【映画の中の詩】『剃刀の刃』(1946)
「僕は今でも、髪に蝶形リボンを結んで、生真面目な顔をしてさ、キーツの詩を読むと、それがとても美しいんで涙で声を震わせていた、痩せっぽちの小娘を、目のあたりに見ることができるよ。今いったいあの人はどこに住んでいるんだろう」
エドマンド・グールディング監督。サマセット・モーム原作。
グールディング監督は『グランド・ホテル』(1932)で有名ですが作曲もこなす才人。 ダンスシーンの伴奏曲「Mam'selle」はさまざまなアーティストにとりあげられてスタンダードナンバーとなっています。
主人公ラリー(タイロン・パワー)の詩を愛する幼友達だったソフィー(アン・バクスター)は不幸が重なり酒に溺れ、最後には何者かに惨殺されてしまいます。
ラリーは彼女の部屋の遺品の中にキーツの詩集を見つけ、彼女との思い出の『あの日は去った The day is gone』を朗読します。
アン・バクスターはこの零落してゆく女性の演技でアカデミー助演女優賞を受賞しています。
参考リンク:
剃刀の鋭き刃は 渡るに難し
賢者の曰く
救済への道 亦かくの如く難しと
(カタウパニシャド)
『剃刀の刃』サマセット・モーム著,斎藤三夫訳
https://dl.ndl.go.jp/pid/1698042/1/7
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