44女初離島⑦聖地なるもの(波照間島 シムスケー)
波照間島に5日いたうちの4日目か3日目頃のことだった。
せっかく島に来たのだから、と、私は集落のカフェに行ったりするのをやめ、島の外周あたりにある、公園や史跡をレンタル自転車で訪れることにしました。その中に「シムスケー(古井戸)」というものがあって、古いものならいってみよう、と思って行ってみました。
波照間島は内陸の中心部に人のいる住居、集落、学校、売店なんかがあり、そこから外へ、海のほうへ坂を下っていくと、ヤギとカラスしかいない膨大な空間が広がります。
(写真:集落を後ろにして、海のほうに行く道すがら)
波照間島のいろいろなところで持ち帰り自由になっている地図を持って、その海の近くにあるいろいろな史跡を訪ねることにしました。まずは、たまたま一番近くにあった「シムスケー(古井戸)」から行くことにしました。
ここからの話は、私からの視点が強い話になりますので、実際の情報とは違うことがあるかもしれません。
聖地
井戸…、井戸がなんじゃろ…、と思いながら自転車をこいでいくと、近くになってパッと雰囲気が変わったのがわかりました。キレイに刈られた草地。
そのなかに、石を積んで作られた穴があって、底には青い水が沸いているところがありました。目を凝らすと、蟹や小さな魚が泳いでいるのも見えます。それがシムスケー(古井戸)でした。県か町の指定史跡のようなものらしいです。日照りで困っていた時に、たまたま牛が水が湧いているのを見つけ、みんなが助かった。その牛はみんなを窮地から救った牛として、とても大切にされて暮らしたそうだ。と、看板のようなものがあって、書いてありました。
そこもさることながら、私はなんだかその周りが気になって、ゾゾっとしていました。地図には立ち入り禁止がなかったし、史跡なのだから訪れても大丈夫だろう、とは思いましたが、それでも何か、入っていいのか? というようなおごそかな感じが漂っていました。
はっきりと「この辺が何か、何かなところだ」という確信はあったのですが、何か目印のようなものがあるのだろうか、と、私は気づけばシムスケーを通り過ぎてもっと道の奥へ歩いていきました。
(※後日談2020/08/15 どうも、きちんと検索しないのも気持ち悪くなって、シムスケーについて検索した。それでわかったこと。実は、この上の写真は今でも公開していいものかむっちゃ悩んだものだった。というのは、…ううん、ここに書く勇気がない。わかる人だけわかって。つまりは、調べたところ、信仰対象ど真ん中のものが写ってました。本当に「…これは何?!!!」って言いたくなる、この世と違う世界の境みたいな物体が写ってます)
(※後日談2022/11/07 チョー回りくどい言い方で書いてあって上の文が気持ち悪かったので率直に書くと、下にある三角の石がなんかとにかく異界のもののような存在感を放ってました。ネットで調べたところ泉を掘りあてた牛を繋いでた石のようですが、そんなんじゃないだろ感。 と同時にこれはとても小さな島のもので、観光地とはいえ本来はご本尊のようなものを写真に撮ってよかったのだろうかと思います…
蝶に導かれる
しばらく歩くとさっきまで道の左側奥の林一帯に感じていた「何かがいる、ある」という感じもなくなってきました。それより、歩いているこの道もなんだかちょっと変わった道な気がしてきました。…これ以上進んでいいのかな…? と思いながら、ちょっと吸い寄せられるように歩いていきました。
すると、見たこともない美しい蝶が3羽、遊ぶように、それぞれに関わりながら、私を「もっともっと奥へおいでよ」とつれていきます
(3羽のうちの1羽。遊び疲れて止まったみたいになってた。そのあと、海ぞいの人のいなそうなところでときどき見たけど、3羽で飛んでるところはまったく見なかった)
3羽はひらひらひらと長い間お互いに遊ぶように関わり合いながら飛んでいた。それは、これからの時代を表しているような気がした。
3羽はやがて「さようなら~」ってばらばらに分かれて飛び、一匹は木に長いこと止まっていた。「ここからは自分で」という意味かと思い、さらに先に進んだ。
ほんの少し進んだあとに、大量に漁の浮きが下がっている場所があり、どうやら「ここで曲がる」という感じがしたので曲がった。
曲がった先は、海につながっていた。
見えた景色に、私は圧倒された。
(それを撮ったのがこの写真ではあるが、自分が見た光景とまったく違うので、載せる意味があるかどうかはわからない)
人類のその先
パッと見て、ここに他の浜と比べて人がほとんど来たことがないことはわかった。そして、例えるなら「猿の惑星の最後のシーン」のようでもあった。
この世の終わり
それを見たような気がした。
一面に広がる手つかずの緑の浜に、大きな大きな漁の浮きや、ものすごい大きい発泡スチロールのようなものが、ドン、ドン、と転がっていた。他の浜には、ペットボトルのようなこまごましたごみもたくさんあったが、とにかく大きいゴミが存在感を放っていた。
私はその光景から知った。
人間が個々でペットボトルを集めたり、ビニール袋を削減する前に、
そもそも大量に生産して、大量に消費するシステムが、
一番環境に負荷をかけていることを…、
人間がたとえ滅んでも、この無機物であるプラスチックは、地球の新たなる生産物として、今後ずっとずっと地球に残っていく。
そう思った。
神の道
見るべきものは見た気がしたので、そのまま引き返して帰った。そして、シムスケーの周りや、その海へ続く道があまりにも普段の風景とは違い、本当に私が行っていいものだったのかどうか恐ろしくなったので、帰ってから宿の方に聞いてみた。
(夕飯。売店の沖縄そばに、売ってた厚揚げをぶっこんで食べる。波照間や石垣島の厚揚げや豆腐は本当においしかった。その様子を見た宿の方が、おひたし(右)を差し入れしてくださった! めちゃくちゃありがたい)
「シムスケーというところに行ってみたんだけど、あそこは行って大丈夫だったんでしょうか」
宿の方「ああ…、看板立ってたでしょ? 大丈夫と思うわよ、看板立ってたんなら」
ということだった。
ところが次の日、別の宿に泊まったときにたまたまゆんたく(ご飯ののちに喋り合う飲み会がある宿もある)で話したら、前の日の宿のおばさまより大分若い、たぶん私と年齢がそう変わらないお兄さんが眉をひそめた。
お兄「あそこか…、あそこはあんまり行かないほうがいいと思う、あそこは(神の道、みたいな島の言葉)があるから…、何日か前に(神職、みたいな島の言葉)の人が、あそこを掃除してたと思うから…」
そうか! だからなんかすごくキレイに整えられてる感じがあったのか…、
シムスケーでペットボトルに水を汲ませていただいた。ちょっとどぶ臭いにおいもしているような気もしたけど、家に持ち帰ったときには、においがしなくなっていたので、発酵させている液体に入れた。
8/25 後日談
実は、最近まで
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