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5月20日 恋人の日

 季節の移ろいとともに部屋が部室のような匂いを放つようになりました。Pesoyamです。

 私のガールフレンドは中国人です。彼女は日本式の恋愛に大体は適応してくれていて助かっています。例えば、中国人の男はガールフレンドの荷物を全て持たなければなりませんが(だから中国のモテ男はムキムキです)、私は私の荷物しか基本持ちません。これは、多少の荷物を持たせることで適度なストレスを与えるという、彼女の健康を思い遣った愛のある行動です。それに、有事の際は二人とも荷物を持って行動せねばなりませんので、その訓練を行うのです。

 そんな彼女がぶぅぶぅ言い始めるのが、この時期なのです。少し中国の事情に詳しい方ならご存知でしょうが、中国では5月20日は恋人の日とされています。『現代中国文化 Ⅰ-a』を開講するつもりはないのでご存知ない方は調べてみてください。

 例年は「僕は日本人であり、そんな中国の習俗なんぞ知らん。ここは日本だ。祝うなら一人で祝いたまえ」と同化主義のゴリ押しで逃げていたのですが、今年は彼女以外の中国人からも圧力がかかり(中国人の男に「5月20日は彼女に何あげるの〜?」と詰め寄られました)、プレゼントを買ってあげることにしました。

 本来であれば19日の間にヨドバシドットコムで何か彼女がときめくプレゼントを探しておこうと思ったのですが、眠すぎてそれどころではありませんでした。当日、彼女がプールへ泳ぎに行っている隙を狙って私はリサイクルショップへ向かいました。彼女が以前欲しいと言った飾り皿が売っているはずです。

 リサイクルショップに着いたものの、どれが彼女のお気に召した飾り皿だか忘れ、飾り皿コーナーを幾度となく往復する不審者になってしまいました。結局、売り場で一番高いのを買えば間違い無いだろう、とポルトガルの職人が作った飾り皿4980円+税に決め、ついでに自分へのプレゼントに着物を一枚(こちらの値段は言えません)を購入します。

 水泳から帰った彼女に飾り皿を渡しました。5月20日について今まで同化主義に傾倒しきりで多文化主義を断固認めなかった私が突然贈り物をしたために中々の驚きだったようです。彼女も彼女で欲しかった飾り皿の柄は忘れてしまっていたので、「これが欲しかったやつだよ、絶対そうだ」と信じ込ませました。皿は今トイレの壁で用を足す者に威圧感を与えています。

 なんとか5月20日を乗り切りました。問題は私が5月20日を祝うことを例年拒否し続けたために彼女の方は何も用意しておらず、なんだか申し訳ない思いをさせてしまったことです。そりゃそうだ。

P.S. 彼女は私が愛して止まないライチを1kg注文してくれました。

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