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『声色』Vol.01(特集:キャラクターソング) 内容紹介

私的音楽同好会は、『声色』Vol.01(特集:キャラクターソング)を2023年12月31日に刊行します。キャラクターが歌う音楽である“キャラソン”に関する論稿12本・インタビュー2本・座談会2本で構成される約200頁の1冊です。楽曲や演奏、リスナー、環境などのテーマから、キャラソンにおける自己表現について迫ります。

『声色』Vol.01は、2023年12月31日に開催されるC103(2日目東ノ-21a)で頒布するほか、BOOTHでの通販も行います。


『声色』Vol.01の概要

表紙イラスト(イラストレーター かない)

表紙のイラストは、イラストレーターのかないさんに描いていただきました。​​学校帰りに自室で孤独に落ち込む内向的な人という設定で、キャラクターが生きている世界が繊細に表現されたイラストとなっております。

『声色』Vol.01 表紙

目次

キャラソンを聴く様々なオタク・音楽リスナーを特集した「特別企画 誰がキャラソンを聴いているのか」、キャラソンの歴史や視点を整理した章、楽曲・演奏・環境というテーマからキャラソンを考えた他3章など、計5章から構成されています。

『声色』Vol.01 目次

登場するキャラソン

キャラソン黄金期の00-10年代萌えアニメのキャラソンはもちろん、キャラソン黎明期の1980年代から刊行時の2023年のキャラソンまで、多数のキャラソンが掲載されています。

『声色』Vol.01 登場するキャラソン(一部のみ)

キャラクターソングを考えるにあたって

砂月直杞「キャラクターソングの概況」

キャラクターソングを取り巻く現況を見渡しながら、これを定義することの難しさについて論じます。また、キャラクターソングの歴史についても概観します。

砂月直杞「キャラクターソングの概況」

◯登場するキャラソン
曲名:予感
歌唱:音無響子(CV:島本須美)
発表年:1986
作品名:めぞん一刻

伊原隼人「私的音楽を考える視点」

本同好会が掲げる私的音楽を、何の枠組みも設定せず漠然とした概念として扱うだけでは、議論が進みません。そこで、音楽の特性が整理されているポピュラー音楽論と、自己のあり方を検討している自己論を参考として、私的音楽を考える視点を紹介します。

伊原隼人「私的音楽を考える視点」

◯登場するキャラソン
曲名:ギー太に首ったけ
歌唱:平沢唯(CV:豊崎愛生)
発表年:2009
作品名:けいおん!


特別企画 誰がキャラソンを聴いているのか

てらまっと「日常系アニメ批評愛好家が聴くキャラソン」(インタビュー)

アニメ批評界隈で活躍中のてらまっとさんへのインタビューです。キャラソンでキャラを理解する、声優とキャラの距離感、高度なメディアミックス戦略、キャラソンは日常に寄り添う、などの話題を通して、日常系アニメ批評愛好家のキャラソンの聴き方について迫ります。

◯登場するキャラソン
曲名:しのぶの当番日誌
歌唱:倉田雅世
発表年:2000
作品名:ラブひな


Kur@ra「アニソンDJが聴くキャラソン」(インタビュー)

アニクラで活躍中のKur@raさんへのインタビューです。実験的な曲づくりの多さ、キャラソンファンの"歌詞派"と"サウンド派"、アニクラでかけるキャラソンの特徴、などの話題を通して、アニソンDJのキャラソンの聴き方について迫ります。

Kur@ra「アニソンDJが聴くキャラソン」

◯登場するキャラソン
曲名:SMILE SPLASH!!
歌唱:スマイリー(CV:釘宮理恵),DE DE MOUSE,パソコン音楽クラブ
発表年:2022
作品名:ユーレイデコ

中川ふとん・海綿なすか・舞風つむじ・伊原隼人「アニメが好きな私たちは、なぜキャラソンを聴くのか」(座談会)

同好会内のアニメオタクによる座談会です。キャラクターが歌う衝撃、サイドストーリーとしてのキャラソン、アイドルソングとの違い、劇中歌キャラソンの多様さ、2020年以降のキャラソン、などの話題を通して、アニメオタクのキャラソンの聴き方について語ります。

中川ふとん・海綿なすか・舞風つむじ・伊原隼人「アニメが好きな私たちは、なぜキャラソンを聴くのか」

◯登場するキャラソン
曲名:恋のミクル伝説
歌唱:朝比奈みくる(CV:後藤邑子)
発表年:2009
作品名:涼宮ハルヒの憂鬱

中川ふとん・くも・砂月直杞・伊原隼人「音楽が好きな私たちは、なぜキャラソンを聴くのか」(座談会)

同好会内の音楽リスナーによる座談会です。ロキノン系、テクノ、アイドル、シンガー・ソングライターを題材に、音楽ジャンルごとのスタイル、キャラはアウトサイダーになれるか、アイドルのペルソナなどの話題を通して、音楽リスナーのキャラソンの聴き方を語ります。

中川ふとん・くも・砂月直杞・伊原隼人「音楽が好きな私たちは、なぜキャラソンを聴くのか」

◯登場するキャラソン
曲名:ふたりのきもちのほんとのひみつ
歌唱:やすなとソーニャ(CV:赤﨑千夏・田村睦心)
発表年:2012
作品名:キルミーのベイベー!

