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タンパク質ってそんなに大事なの?        原材料編

前回のおさらい

前々回(第9回)の「体の中で働いているタンパク質」のお話に続いて、前回は「栄養素としてのタンパク質」について解説しました。
(前々回の記事はこちら 前回の記事はこちら) 

前回の内容のまとめを下に書いておきます。

  • タンパク質(アミノ酸)は貴重な栄養素

  • タンパク質は体の中に蓄えることができない

  • タンパク質はアミノ酸まで分解されないと吸収されない

  • かならず食事からとらなければいけない必須アミノ酸がある

  • 必須アミノ酸の種類と量は動物ごとに違う

  • 「高品質のタンパク質」とは「必須アミノ酸がバランスよく含まれていて、消化がよいタンパク質

これまでの内容をふまえて、今回はペットフードのタンパク質源として使われる原材料について解説します。


ペットフードのタンパク質源はお肉でないとダメ?

「ネコやイヌは肉食動物だから、ペットフードを選ぶときには原材料に注目して、肉がたくさん使われているものを選びましょう。」
「小麦などの植物性の原材料を多く使っているペットフードは品質がよくないので選んではいけない。」

ネットなどでペットフードについての情報を探すと、こんなことがよく言われています。
これって正しいのでしょうか?

前回の記事を読んでくださった人は、これが正しくないことはもうおわかりですね?

タンパク質とアミノ酸には次のような特徴があります。

  1. タンパク質はアミノ酸がつながってできている

  2. タンパク質を食べるとアミノ酸にまで消化(分解)されてから吸収される

  3. アミノ酸になってしまえば、もとがどんな生物でも同じ

これらのことからタンパク質を栄養素として考えると、お肉(動物性)でも、小麦(植物性)でも、大きな違いはありません。
ではなぜ、「ペットフードの原材料はお肉でないといけない」みたいなことが言われているのでしょうか。

ひと昔前までは、原材料の加工技術がいまほど進んでいなかったため、動物性の原材料と比べて、植物性の原材料は消化性があまり高くありませんでした。
そのため上記の「2.タンパク質を食べるとアミノ酸にまで消化(分解)されてから吸収される」に関して、動物性の原材料のほうが優れていました。

ところがいまでは原材料の加工技術が進んでいて、動物性の原材料よりも消化性の高い植物性の原材料もあります。
ですから「動物性の原材料がよい」とか、「植物性の原材料はよくない」とかいうことはまったくありません。

くわしくは
第7回「よいペットフードかどうかは原材料をみてもわからない⁉」
をご覧ください。
(第7回の記事はこちら


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