【企業インタビュー】脱炭素化社会以前から環境を意識 意識を世界レベルに上げて先陣を切って活動ーー株式会社日立製作所の事例
脱炭素化社会の推進に向けて、企業はさまざまな取り組みを始めています。
しかし「何をどうすればいいのか」「他の企業はどんなことをしているのか」と考えあぐねている人は多い様子。
パーセフォニジャパンは、先進的に脱炭素化社会に向けた取り組みを進めている企業様にスポットを当て、みなさまが参考にできる実践法をお聞きしています。第3回となる今回は、パーセフォニのお客様である株式会社日立製作所様へのインタビューです。
迷ったり悩んでいる方々の参考になりますように。
■インタビューした企業様
株式会社日立製作所
■お話を伺った方々
株式会社日立製作所 クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット
ITプロダクツ統括本部 マーケティング・サービスマネージメント本部
サービス運用基盤技術センター 鈴木直志様
脱酸素化社会以前から、製造業として環境配慮を意識
ーー貴社の事業について改めてお伺いします。
当社は、主に鉄道、送電、水、ITなどといった幅広い分野の社会インフラ基盤を技術で支える事業をグローバルに展開している企業です。それぞれの事業にて、全社の経営目標・環境目標をもとに、具体的なアクションプランに落とし事業活動を行っております。
ーー脱炭素化社会への取り組みについて、どのような活動をされていますか。
CDPにおけるダブルAの取得や、COP26におけるプリンシパルパートナーへの就任といった対外的な活動に代表されるように、持続可能な社会の実現に向けて、脱炭素の取り組みをステークホルダーの皆様、および当社にとって重要な課題として定義し、事業活動を行っています。
また、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」を宣言し、バリューチェーンを通じて2050年度カーボンニュートラルの達成、2030年度 CO2排出量の50%削減(2010年度比)、事業所(ファクトリー・オフィス)における2030年度カーボンニュートラルの達成に向けて活動をしています。
ーーこうした活動は、今後どう拡大していく予定ですか?
当社トップダウンのコミットメントに対して、我々の事業部でも環境推進に携わるチームを設定し、どうやって事業内で脱炭素にまつわる課題を解決するか、試行錯誤している最中です。
カーボンニュートラルが非常に重要な課題だというのはもはや明白なこと。しかし、事業を拡大すると必要なエネルギーは増加します。従って事業を拡大しつついかに事業を拡大しつついかに二酸化炭素排出量を増加させないでカーボンニュートラルに取り組むかという非常にチャレンジングな状況にあると痛感しています。
自社の事例を通して、悩みや課題、気づきを共有する
ーーカーボンニュートラルな取り組みは、部門によって具体的な活動内容が異なることと思います。鈴木さんの所属部門ではどんな活動をされていますか。
私の事業部では、環境配慮・省エネの取り組みとして、主に2つの観点で持続的な活動を行っております。
一点目は、環境に配慮した製品・サービスの市場への提供、もう一点は省エネを中心とした事業所、主に建屋での取り組みです。
ーーまず製品・サービスの取り組みについて、具体的に教えてください。
当事業部では日頃、ITに関する製品やサービスを開発・設計・製造しております。こうした製品やサービスにおいて、環境に配慮した製品を市場に提供することにも取り組んでいます。
例えば、環境に配慮した省電力ストレージの提供です。また、オンプレ・クラウドによるハイブリットなITインフラ基盤を「as a Service型」で提供する、「EverFlex from Hitachi」というサービスの運用基盤にて、ITリソースの電力消費量・CO2排出量の見える化機能を提供しています。
ーー脱炭素化というと、まずは身近なところから。事業所での取り組みについても気になります。
私の在籍する、神奈川県戸塚市にある横浜事業所では、2012年に建築当時より、太陽光発電設備や外気を取り入れたサーバールームの空調管理といった、自然エネルギーを利用した空調設備や、照明設備への省エネ機器・システムの採用をしています。
また、二重ガラス・ダブルスキンカーテンウォールの断熱効果による環境負荷の低減などに取り組んできました。「我慢しない省エネ」というコンセプトに、まずは建物から省エネに取り組んでいます。
ーーコンセプトが素晴らしいですね。
我慢を強いて省エネをするだけなら簡単なのです。しかしそれだと生産性が非常に落ちてしまう。快適に働く環境を提供し生産性を上げて、なおかつ省エネも実現するということが重要なのです。
そこで、さらに当社の「Lumada」を導入・実証し、建屋環境・設備の見える化をはかることで、従業員の快適な働く環境の提供と、生産性の向上、省エネとを両立させる活動に取り組んでいます。
他社と共に手を取り合い、意見交換しながら改善推進
ーー事業所にご来場したお客様とは意見交換や情報交換もされると聞いています。
はい、そうです。見学にいらっしゃる方は皆さん「環境活動と言っても、どうしたらいいのだろう」という悩みを抱えている方々。
施設の公開は、私たちにとっても、お客様と同じ悩みや課題を共有するという場だと思っています。悩みの共有や、意見交換を行うことで、これまで気づかなかったことや新たな発見を得ることができるからです。
ーーカーボンニュートラルな世界づくりを加速させるために、どんなことが大切なのでしょうか。
ここからは私の意見となりますが。事業部門にとって重要な非財務的な活動を、いかに経営視点でステークホルダーの皆様から評価いただける価値へ昇華させることができるのかが大切だと思います。そして、ステークホルダーからのご意見を事業へフィードバックし、持続的なPDCAを運用できるかということが次に大切なことだと思っています。そのためにも、ステークホルダーとつながり・対話できるプラットフォームが必要です。
対話のフォーマットには、欧州のように「EUタクソノミー」のようなルールで縛る戦略もありますが、オープンイノベーションによるこれでにない事業創造、いわゆる独自性をもった価値創出ストーリーが語れる、自由度が表現できると良いなと感じています。
ーーつながりや対話の重要性を解いてましたが、これはステークホルダーに限らないことかとも感じます。
そうですね。カーボンニュートラルに取り組む、各企業同士で知見や悩みの共有をする場があることも大切だと思います。知見の有無や悩みの有無や幅などさまざまな立場があるかと想像しますが、まずはそれぞれがつながり、意見を共有できることが理想ですね。
そのためにも当事業部は来場者が見て・感じていただくことができるよう、事業所の公開をしています。施設の公開は、私たちにとってもお客様や他社と同じ悩みや課題を共有するという場だと思っています。悩みの共有や、意見交換を行うことで、これまで気づかなかったことや新たな発見を得ることができるからです。
また、対話がもっと気軽にできるプラットフォームが必要だとも感じます。実際にカーボンニュートラルの取り組みを始め、ステークホルダーに繋がる報告をするだけではなく、意見を交換しながら、改善促進していくことが重要だと思いますね。
日立製作所の皆様、ありがとうございました!
最後までお読みいただきありがとうございます。
脱炭素の取り組みが社内外のステークホルダーにとって、価値あるものに昇華させることが重要というお話と継続的に対話していくことが重要というお話がとても印象的でした。
今回の事例を通じて、皆様の活動のヒントが見つかることを祈っています。
それではまた次回、お会いしましょう!