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「不登校・ひきこもり」「発達障がい」でも社会で活躍できるんだよ① ~私が自立支援でかかわった6000人のご利用者さんから学んだこと~

はじめまして。一般社団法人パーソナルサービス支援機構の代表をしております大倉と申します。

私はこれまでに、ホームレスや生活困窮状態の方の生活面や就労の支援、不登校やひきこもりなどといった、生きづらさを抱えている方の一歩を踏み出すための支援にかかわり、20年間で約6000人の方と出会ってきました。この6000人の方、一人ひとりが抱えている課題や背景は全く違い、出会った時の本人のモチベーションも違います。なので、過去の事例と同じようにおこなえば支援が成功するというものではないため、参考書のような手引きをお伝えするわけにはいきませんが、それなりに難しい課題を抱えていたこの6000人の皆さんが、「今はちゃんと前に進んでいるんだよ」ということはお伝え出来ます。

「いいとこ」を見つけて引き出すことが大切

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私たちは様々な「支援」をおこなっています。支援というのは「助ける」というイメージが強いと思いますが、私の中での支援というものは「いいとこ(能力や魅力)を見つけて引き出す」という、あくまでも「きっかけづくり」でしかありません。私たちは支援を通じて「本来持っている『いいとこ』を発見し(芽生え)、本人が『いいとこ』を認識して体験活動を通じて自信に変え(成長)、『いいとこ』を伸ばして実践を積んでいく(醸成)」というお手伝いをするだけなのです。表面上は大変そうな課題を持っていたとしても、ただ、そこばかりが目立つだけで、ちゃんと見ればだれもが必ず「いいとこ(能力や魅力)」を持っているのです。これは、ご家庭でも同じです。その子の持つ課題は、ご家族含めて今はたくさんの周りの方にカバーしてもらってます。しかし、成長とともに、環境の変化とともに、一つずつ自分でできることを増やしていかなければなりません。その時の原動力になるのが、子どものころに見つけてもらった「いいとこ」です。前述で「増やしていかなければならない」と書きましたが、たくさんの「いいとこ」を見つけてもらい、早い段階からそれを伸ばしていくことができれば、自然とできることが増えていきます。だから、ぜひ、ご家庭でも実践してみてください。

不登校やひきこもり、または、やんちゃする子どもに対して、「困った子」という表現を使っているのをよく耳にします。それって誰が困っているんでしょう?大人が自分たちの思い通りにいかなくて困っているだけですよね。子どもたち当人は「困っている子」なのです。自分の心の中をどのように伝えればいいかわからない、どのように体で表現すればいいのかわからなくて困っているのですよ。そんな子が、自分自身で「いいとこ」を見つけることなんてできるわけないですよね。そんな余裕はありません。

私たちのところには、不登校やひきこもりのお子さんをもつ親御さんから多数の相談があります。その親御さんたちの共通する言葉は、「自分の育て方が悪くてこうなったのか、、、」と。それは決して違います。こうして子どものことを本当に心配し、相談される親御さんが悪いなんてはずがありません。「不登校やひきこもりはただの現象であり、人格の是非をはかるものではありません。お子さんの『いいとこ』を親御さんはご存知でしょう?」とたずねると、次から次と、お子さんの「いいとこ」を話してくださります。その「いいとこ」を本人に伝えてあげて、時間がかかるかもしれませんが、それを磨いてあげたり伸ばしてあげれば、必ず、自分で次の一歩を踏み出せるようになります。すると、今まで気づかなかった他の「いいとこ」も自然と見つけられるかもしれません。

まずは「興味や関心の芽生え」から、それが「自立」へのスタート地点

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私たちは、興味や関心の芽生えを引き出すために、色んな体験型のワークショップを実施しています。いつかまたお話ししますが、不登校やひきこもりの子どもたちは小・中学校と不登校で、外出もほとんどせず、パソコンやスマホ、テレビなんかも自分の好きなこと以外では使わないという生活を送ってきているため、ほんっとに、色々なことに興味が無さすぎます。これは、いつか社会に出たときに、挫折する時の大きな要因になってしまいます。なので、どんどん色んなことを今の内から体験してもらい、まずはそこで、面白い・面白くない、なんでもいいので自分自身が体験しないと出てこない様々な感情を引き出すようにしています。すると、「やらされている」という段階から、自分でやりたいかやりたくないかを今までの経験に基づいて「選択する」ようになります。これが「興味や関心」の芽生えに向けてのきっかけとなります。

過去、私がかかわった不登校やひきこもりの子どものうち約2000人からとった「食」に対してのアンケートで、「好き嫌いがある:94%」、「食に興味がない:82%」「毎日おかず(主菜)は変えて欲しい:32%」「好きなおかず(主菜)なら3日続いてもいい:64%」という統計が出ています。生きづらさや発達障がいから、精神疾患などの二次障害に至る経過の段階でアンケートの答えが変わっていきますが(その辺の話もまた今度させていただくことにしますが)、トータル的に見ても、生きていくうえで大切な「食」に対して興味や関心が乏しい傾向にあるのがわかります。将来、働くことなど自活を選択するなら、こういった興味や関心についての感情やその基となる経験値の欠如は致命的なしわ寄せをもたらします。「寝むたいから寝る」「お腹すいたから食べる」だけではダメなのです。「体調管理のために計画的に睡眠をとる」「栄養を考えて適切に食事をとる」という思考にならなければなりません。こういった思考を基本として、その他の生活や仕事をこなしていくことが「自立」につながっていきます。

言い換えれば、「大変な就職活動や自立に向けた訓練をしなくても、『興味や関心』を芽生えさせる環境づくりさえすれば、ちゃんと経済的にも、社会的にも自立できるんですよ」ということです。

皆さんに届けたい。「孤立しないで」

ここんとこずっと、不登校やひきこもりがらみや、虐待など子育てにかかわる悲しいニュースが続いています。国は対策を講じて法律や制度をつくっただけでは、正直これらは無くなりません。そしたらどうすればよいのでしょうか?本当に難しい問題ですが、多くの同じような悲しいニュースに共通するものがあります。それは、被害者、加害者、その家族、皆さん一人ひとりが「孤立」してしまっていたから起こってしまったと考えています。まずは誰かとつながってください。敷居が高いと感じる所や、遠慮して話をしないといけない人ではなく、何でも話し合える人を普段からつくっておいてください。もともと人づきあいが苦手だとか、地元地域であんまり自分たちの家庭のことを知られたくないという方は、まずは私たちでも大丈夫です。あなたのお気持ちを教えてください。地域には、プライバシーを守り、あなたに寄り添って親身に話を聴いてくださる「見守り役」の方が必ずおられます。一緒にその方とつながることもできるので、もしも、ご家庭のことで悩むことがあれば、私たちとつながってみてください。必ず苦しみは和らぎます。

これまでにかかわった6000人の方、ご本人やご家族の方の中には自殺や無理心中を考えていた方も多数おられます。その時点で皆さんは、だれともかかわる気にもなれず、最後の気力を振り絞って相談に来られていました。しかし、私たちとかかわるようになり、だれかとつながりを持つようになり、日に日に元気になり、前に進むようになられました。この「note」が、ご本人や子育てに悩むご家族の方にとって「1本のつながり」となればと願います。

私たちの仕組みだけではまだまだ十分とは言えません。ここ、鹿児島県大隅地域は東京都や大阪府くらいの広さであるにもかかわらず公共交通機関がほとんどなく、家族の送迎が無ければ支援に繋がることができません。特に、一人親や困窮家庭で支援が必要な方のために送迎の仕組みを充実していきたいです。