本音、建前、空気
本音と建前って建前が表(もしくは前)で本音が裏(もしくは後ろ)みたいなイメージで捉えられていると思いますが、これらって裏表とか前後の関係ではなくて単純に目的の違いなんじゃないかと思うのです。
つまり、建前は場の空気を維持するために使って、本音は場の空気を壊すために使うという目的の違いです。
建前は、本心ではどう思っていようがその場の空気を壊すことなく会話を進めることができるというメリットを持っています。従って、ビジネスとか初対面の会話などは空気を崩さないために建前が使われることになります。ただ、建前だけで話しているとずっと同調するしかないですし、空気もテンションも全く変わらないベターっとした関係にしかならないので退屈になってきます。
そんな時こそ本音の出番です。本音を話すことで場の空気を崩して自分にスポットライトを当てるように仕向けたり、新しい会話の空気を作り出すことが可能です。
しかし実は本音と建前はそんなに綺麗に分けられないのではないかと思います。本音と建前が区別できない空間とは例えば飲み会です。
飲み会では、日常生活とは違って本音で話すことがその場の空気(=建前の役割)になって、建前を言うことが場の空気を壊すこと(=本音の役割)になります。つまり、いつもの空間と本音と建前の関係が逆転しているのです。
飲み会が非日常的で楽しい空間になりやすいのは同じメンバーであってもいつもと空気が異なるからでしょう。そういう意味で、いつも固定された空気でしか会話していない仕事仲間との飲み会では特に飲み会によって空気を変更することが有効になります。
もう1ついつもと違う空気になっている空間としてSNSがあります。SNSはみんながスポットライトを浴びるために本音を呟くことがその場の空気になっているので、建前的な発言を言うことが逆にその場の空気を崩すことになってスポットライトを浴びるようになります。これって飲み会でみんなが本音で話しているのに一人だけ当たり障りのない話しかしなくてシラけるのと似ている気がします。
僕らの社会はなぜか建前よりも本音が重要ってことになってますが、本音が重要になるのは建前によって空気を維持しすぎるという条件があってのことなのでみんながみんな本音を表出することを良しとしたら、その場の空気を壊し続けてかえって気持ち悪い関係になるんだと思います。
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