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2024年1月の展メモ+α

2024年1月に見た展のメモです。全く大したことは言ってません。気が向いたら加筆すると思います。


静嘉堂文庫 ハッピー龍イヤー! 〜絵画・工芸の龍を楽しむ

なんとも華やか。コレクションの層の厚さに唸らされる。そこから今年の干支にまつわるものを探してくるのは大変だけど楽しそう。静嘉堂文庫は最後の展示室で企画展の出品作を見ている時、ふと視界の端に入る曜変天目の輝きにいつも驚いてしまう。それ自体が発光しているようにしか思えない。正面切って眺めると掴み所なく、その輝きが逃げてしまうようだ。


東京ステーションギャラリー みちのく いとしい仏たち

これに関しては別途記事にします。私は大変に怒っています。


川崎浮世絵ギャラリー 新版画の沁みる風景ー川瀬巴水から笠松紫浪まで

川崎浮世絵ギャラリーははじめて。近年大人気の新版画、私も例に漏れず大好きなのですが、今回はわかりやすく「沁みる」風景中心。なれど結構バラエティに飛んでいて良かったです。奥山儀八郎の「大船の露頭観音」が不思議で大変気に入った。いつか欲しいものです。


皇居三の丸尚蔵館 皇室のみやびー受け継ぐ美ー(第二期)

なんてこった!はじめて歩いた東御苑の面白さしか覚えていない……!江戸城の姿はあまり残っていないけれど、遺構を辿って歩くだけで面白い、面白すぎる…!大手門近くの売店でセルフガイドなる冊子を購入し、それを手に田舎大名になった気持ちでぐるりと一周。あんまり面白かったので帰りに本屋で江戸城の解説本を買った。松の廊下跡で隣のグループのおじさんが「外国でもしじゅうはちしは〜」と言っていて「それ以上いけない…!」となるなど。それは体位の数や!

鮒侍がよぉ


泉屋博古館東京 うるしとともにーくらしのなかの漆芸美

楽しみにしていた展。住友家の漆器コレクションをくらしの場面別の展示で堪能。あくまで「住友家のくらし」なもので、くらしが別世界すぎるのだけど、実用と観賞用のはざまにありつつも、生活に根付いていた漆芸の魅力がよく伝わる。漆芸ビギナーにもありがたい技法解説もある。京都に行くと象彦を覗いては「なんも買えん」と言って出てくるのだけど、象彦の本気、私今まで知らなかったんだな……

なお、同時開催の伊万里の大皿の展示も予想外の楽しさ。デカさを活かしたダイナミックなデザインは見ているだけでも気分が良くなるものばかり。帰りに近くの南部坂を見る。雪は降ってなかったけど、なかなかの良い坂だった。

是真のチケットホルダーと年パスゲット


三鷹市美術ギャラリー HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美

今月のダークホース!千代紙か〜あんま興味ないな〜〜と思いつつも、柴田是真の漆絵があると聞き三鷹へ。なんですかこれは、実際には近代日本画家の木版多色刷の展じゃないすか。河鍋暁斎や川端玉章のこれまで知らなかった画業の一端としての「千代紙デザイン」を通して、改めて「暁斎らしさ」「玉章らしさ」を捉えることができて面白い(夢二は素晴らしいデザインばかりだけど、イメージ通りではある)。かなりの満足度。柴田是真の亀のやつ好き。


千葉市美術館 サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展/武士と絵画

これまで全く知らなかった(もしくは意識してなかったのかも)鳥文斎栄之の画業を春画以外はまとめてドン。確かにその珍しいキャリアからか、非常に上品な美人画が多く、多くて、多すぎる………ボリュームがすごい上にみんな同じ顔なので少ししんどい。けど、肉筆画はどれも魅力的。一方、サブ展示の「武士と絵画」はセレクトも面白くて、来て良かった〜!と心底思える内容。この流れで見る小林清親がエモすぎる。千葉市美術館は施設としての充実っぷりが凄まじく、コレクション展も分厚い。はじめて知った千葉ゆかりの洋画家、小林猶治郎の初期の油彩はすごく好きになってしまった。あと、美術館周辺がちょっとディープな感じの飲み屋街で、ものすごくお気に入りのお店もできてしまった。日帰り旅行くらいの気合がないと行けない距離だけど、ぜひまた面白そうな展示があれば飲みに行きたい(?)。

美術館通りの不思議な飲み屋、joy’s kitchenさん、絶対また行きます

たばこと塩の博物館 江戸のおもちゃ絵 part2

たばしお、移転してからはじめてでは。私は全く嫌煙家ではないが、たばこの展示で健康被害の話が微塵もない潔さに驚く。強気だっ。肝心の江戸のおもちゃ絵はちょっと暑さで朦朧としてしまいあんまり覚えてない……


東京国立博物館 建立900年 特別展「中尊寺金色堂」/VR作品『江戸城の天守』

人が多すぎる…!みんなそんなに中尊寺金色堂に興味が!?これは全くの体力的な問題でトーハクは苦手なのですが、今回久しぶりに行ってやはりゲソッとしてしまった……東洋館と金色堂だけ〜と絞って行ってさえ、やはり東洋館のただならぬリッチさに気圧されてしまい……VRシアターの「江戸城の天守」はナビゲーターさんが毎回肉声で解説してくれるの地味にすごい。あまりVR感はなかったけど……


サントリー美術館 四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎

今、なんでか全くわからないが、母が井上靖の「本覚坊遺文」を、私が野上弥生子の「秀吉と利休」を読んでいる。日本史にも茶の湯にも疎いので色々確認しながら「小説」として読んでいるわけだけど面白い。戦国時代とは言っても、武将よりはその時代、政治に深く関わっていた文化人に興味があるので、織田有楽斎展はすごくタイムリー。サントリーの展示は毎回すごく面白いとは思わないんだけど、こういう渋めな展示はなかなか良いのではないか。前半は書状が多いとはいえ、ほぼ全てに現代語訳も添えられており(全部だったかも)、当時のリアルなやりとりを垣間見れて楽しい。普通のお手紙が軸装されてるってのも考えたら不思議な話や。茶杓や茶碗の良し悪し、美しさなんかも全然わからないんだけど、「これを名品とする価値観、美意識」を自体が興味深く、またそういった価値観と不可分であるにもかかわらず、物質としてはそういうのとは関係ないですよ、みたいなスンッ……とした顔で佇んでいるのも好きだ。茶道具、面白いのでは。


体力も集中力もないので、1日にハシゴできる展覧会はせいぜい2件。そう考えると結構行った方ではないでしょうか。2月以降5月頭くらいまでは繁忙期なのと、2月はできるだけ映画に行きたいので、行く展覧会はぐっと減ると思われます。

ちょっと足を伸ばして散歩。次大夫堀公園とても良かった。世田谷の本気だ。





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