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【映画の中の詩】『神の道化師、フランチェスコ』(1950)

「主よ私を(平和のための)道具に使い給え」

ロベルト・ロッセリーニ監督。フェデリコ・フェリーニが脚本に参加しています。

「フランチェスコの平和の祈り」のシーン。
聖フランチェスコの精神を表すものとしてカトリック、プロテスタントの枠を超えて広く知られ唱えられる祈りなのですが、実はフランチェスコ作ではなく、作者不明のまま広まったものだそうです。

映画ではこのフランチェスコをはじめとして実際のフランシスコ会修道士の人たちが役を演じています。

聖フランチェスコ伝としては私は子供の頃観た『ブラザー・サン シスター・ムーン』(1972)の方が印象深いのですが、映画史的にはこのロッセリーニ版が傑作とされています。

『ブラザー・サン シスター・ムーン』というのは聖フランチェスコの有名な祈祷文『太陽の歌』からとられているのでしょう。

聖フランチェスコ『太陽の歌』

ほむべきかなわが主なる神、萬物の造りぬし。
わけても主は我等の兄弟なる太陽をつくり、
日と光を我等に齎(もたら)さしめたまふ。
彼美(うる)はしく、いと大いなる光彩(ひかり)を放つ。
主よこれ我等に御姿を思はするもの。

ほむべきかな主や。我等の姉妹なる月と星とを、
あざやかに美はしく、大空にきらめかせたまふ、

ほむべきかな主や。我等の兄弟なる風や、
大氣や、雲や、はた晴れたる荒れたる、なべての天候により、
主はよろづのものに命を支へしめたまふ。

アッシシの聖フランチェスコ伝』ポール・サバティエー 著, 江村寛一, 斎藤勇 共訳
『ブラザー・サン シスター・ムーン』

『ブラザー・サン シスター・ムーン』のポスターはフランチェスコによる聖クララの剃髪のシーン。
クララを演じたジュディ・バウカー(Judi Bowker)の清楚な魅力も素晴らしかった。ただこの方はその後は目立った活躍はされていないようです。

ハリウッド製の聖フランチェスコ物語『剣と十字架』(1961)で聖クララを演じたのは、一見すると典型的なハリウッド型の美人女優のドロレス・ハート。 ところが彼女、25歳で人気女優の座を捨て、修道女となりました。 〈マザー・ドロレス・ハートのドキュメンタリー〉



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