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アジア インド編 ペットテック スタートアップ事例紹介

前回ご紹介したようにペット産業ではインド市場の成長が目覚ましく、存在感を増してきている中、今回は引き続いて注目のインド発ペットスタートアップをご紹介します。

Petex社のデータでは、インドは世界で最も急速に成長しているペットケア市場の一つであることが明らかになっています。パンデミックの追い風を受けペット数が増加するとともに1頭あたりにかける支出も増加したことで、市場は年率14%で成長。2022年には4億9000万ドル規模の市場になると算出されています。ペットフード市場だけでも2022年には3億1,000万ドルを超え、その中でもドッグフードが最大のシェアを占めており、この成長は今後も続くと予想されています。またBonafide Research社のレポートにおいても、インドのペットケア産業は2025年までに年間平均成長率/CAGRは19%以上と予想されています。

Z世代やミレニアル世代がペットの親になるケースが増える中で急速に進化するインドのペットケア業界のニーズを満たすスタートアップ、記事の中で紹介されている企業4社をご紹介。

1. Heads Up For Tails(EC)

Heads Up For Tails

2008年にRashi Sanonによって設立されECを中心に事業展開するHeads Up For Tails。ペットフード、首輪、リード、ハーネス、犬用ボウル、犬用衣類、グルーミングキット、猫の衣服、猫の家具、爪研ぎなど、さまざまなペット用品とサービスを扱う。さらに、名札、アクセサリー、寝具、食器などのカスタマイズ商品も提供する。2021年8月にはVerlinvestとSequoia Capital Indiaが主導するシリーズAラウンド$37Mで調達。新市場への戦略的拡大の加速、および、取り扱い製品強化のために使用された。

2. Supertails(ペットEC+オンライン相談)

Supetails

以前の記事でもご紹介したペットECのSupertails。ここでも紹介されています。ペットECを主力としながら最近では自社に所属する獣医療専門家によるオンライン診療/相談領域のサービスにも注力。またペットの行動学の専門家チームによる犬のトレーニング支援にも進出。

3. Wiggles(D2Cペットケア)

Wiggles

2019年に設立されたWigglesは、D2Cペットケアブランド。獣医によるオンライン相談、トレーニング支援/プラン作成、グルーミング、トレーニング、散歩代行、ペットタクシー、宿泊等を提供。2021年10月にAnthill Venturesが主導するプレシリーズAラウンドで$5.5Mを調達しプラットフォーム強化に注力。

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4. Dogsee Chew(D2Cお菓子)

Dogsee Chew

Bhupendra KhanalとSneh Sharmaのによって2015年に設立されたDogsee Chewは、現在すでに30カ国以上で展開されている。Dogsee Chewは100%野菜素材で製造される犬用おやつを提供。これらのおやつは、すべて天然でHuman-Grade(人間でも食べられる食材)で、且つ、タンパク質が豊富。 Dogsee Chewは現在、インドで4番目に大きいペットフード輸出業者にまで成長。Dogsee Chewのおやつの特徴は、ネパール、シッキム、ダージリンの約150の村の住民によって手作りされたヤクのミルクチーズを固めて作られていること。2022年1月には既存の投資家Sixth Sense Venturesとともに、Mankind Pharmaが主導するシリーズAラウンドで$6.7Mを調達。 ブランド構築、研究開発、強力な流通網の構築に活用。

(前回掲出のインド市場データ)

  • インドのペット市場は年率13.9%(複数の統計を鑑みると全世界CAGRは5-6%。日本は既に成熟しており安定的に1-2%。)で成長しており、世界で最も急成長しているペットケア市場の1つ。成長の背景は他国のトレンドと同じく、核家族の増加、都市化、ペット飼育に対する考え方の変化がある。ペットは家族の一員とみなされ、人々はペットにできる限りの世話をしたいと考えるようになっている。犬の飼育数増加が市場成長のドライバー。

  • インドのペット市場は、2022年には4億9,000万ドル(約650億円)、2025年には8億ドル(約1000億円超)に達すると推定されている。インドではペットの飼い主の多くが中流・上流家庭の出身であるため、ペットのためにより高品質な製品を求め始めている。

  • ペット市場では、ペットフードのカテゴリー市場が3億1,000万ドル(70%)と最も大きい。ペット用医薬品が9000万ドル(18%)でこれに続く。ペット用アクセサリーは6,500万ドルを占める。その他のペットケア製品は、残りの3500万ドルを占める。

  • インドの動物医療市場は1億6900万ドルで、2027年には1億8600万ドルに達すると予想されている。

  • インドで最も人気のあるペットは犬で、2023年末には3,100万頭の犬が飼われることが予想されている。2番目は猫。

  • 毎年、インドでは60万匹のペットが養子縁組されている。

  • インドには約8,000万匹のホームレスの犬や猫がおり、路上やシェルターで生活している。85%の人が路上でホームレスの犬を飼うことを望んでいないが、それを実現するためには解決すべき困難が多い。

  • インドのペットオーナーは、1カ月あたり約4,000ルピー(約$52)をペットのために費やしている。この金額のほとんど、75%から80%は食事とおやつに使われている。

  • インドのペットグルーマーの月収は130ドルから325ドルほど。

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