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No.108 2008年~ 『朝日ジュニア学習年鑑』(朝日新聞出版刊行)の執筆を続けてきて 数字で社会を見る一助にと

 2008年4月1日、朝日新聞出版局は朝日新聞出版社に分社化されました。
私が朝日新聞出版局から依頼があり最初に執筆したのは名称が最後になった『朝日ジュニア百科年鑑 2008』(2008年3月発行)でした。

 翌年からは朝日新聞出版社発行の『朝日ジュニア学習年鑑』の執筆依頼があり2024年3月発行まで17年執筆をさせて頂いています。私が担当しているのは「統計を手がかりに自由研究」と「統計を学習に生かそう」の2つのコーナーです。

 このエッセーを書いている時に丁度次回発行の2024年版を執筆していました。最近はこの仕事も慣れてきたのか、数日の短時間で執筆できるようになりました。
 この仕事を引き受けてから、私が小学校や中学校にいたころや聖心に勤務してからの図書室に置いてあった学習年鑑にはどんな名前が付いていたか思い出していました。確か、『少年朝日年鑑』という名前だったのではと思い出し、子ども心になんで「少年」という名前が付いていたのか不思議に思っていました。「少年・少女」と付けなくてはいけないのではと小学生当時考えていたのです。
 今回、この年鑑の名前の変遷を自分の経験やネットで調べてみましたが、一応次のような変遷になるのではないかと思います。不確かなところがあるかもしれません。
『少年朝日年鑑』(1949年~1987年)
『ジュニア朝日年鑑・社会』(1988年~2000年)
『朝日学習年鑑』(2001年~2004年)
『朝日ジュニア百科年鑑』(2005年~2008年)
『朝日ジュニア学習年鑑』(2009年~)
 
 『朝日ジュニア年鑑2023』(朝日新聞出版、2023年3月発行)の「統計を手がかりに自由研究」「統計を学習に生かそう」をご紹介致します。
 まず「統計を手がかりに自由研究」のページです。

 毎回、P.99からP.253ぐらいの154ページに掲載されている、各種の統計資料から14のテーマを設定して、その研究のポイントを簡潔に提示するようにしています。
 2023年版の自由研究のテーマは①「日本の200カイリ水域にはどんな鉱物資源があるの?」②「都道府県の鳥 バードウォッチング」③「島にある火山や山 パンフレットづくり」④「みかん、りんごの魅力を伝えよう」⑤電気料金、ガス料金の値上がり その実情と国の対策は」⑥「プラスチックを減らす試みを探る」⑦「マクドナルドの売り上げ上昇の秘密を探ろう」⑧「郵便ポスト あれこれ」⑨「統一地方選挙の結果を分析しよう」⑩「医療保険は命を救う」⑪「賃金の男女差はどうしてあるの?」⑫「2023年G7サミット主要7カ国首脳会議」は広島で開催」⑬「世界の国々の新型コロナウィルスの感染対策は」⑭「日本とロシアの貿易はどうなる」でした。
 16回目の執筆でしたが、できるだけ同じテーマは入れないように心がけます。ただし、2012年から2021年まで10回「東日本大震災の復興のようすを追いかけよう」というテーマは継続しました。また、いろいろな分野の統計資料から研究テーマを設定すること、時事的な問題も入れること、国際社会について考えるテーマも入れること、問題によっては99ページぐらいより前の歴史的な出来事に関連させたテーマも入れることなどに気を使いました。また、私のフィールドワークの経験を生かした文章を入れることも試みました。例えば、2023年版のテーマ、⑧「郵便ポスト あれこれ」では「千葉県の鋸山(のこぎりやま)には変わった形の石でできたポストがあります。」とあります。このポストは原稿執筆前に実際にそのポストを見た経験から書いています。写真を載せるスペースはありませんでしたが、次のようなポストです。