中川ふとん「彼方から届く〈力〉——私にとってのキャラクターソング」

筆者は、人が音楽を聴くときには音楽からその人に対して〈力〉の伝達が行われていると捉えます。では、キャラソンで伝達される〈力〉とは一体なんなのか? いくつかの事例を通じて、キャラクターソングだけが持つ〈力〉の正体に迫ります。

中川ふとん「彼方から届く〈力〉:私にとってのキャラクターソング」

◯登場するキャラソン
曲名:もん!太陽ドリーム
歌唱:夢原のぞみ(CV:三瓶由布子)
発表年:2007
作品名:Yes!プリキュア5

海綿なすか「私的音楽、私的鑑賞!」

キャラクターソングを「聴く」ということについて、自らのキャラソン遍歴、そして「私的鑑賞」方法を紹介しながら語るエッセイです。

海綿なすか「私的音楽、私的鑑賞!」

◯登場するキャラソン
曲名:寝・逃・げでリセット!
歌唱:柊つかさ
発表年:2007
作品名:らき☆すた

作品からキャラソンを考える

砂月直杞「『アマガミ』のキャラソンにおける二人称代名詞——「文脈性」と「指向性」」

「キャラソン内に登場する二人称」が一体どのような意味合いを持ち、どのような役割を果たしているのかを考察します。

砂月直杞「『アマガミ』のキャラソンにおける二人称代名詞:「文脈性」と「指向性」」

◯登場するキャラソン
曲名:恋はみずいろ
歌唱:七咲逢(CV:ゆかな)
発表年:2010
作品名:アマガミSS

サブリミナルキヨスク「『アイドルマスター ミリオンライブ!』のソロ曲を分類したら、「アイドル」らしさと「キャラクター」らしさが見えてきた」

アイドルマスター世界のアイドルは、アイドルなのか、キャラクターなのか。『アイドルマスター ミリオンライブ!』に登場する39名のソロ曲を比較することをきっかけに、彼女たちの存在をどのように解釈するべきかについて迫ります。

サブリミナルキヨスク「『アイドルマスター ミリオンライブ!』のソロ曲を分類したら、「アイドル」らしさと「キャラクター」らしさが見えてきた」

◯登場するキャラソン
曲名:素敵なキセキ
歌唱:春日未来(CV:山崎はるか)
発表年:2013
作品名:アイドルマスター ミリオンライブ!

伊原隼人「私的音楽における私性——私小説論とオーセンティシティ論を手がかりに」

音楽における自己表現はどのように成立しているのか。自己と作曲、作品、演奏の関係を整理し、私的音楽における私性のモデルを提示します。そしてシンガー・ソングライター、ラップ、キャラクターソングの楽曲を本モデルに適応し、キャラソンの特徴も考察します。

伊原隼人「私的音楽における私性:私小説論とオーセンティシティ論を手がかりに」

◯登場するキャラソン
曲名:ツナガルコネクト
歌唱:天王寺璃奈(CV.田中ちえ美)
発表年:2020
作品名:ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

kitapashi「2010年代前半のキャラソンをまなざす——ポピュラー音楽としてのキャラソンとその潮流」

2010年代前半をアニメオタクとして過ごし、現在はポピュラー音楽愛好家として過ごす筆者。現在の視点から当時のキャラクターソングを再訪し、音楽的な特異性や時代における音楽的な潮流を探していきます。

kitapashi「2010年代前半のキャラソンをまなざす:ポピュラー音楽としてのキャラソンとその潮流」

◯登場するキャラソン
曲名:ドラマチックマーケットライド
歌唱:北白川たまこ
発表年:2013
作品名:たまこまーけっと

演奏からキャラソンを考える

舞風つむじ「声とキャラクターの間で——「silky heart」をキャラソンとして考える」

『キャラクターソング』という言葉には、常に「誰が歌っているのか」という問題がつきまといます。ここではキャラクターと担当声優の距離について考えながら、『とらドラ!』OP「silky heart」をキャラソンと解釈できる可能性を見ていきます。

舞風つむじ「声とキャラクターの間で:「silky heart」をキャラソンとして考える」

◯登場するキャラソン
曲名:silky heart
歌唱:堀江由衣
発表年:2009
作品名:とらドラ!

くも「人と歌をつなぐ線——キャラクターとカバー曲」

キャラクターがカバーした曲を聞くとき、聞き手には何が見えているのだろう。できるだけ聞き手の視点に徹して、カバーする側であるキャラクター(人)とカバーされる側である曲との関係がどのように理解されるかを観察します。

くも「人と歌をつなぐ線:キャラクターとカバー曲」

◯登場するキャラソン
曲名:転がる岩、君に朝が降る
歌唱:後藤ひとり(CV:青山吉能)
発表年:2023
作品名:ぼっち・ざ・ろっく!

環境からキャラソンを考える

タナカユイト「「虚構の時代」のカルチャーとしての『マクロス』——虚構が現実を動かすとき」

「キャラソン」はいつから人気コンテンツになったのか。なぜアニメという「虚構」が「現実」を動かすのか。その謎を解き明かすべく、オタクカルチャーの奥地へと向かった結果、たどり着いたのは「虚構の時代」の『マクロス』でした・・・

タナカユイト「「虚構の時代」のカルチャーとしての『マクロス』:虚構が現実を動かすとき」

◯登場するキャラソン
曲名:愛・おぼえていますか
歌唱:飯島真理
発表年:1984
作品名:超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

大友落葉「場面によって変わるキャラソンの魅力——『ごちうさ』楽曲と向き合いながら」

ひとくちにキャラソンといっても、聴き手としての向き合い方は楽曲によって様々。『ごちうさ』シリーズの楽曲を題材に、異なる場面に存在するキャラソンにおいてそれぞれの魅力がどう生まれているのかについての考察を試みます。

大友落葉「場面によって変わるキャラソンの魅力:『ごちうさ』楽曲と向き合いながら」

◯登場するキャラソン
曲名:なかよし!〇!なかよし!
歌唱:チマメ隊
発表年:2020
作品名:ご注文はうさぎですか?BLOOM


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