ピーター

「哲学の著作〔...〕に向かうとき、その本を初めにとりあえず信用するか、あるいは少なくとも不信を保留するかしなければ、おそらく誰もそれを理解することなどできないであろう。〔...〕わたしが読者にお願いしたいのはまさにそれなのである」R. M. ヘア『道徳的に考えること』

ピーター

「哲学の著作〔...〕に向かうとき、その本を初めにとりあえず信用するか、あるいは少なくとも不信を保留するかしなければ、おそらく誰もそれを理解することなどできないであろう。〔...〕わたしが読者にお願いしたいのはまさにそれなのである」R. M. ヘア『道徳的に考えること』

    マガジン

    • 批判的実在論

      批判的実在論に関する記事をまとめています。

    • 反出生主義

      反出生主義に関する記事をまとめています。

    • ベーシック・インカム

      ベーシック・インカムに関する記事をまとめています。

    • リバタリアニズム

      リバタリアニズム関係の記事をまとめています

    最近の記事

    ベネターの反生殖主義はフェミニズムの批判を受け入れるべきである

    ※本記事で展開する議論はショッキングな内容を含みます。この記事を読むことによって精神的負担が生じてしまう恐れがありますので、あらかじめご了承ください。  本記事の目的は、ベネターに代表される反生殖主義(anti-procreationism)はフェミニズムによる批判が正しいことを受け入れ、その批判に応じて自身の主張を修正する必要があることを明らかにすることです。そのために、➀まずベネターの反生殖主義の内容を簡潔に確認します。ベネターの議論を知っている読者はこの部分を飛ばして

      • 『反出生主義者のハンドブック』の翻訳に協力しました

         ローレンス・アントン氏によるAn Antinatalist Handbookの翻訳記事が投稿されました。その文章の一部の翻訳を私が行っています。  この記事の目的は、反出生主義の考えに対する反論を逐一再反論したものであり、素朴な反論から哲学的な反論まで幅広く扱っています。

        • 書評: 品田遊『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』

          0. なぜいきなり書評をしだしたのか この記事の目的は品田遊『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』という対話形式小説を評することである。私がこの本を評することに決めたきっかけは、この本の参考資料に私が書いた以下の記事が載っていたからである。  以上の記事を書いた時点から私の考えは変わってはいるが、ともあれ参考資料として使用されたことは嬉しく思うので試しに(?)書評をしてみようと思った次第である。この記事の読者は本を一読されたものとして話を進める。したがって話の内容

          • 反出生主義に関する論点整理

             論文になりました。↓ 「反生殖主義とは何か――その定義と内容に関する論点整理」下のリンクからダウンロードできます。 この記事の内容を加筆修正したものです。 当該論文の41頁下部にある脚注24で、「しかし、birthism にとっては自分がどのような過程で生まれてきたのか、は重要な点である」と述べましたが、正しくは「しかし、多くの場合、個々の誕生主義者にとっては自分がどのような過程で生まれてきたのか、は重要な点である」でした。ここに訂正いたします。

          マガジン

          マガジンをすべて見る すべて見る
          • 批判的実在論
            ピーター
          • 反出生主義
            ピーター
          • ベーシック・インカム
            ピーター
          • リバタリアニズム
            ピーター

          記事

          記事をすべて見る すべて見る

            同意不在型反出生主義の検討

             反出生主義と言えばベネターによる基本的非対称性の議論がまず挙げられますが、この記事では同意不在型反出生主義(consent-based anti-natalism)を検討します。結論から述べると、ベネター型反出生主義がいうように出生が常に間違いであるとは言えませんが、それでもこのタイプの反出生主義は有力な立場です。この記事では、Seana Shiffrinの議論をさらに発展させたAsheel Singhの議論を紹介します。ベネターの議論に関して別の記事で書いてます。 本記

            反出生主義のそもそもの問いは「自分は生まれてきてよかったのか?」ではなく「自分は子供を作ってもいいのか?」である—反出生主義の議論をするとき、あなたの実存はそんなに関係ない

            0 はじめに こんにちは。ピーターです。突然反出生主義の話をするのは恐縮ですが、反出生主義が投げかけている生殖に関する倫理的問題は、正義論が真剣に考慮すべきことだと思いましたので、この記事ではそのことを述べたいと思います。  まず最初に、ベネターの基本的非対称性による反出生主義の論証を説明し、反出生主義が本当に問題にしていることを述べてなぜ実存の話はあまり関係がないかを示します。ここで簡単に結論を述べると、反出生主義は出生の行為が悪いかどうかだけを述べているのであって、実際

            ロールズ正義論に対する古典的自由主義的解釈の検討

             今回は前回予告したJohn Tomasiを紹介しようと思います。この人は、"Free Market Fairness"という本で”Bleeding-heart-libertarian”(慈愛リバタリアン)という思想を生み出し、新古典的自由主義(Neoclassical liberalism)を誕生させました。英米圏の政治哲学ではかなりの影響が発揮しており、例えば、前回紹介したブレナンの論文でも関連するものでは必ずこの本を引用していますし、『擁護できないものを擁護する』のウォ

            英米圏における最近のリバタリアニズム研究の紹介

            自分の研究の都合で色々海外のリバタリアニズム研究を調べていたのですが、英米のリバタリアニズム研究がシンプルにレベル高いことを最近発見しました。ということで私自身の備忘録も兼ねて、海外のリバタリアニズム研究で重要な研究者とその文献を紹介していきます。今回はブレナンの文献を四つ紹介します。以下、名前や論文名に下線でリンクをつけてます。 Jason Brennan(ジェイソン・ブレナン)  ブレナンは、現在ジョージタウン大学に所属しており、現在のリバタリアニズム研究を牽引してい