【映画の中の詩】『戦場よさらば』(1932)
でも わたしの背後からいつも聞こえてくるのは
時が翼のついた戦闘馬車で急ぎ足で近づいてくる音―
『戦場よさらば』は『武器よさらば』として知られるヘミングウェイの小説『A Farewell to Arms』の映画化です。
公開時に日本では題名が不適切ということで変更されたとのことです。
監督はフランク・ボーゼイジ、出演はゲイリー・クーパーとヘレン・ヘイズ。
アンドルー・マーヴェルは17世紀の英国「形而上詩人」と呼ばれる詩人たちの代表的な存在です。
ヘミングウェイはおなじく形而上詩人に分類されるジョン・ダンの詩『DEVOTIONS:17』から『誰がために鐘は鳴る』という小説の題名をとっているので、このあたりの詩人を好んでいたのでしょうか。
ダンの『DEVOTIONS:17』に関しては、映画『イースター・パレード』(1948)に「なんぴとも一島嶼(とうしょ)にてはあらず」というよく知られたフレーズが引用されていました。
T.S.エリオットはマーヴェルのこの詩を「ウィットと想像力とが結びつくというより完全に溶け合っている」「けっして奇想のための奇想におぼれない」「諧謔とシアリアスなものとの結合(それによってシアリアスなものが強化される結合)こそ、ぼくたちがつきとめようとしているこの種のウィットの特性なのだ」と高く評価しています。
参考リンク
エリオット選集 第2巻「アンドルー・マーヴェル」/永川玲二訳
「羞(はにか)みがちの恋人へ」アンドルー・マーヴェル/ 石井正之助訳
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