり、この二つをグループとしました。

「ドレスアップ」をデザイン上のテーマにしており、全体のトーンは暗めですが、はっきりとしたカラーリングやキラキラのビジューが目を惹くヘッドドレスになっています。

序盤から情熱的な音色とメロディが魅力的な『スペインの踊り』は赤や黒を使いたいと考えました。闘牛のイメージが強いことも理由です。
水のイメージが強い国の『ナポリの踊り』では寒色系をベースにし、音の強弱がはっきりとしているためどこかにビビッドなポイントを作りたいと考えました。

材料で真っ先に決まったのが本体の柄になっている部分。フランスの老舗メーカー、ジュリアンフォール社製のとってもとっても素敵なリボンです。ジュリアンフォールのリボンは以前fluoriteヘッドドレスで使用していて、絶妙な色味と立体的な模様の美しさに見るたびにうっとりしています。
高額なためまた使いたいと思いつつ「今度ね、今度ね、」と言い聞かせてきましたが、配色やコンセプトにぴったりのリボンが2色見つかり、ビビッと来て選びました。

全体のフリルはタフタ生地を使用しています。同じものを少し前にwitch gem ヘッドドレスで使っています。

その時は上にレースを重ねる・生地でリボンを作るという使い方でしたが布を眺めながら「フリルのヘッドドレスにてもきっと素敵だろうな」と思っていました。
布自体がしっかりしており、重なるとかたくなるためしつけの際に縫いづらくて苦労するのですが、出来上がったフリルが綺麗で綺麗でこれを見ることをモチベーションにしています。

この生地は縦糸と横糸が異なる色(黒と赤(or緑))で出来ており、見る角度で異なる表情を見せてくれるところが好きです。これにギャザーを寄せているため陰影がよりはっきりと見えるようになりました。ハリのある生地でもあるためフリルは形状がかっちりと保たれていてそこが可愛いポイントです。

煌びやかなお祭りやカーニバルを想像し、左右の飾りはクリスタルやガラスのビーズを用いてで無機質な雰囲気のビーズ刺繍モチーフを作ることにしました。

配色はリボンの柄にならって決めています。
ぱきっとした色味の本体が思いっきり辛口なため、飾りはお花の形にしてほんの少しだけ可愛さをプラスしました。
外側のガラスのビーズはボタンのように球をつぶしたような形にカットがたくさん入ったものを選びました。ダークトーンに細かな光の反射が現れた時がとてもとても綺麗で気に入っています。

つけ外しをする機会は少なそうなデザインですが、「実はドレスにもつけられる」と思ったらつけている方のテンションが上がるかもと思いブローチピンをつけています。

full bloom ヘッドドレス

『ハンガリーの踊り』、『マズルカ(ポーランドの踊り)』をモチーフとしました。お花の沢山な「ヨーロッパの民族衣装」を想像したことからこの2つがグループになっています。
曲のはじめの方の印象から『ハンガリーの踊り』を生成りベース、『マズルカ』を黒ベースで作っています。

リボンに直接刺繍を施したアイテムはBlue Birdヘッドドレスがあります。

プチエクランエトワールの中で人気の高いアイテムで何度も製作をしています。
先に刺繍をした後にリボンの形を作るようにしており、形が出来上がるたびにわくわくします。「いつかリボンいっぱいに刺繍をしたヘッドドレスを作りたいな」と思うようになってこの機会にアイテム化を試みました。

左右のリボンにカラフルな刺繍を沢山施すことが決まっていたので、先に本体のデザインやおおまかなカラーイメージを決めてその後にどんな素材のリボンを使用するかと刺繍の細かい配色を考えることにしました。

レースの両側のピコはずっと使いたかった材料の一つです。ピコのサイズ感と色味が本当に可愛くて材料を買いに行くと必ず眺めて「どうやって使おうか」と悩んでいました。今作がお花・ヨーロッパの民族衣装をモチーフとしているため「大チャンス!必ず可愛く使うぞ!」と思って選びました。色展開が沢山あったため選ぶのも楽しかったです。
メインはお花のパネルが連なったような模様のケミカルレースを選びました。パネル柄のレースも使いたかった材料の一つで、これまた一気に欲望が叶ってしまいました。
本体はそんなピコとレースのみでシンプルに作り、左右のリボンを思いっきり目立たせています。

メインの飾り、刺繍たっぷりのリボンについてです。綿でできたパネル柄レールと合わせアイテム全体で統一感を出したかったことと刺繍を沢山入れたいことから綿サテンのリボンを選択しました。
一般的なポリエステルのサテンリボンより糸のつりが出る心配が少なく、作業をしていて丈夫だと感じます。そのかわり目がしっかり詰まっているため、刺繍の針を通すのが大変だと感じることが時々あります。
このリボンはほんのりと光沢があり、綿なのに冷たさを感じるところがとても好きになり、今後も沢山使いたい材料シリーズに仲間入りです。

刺繍のデザインは記憶や思い出・好きなものからできています。
二十二歳くらいの頃にハンガリーに旅行へ行った際に母が「刺繍をたくさん見た方がよい」とお土産屋さんで刺繍のクロスやブラウスを買ってくれました。
あの頃は今刺繍で作品を作ってそれを販売しているなんて思ってもなくて、それよりもおいしいワインことばかり考えていました。
今更になって勿体ないことしたと思います。うろ覚えながら「ヨーロッパの刺繍ってこんな感じだった」を描き出し、プチエクランエトワールなりのアレンジをしました。
リボンのたれの部分に四つ葉のような形のお花と、反対側には蝶々を入れています。幸せな気持ちになったり舞い上がったり、つけてくださる方がうきうきしている姿を想像して書きました。
こだわった部分はリボンの裏側まで刺繍をしていることです。斜め後ろから見ても刺繍の柄が見えるように作っており、「360度可愛い」を目指しました。(画像がないので今度写真とらないと!)

配色も悩んだ部分で、それぞれ10色の刺繍糸を使っています。

生成は『ハンガリーの踊り』のイメージから「落ち着いた色味、でもはっきり見える」をテーマにしました。生成りに馴染むやさしいカラーと、反対にしっかり目立つ明度を落としたようなカラーとを半々くらいで選びました。配色のバランスとしてはリボンを遠くから見た時下に行くにつれて濃く見えるようにしています。口紅の近くに落ち着いた赤系の色が多くなるように考えてこのようにしました。

黒の『マズルカ』は花売り達が楽しそうに踊りをしている様子を浮かべました。「若干の落ち着きがありつつ甘い印象」になるようピンク・紫系のカラーを中心に選んでいます。また、ハッピーで華やかな雰囲気にしたいと考え、彩度の高い濃い色が着用した時の目元や頬骨の高い位置の近くに来るようにしました。

普段ヘッドドレス作りでは試作や失敗したものを自分用にしていますが、full bloomヘッドドレスは発売から半年で2色揃ってしまってコーディネートに困りません。せっかくなのでイベントなど沢山つけていこうと思います!

こんどこそ短くまとめるつもりが、またまた長くなってしまいました。
今回も読んでくださってありがとうございました。

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