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No.68 1984年・2020年 教員として最初と最後の出版

  私は39年間の教員生活で多くの研究グループに巡り合えました。それぞれ の研究グループでは教育書の出版に積極的に取り組むこともあり、私も先輩方 に指導され多くの出版に関わらせて頂きました。
初めて出版に関わらせていただいたのが、青山学院大学の古銭良一郎先生の 社会科研究グループでした。古銭先生には学生時代や教員になっても公私ともにお世話になりました。私が聖心女子学院初等科の教師になった4年後には聖心女子大学の教授として着任されました。ですから、初めて出版に関わった時には同じ聖心女子学院で勤務していたことになります。執筆者の一人として先輩の先生方に指導をいただきながら出版させて頂きました。それが次の著作でした。
古銭良一郎、半田博編著『小学校 社会科の内容と方法』(青学出版、1984年発行)


その内容は以下のようでした。
 第1章 社会科の変遷
 第2章 低学年における社会科の指導計画
 第3章 中学年における社会科の指導計画
 第4章 第五学年における社会科の指導計画
 第5章 第六学年における社会科の指導計画
 第6章 社会科の指導計画の作り方
 第7章 社会科の指導方法
 参考文献

 この当時には低学年に該当する1・2年生にも社会科はありました。199 2年から生活科の実施により低学年の社会科はなくなりました。
 私が執筆を担当したのは第3章「中学年における社会科の指導計画」でした。執筆をしたのは教師になって4年目の時でした。それまで私が担任したのは3年、4年(2回)、6年でした。それで配慮して頂き中学年の執筆を担当することになったのです。50ページ執筆することになりました。
 「中学年における社会科の指導計画」では主に3つの項目で執筆しました。
「教師用指導書における指導計画」と「地域社会の構造的理解を目指した指導計画」「探究学習の指導計画」です。「地域社会における構造的理解」に関してはすでに先輩方が執筆された『小学校社会科地域社会学習の新構想』(中教出版、1978年)を基にして執筆しました。「探究学習」については、当時成蹊小学校教頭の清水照行先生にお誘いを頂き、社会科の民間研究グループ「社会科教育研究センター」が提唱していた学習方法を基に執筆しました。この「社会科教育研究センター」の会長が当時の国立教育研究所名誉所員の大野連太郎先生でした。このグループは当時の中教出版の小学校社会科教科書を執筆されていて後に私も執筆者の一人に加えて頂きました。



構造的理解


探究学習

 教員最後の出版は2020年3月でした。定年退職直前に長くお世話になっ た私立小学校の社会科研究メンバーの編集代表としての出版でした。この時に 同時に2つの出版がなされました。
私たち私立小学校社会科研究会では、以前にも次のような出版をしてきまし た。
『これだけは身につけよう! 社会科の基礎知識』(東洋館出版、2006年) 『ここまでできるよ! 社会科の発展学習』(東洋館出版、2007年)
『地図はともだち』(東洋館出版、2007年) 
『改訂版 これだけは身につけよう! 社会科の基礎知識』(東洋館出版、2011年)
『改訂版 地図はともだち』(東洋館出版、2011年)
『三訂版 これだけは身につけよう! 社会科の基礎知識』(東洋館出版、2016年)
『これだけは身につけよう! 社会科の基礎・活用』(東洋館出版、2020 年3月発行)は、以前発行した『社会科の基礎知識』と『社会科の発展学習』 を統合したものになっています。全138ページの著書になりました。
 
私立小学校社会科研究会著『これだけは身につけよう! 社会科の基礎・活用』 (東洋館出版、2020年3月発行)
 編集委員は岸尾と学習院大学の栗原清氏が編集代表をし、日本私立小学校連盟の社会科部会に所属している全国の私立小学校教師から36名の方が編集委員として積極的に取り組んでいただきました。

構成
Ⅰ 3年生で身につける 基礎
Ⅱ 4年生で身につける 基礎
Ⅲ 3・4年生で身につける 活用
Ⅳ 5年生で身につける 基礎
Ⅴ 5年生で身につける 活用
Ⅵ 6年生で身につける 基礎
Ⅶ 6年生で身につける 活用

私立小学校社会科研究会編集『三訂版 地図はともだち』(東洋館出版、2020年3月発行)
 編集委員は岸尾と学習院大学の栗原清氏が担当し、日本私立小学校連盟の社会科部会に所属している全国の私立小学校教師からご意見を頂き編集しました。

日本地図と世界地図が裏表にあります。日本地図の構成を見てみましょう。
【日本地図】
地方区分
都道府県区分
都道府県庁所在地
都道府県別人口と総面積(2018年10月1日)
都道府県庁所在地、
政令指定都市の人口(2018年10月1日)
日本地図のマイスター(日本の白地図に書き込む。この日本地図で言える。)
 

世界地図の構成を見てみましょう。
【世界地図】
世界の州区分
国別区分
首都
主な都市
ヨーロッパ、中米の拡大図
緯度・経度
日付変更線
時差
人口の多い国(2019年推計)
人口の少ない国(2019年推計)
面積の大きい国
面積の小さい国
日本の主な輸出相手国、地域(2018年)
日本の主な輸入相手国、地域(2018年)
日本人はどの国、地域に行くの(2017年)
日本にどの国、地域の人が来るの(2018年)
〈いずれもトップ10を掲載〉
世界地図のマイスター(世界の白地図に書き込む。この世界地図で言える)

 教師になり初めて出版の経験をした1984年にはその後2020年までこんなに多くの本を出版するとは全く思っていませんでした。教師として最後の出版をした2020年にはこれだけよく出版できたなという思いでした。
 その間のようすは今後書いていく予定ですが、そこには多くの方のご指導、ご支援があったことはもちろんです。私は本の出版に際して本当に多くの方に助けられました。このような感謝の意味を込めて綴っていく予定です。

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