20230211~0218 見た映画と読んだ本について

・見た。『海街diary』。いい映画だった。話はまあ原作があるから準拠しているんだろうなという感じはあり、あんまり言えることはないんだけど、なぜなら原作読んでないから。3月から5月にかけての画面の雰囲気がその季節でしか感じられない光の描写をしていてちょっとびっくりした。前30分経過~60分までの部分と、割と後半部の梅の実を取る場面の辺り。この辺の画面のきれいさだけでだいぶ得したなという気分になった。あの辺の季節特有の、花粉なのか埃なのか何なのかよく分からん粒子が空気中に散っていて緑と黄の中間がぼやけて見える感じがよく感じられる。書いていて思ったけどフィルム撮影していると意図しているよりもそういう風に映るのかもしれない。前30分経過~60分で言えば広瀬すずを(明け透けな言い方になるけど)めちゃくちゃ可愛く撮影しようという意気込みが感じられてよかった。これは茶化して言っているのではなくて、生活環境が変わってそこに馴染み始める、そのようにしようとする一方で、過去の出来事の払拭はまだできていない不安定な感じを往復する様をよく感じ取ることができ、それは広瀬すずをめちゃくちゃ可愛く撮影しようという意気込みなしには成立しなかったんだろうなという気分にすらなるという意味で言っている。全く別の映画の話をするけど『太陽と月に背いて』という95年の映画は「最も美しい時代のディカプリオを映した作品」と一部で言われていて、実際にレオナルドディカプリオというとんでもない美少年でなければあの映画で表現したかった天才詩人ランボーのオムファタール性を表現できなかったのだろうなというあれを思い出した。例えとしては全然適切ではないんだけど、見た印象としての話をしている。『太陽と月に背いて』はいま少なくとも日本語訳のついたDVDは廃盤になっているので、どっかの大学図書館辺りのアーカイブで見るといいと思います。

・見た。『BLUE GIANT』。なかなかよかった。CGはもうちょっと引きの画面だけで使えばよかったんじゃないかなとは思うけど、全体的にはかなりいい映画だった。終盤の改変はどうだろう、いや凄い熱い展開なんだけど、あれをやりたいなら尚更序盤の雪祈の初登場場面は原作に沿った演奏描写(左手だけでソロを弾いて最後の一音だけ右手を使う)にした方がよかったんじゃないかと思った。原作全部読んでるから映画としての評価はあんまり分からないな。原作読んじゃうとそういうことが起きる。それも一長一短だよな。スラムダンクは原作読んだことないから『THE FIRST SLUM DUNK』もめちゃくちゃ面白かったけど、原作読んでいない状態でこの映画『BLUE GIANT』を見てめちゃくちゃ面白いと感じるかと言われると、うーん、と思うかもしれない。でも、東京編はやっぱり面白い。原作では東京編のあとにヨーロッパ編とアメリカ編があって、それももちろん面白いんだけど、バンド全員がきっちり主人公っぽい動きをしているのは東京編の特徴的な持ち味だと思う。高慢な天才ピアニストはきっちり挫折をして、初心者のドラムはしっかり成長する。ブルージャイアントは最終的に主人公の大が世界一のジャズプレイヤーになることはメタ的な描写があって確定していて、大の軸はそれなりの挫折をしても全然ぶれないし、良くも悪くも他人にもそれを求めてしまう。覚悟がめちゃくちゃに決まっている。だからという訳でもないけど、その分だけ他のバンドメンバーのドラマにも焦点が当たってきて、東京編はその辺のエピソードが白眉だなと思う。その辺のエピソードを支えるのが必ずしも主要登場人物だけではなく、モブとの絡みによって救済を得るという構図が繰り返される。「私は君の成長するドラムを聴きに来ているんだ」のおじさんとか豆腐屋の店主とか夜逃げした家のピアノの子とか、東京編のモブは印象に残っているのが多い。聴きに来る人間がいるからより強固に音楽は存在する、というのが東京編の主要なテーマであって、映画はそこをダイレクトに表現していたといえるかもしれない。

・読んだ。以下の2冊。

以上

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