 2024年版では、「過疎と過密」のページの「過疎の市町村の数」(都道府県別)に注目しました。最も過疎の市町村が少ないのが神奈川県でした。私は神奈川県で生まれ育っていますので、最も縁が深く一番好きな県です。その市町村がどこか調べると意外にも真鶴町でした。
 偶然にもこの原稿を書いている間に、真鶴町を初めて旅行することになっていて温泉があるペンションを予約していました。それまでは、湯河原や熱海、伊豆半島を旅行するためや研究会その他の機会に東海道本線で真鶴駅を通過することは100回を超えていましたが、一度も下車したことがなかったのです。
 過疎は辞書的には「非常にまばらであること。特に,農山村の人口が極度に少ない状態。」とあります。この語感からすれば真鶴町は過疎に入らないように思われます。チャットBingによると「過疎地域とは、人口の著しい減少に伴って地域社会の活力や生活環境が低下している地域である.総務省は、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法に基づいて、市町村単位で過疎地域を指定するが、一部の旧市町村の区域に限って指定することもある過疎地域の指定には、人口要件と財政力要件があり、それぞれの基準によって全部過疎、一部過疎、みなし過疎の区分がある.」と出てきました。人口要件と財政力要件があるようです。
 実際に11月29日~30日の1泊2日で真鶴町をフィールドワークしましたが、神奈川県唯一の過疎地とは全く思えませんでした。今回は私が撮影した写真で真鶴町の様子を見て頂きます。

真鶴駅ホームから町を見てみると
JR真鶴駅
コミュニティーバスも運行されています。
真鶴漁港から町を見てみると
 町の高台から漁港を見てみると
高台の住宅
宿泊したペンション
温泉の露天風呂がある
朝、高台のペンションから海を見てみると
海から高台の町を見てみると
真鶴半島の先端にある県立真鶴半島自然公園から太平洋を見てみると
カトリック真鶴教会がある
コミュニティ真鶴がある

 今回初めて真鶴町をフィールドワークして、過疎地ということが私には理解できませんでした。人口的、財政的な条件まで詳しく調べていないのですが過疎地というマイナスなイメージは全くありませんでした。海と山という自然が豊かで住宅が立派で、湘南ナンバーの自家用車が走っています。温泉があるペンションがあり他の宿泊施設もあります。漁港の近くには地元でとれる新鮮な魚が食べられるお店がいくつかあります。カトリック教会や神社もあります。マリーナもあります。美術館や博物館、自然公園もあります。貴船祭という地元神社の祭りも7月にあります。
 私見ですが、町の行政がこのように素敵な自然・社会環境を生かしきれていないのではと思います。少し前に前町長がリコールされ、新しい町長が選挙で選ばれたことのニュースは報道されました。これだけ自然と文化施設が豊かな町ですので、観光を目玉にした町づくりを行政がしっかり取り組めばかなりの可能性がある町であると考えています。新町長に期待します。過疎地からの脱却です。
 これからも真鶴町をフィールドワークし、町がどのように推移するか見続けたいと思います。
真鶴町 
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E9%B6%B4%E7%94%BA
 
次に「統計を学習に生かそう」のページです。

 これは、小学校や中学校の社会科(歴史分野は除く)の各学年の単元と統計資料との関連を記述したものです。各学年の単元は10年に1回ぐらいで変更されますので、変更の時期は大変ですがそれ以外は前年と同じ内容のページになります。
毎年「統計を手がかりに自由研究」と「統計を学習に生かそう」のページの終わりに私の名前と所属のクレジットを入れて下さっています。他のページは統計資料ですので、クレジットが入っているのはここだけです。
 
 私はこの仕事を17年継続して行うことになり、またこれからも依頼があり私が健康ならばお引き受けしようと思います。この仕事を通して「数字で社会を見る一助に」と考えています。社会を客観的な数字で考察することの必要性はこれからも大切なリテラシーになると考えます。なんとなくカンで見るのではなく論理的に見る考察力が重要でしょう。2つの「統計を手がかりに自由研究」と「統計を学習に生かそう」のコーナーだけでなく、『朝日ジュニア学習年鑑』を丸ごと使って「数字で社会を見る」リテラシーを身につける方法が今後提示出来たらいいなと考えています。

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