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プロマネという不条理な職業について

プロジェクトマネージャー(PM, プロマネ)の仕事って一体何なんでしょうか。
もちろん会社や業種、業態により定義は様々ですが、プロマネのミッションは大きく分けて3つに分類できると思っています。

・クライアントのビジネスに貢献すること
・自社のプロフィット(利益)を確保すること
・チームメンバーのメンタルケアを行い、成長を促すこと

上記の全てを達成することでプロジェクトが成功したと周囲から認識されます。
しかし、これら3つはそれぞれ相反するもので、全て達成するにはバランスが重要になります。

例えば、クライアントに寄り添いすぎると工数がかさみ、利益の確保が難しくなったり、長時間労働などによりメンバーが疲弊してしまうでしょう。
利益を確保するために(正当性がない状態で)単価をあげたり、工数を乗せたりするとクライアントからの信頼が下がるかもしれません。
チームメンバーに気を使いすぎて進行が遅くなり、納期に間に合わないなんてことになることもあるかもしれません。

適正な工数・工期を適正なメンバーでプロジェクトを遂行する必要があります。(ザ・理想論)
プロマネはこの相反する3つのミッション全てが上手くいくようにコントロールしなければならないのです。(漂う無理ゲー感)

今回はそんなプロマネを取り巻く不条理な実態をお届けしようと思います。

責任という十字架に磔にされた中間管理職

見出しの通り、プロマネはクライアント・自社・チームメンバーの3つの中心に位置している立派な中間管理職であり、プロジェクトに問題があれば「責任」という便利な単語で叱責されます。

ここでいう「責任」は金銭的や社会的な責任ではなく(そういう責任を取らされるケースもあるのかもしれませんが。。。)、精神的な「責任」になります。
失敗したからといって個人に損害賠償が請求されたり、会社から解雇されたりはされません。(あくまで一般的にはです。限度はあります。)
しかし、あいつはプロジェクトに失敗したというレッテルを貼られます。もちろんそれによる差別的な扱いは社会的に認められませんが、風評や思い込みで精神的に追い詰められてしまうケースがあるかもしれません。

若い頃は失敗してナンボとよく言われますが、「責任」がある以上、失敗は許されないというプレッシャーの元業務を遂行することを強いられます。(そう思っているのは私だけかもしれませんが)

ベストの無いベストプラクティスを追い求め続ける

エンジニアの頃は開発を行っていて問題が発生した場合、先輩に聞いたりインターネットで検索したりすると解決策が見つかることが多かったですが、プロマネになってからはそういった単純な問題はあまりない印象です。

もちろんそれはエンジニアはシステムの問題を解決する一方でプロマネは対人的な問題を解決するケースが多いためです。

対人的なやり取りを行う上で、ベストな正解が無い場合も多く、時には妥協的な進め方をする必要も出てきます。(何をやっても不正解という理不尽な扱いを受けることもあります)
先輩にヘルプを求めた結果、余計に状況が悪くなるなんてことも稀によくあります。

そんな理不尽な状況下でもプロジェクトを成功させるために試行錯誤を行い続ける。それがプロマネという職業なのです。

不条理な状況で合理的な方向を探る

プロマネの重要なスキルに「交渉力」なんて言われますが、その通りで、全ての業務はほとんど交渉みたいなものです。

クライアントとの交渉ごと
・予算
・納期
・仕様変更 など

自社との交渉ごと
・工数(人的リソース)
・見積り
・発注書とか稟議とか など

チームメンバーとの交渉ごと
・進捗
・設計仕様
・品質 など

それぞれからの要望に対する合理性を見出し、相手方(この場合は要望元から要望先)に対する説明を考えなくてはなりません。

時として半ばわがままのような要望が出てくる時もあります。
例えば、チームメンバーから「この仕様は実装が難しい」とだけ要望があったりします。それに対してクライアントにそのまま伝えたらどうなるでしょうか。間違いなく門前払いでしょう。(下手したらクレーム出るレベル)

この場合、「なぜ難しいのか」「どうすれば良いのか」を補足しつつ、可能な限りクライアントの要望に沿う形に落とし込む必要があります。

例 : コスパに訴えかける案
「これは〇〇と言う理由で実装するにはxxくらいの工数がかかりますが、△△のようにすることによってxxくらいの工数に落とすことができます。」
「〇〇で実装可能ですが、長期的に見て変更が入る場合に工数が増大する恐れがあるので△△で実装する方が良いと思います。」
例 : UI/UXに訴えかける案
「xxアプリではこう言う実装がされており、〇〇で進めるよりは△△に寄せていくと使いやすくなるのではないでしょうか」

あとはいくつか案を出して、あからさまな推し案を全面に出して半ば誘導尋問的な進め方をすることもあります。(選べるようで選べない作戦)

言われたまま伝言ゲームをすると相手方にうまく伝わらないので、いかに腹落ちさせて自分の言葉で喋れるかが重要になります。その上で要望元と要望先の思惑にマッチする合理的な説明を考えなければなりません。

「交渉力」と聞くとカッコイイ感じがしますが、結構大変な作業なんです。。。

ハッピーエンドは夢の彼方

もう今までのでだいぶメンタルやられますが、プロマネの試練はまだ続きます。

クライアント、自社、プロジェクトメンバーそれぞれ異なる思惑や目的を持った人達と深く関わっていく中で、プロマネのポジショニングにはいつも悩みます。
過去にクライアントに肩入れしすぎてチームメンバーへの無理な要求が多くなっていったプロマネがチームメンバーにキレられる事件がありました。(キレたのは私です)

ポジションが3つのいずれかに傾くと均衡が崩れるので、それを良しとしない人が現れます。
かといって中立を貫くとそれはそれで「どっちの味方なんだ」状態になります。
みんなにイイ顔をしながら打算的に物事を進める必要があります。(イケメンは辛いよ状態)

そんな中でプロジェクトを進めるために時にはクライアントやチームメンバーと対立したり感情的なコミュニケーションが起こることがあります。
そこであまりに熱くなりすぎると、「結果的に無事にリリースできてあんなことがあったけどよかったね!」な少年漫画的な展開になることもありますが、遺恨を残したまま疎遠になる(または敵になる)なんてこともあったりします。

みんなにイイ顔状態と同様に、いう時は言うけど冷静に一歩引いて熱くならないようにする必要があります(アンガーマネジメント)
そんなことをしていると(自分自身の)プロジェクトへの熱も引いてしまうんじゃないかと怯えることもあります。
感情を殺しすぎて冷静ぶったスカした野郎だと思われないように注意しましょう。

みんなハッピーでエンディングを迎えるためには、自分の感情を抑え、相手の感情を包み込む包容力が必要です(白目)

おわりに

プロマネの悲痛な叫びをお届けしました。
プロマネの方に共感いただけたら幸いです。
エンジニアの方はこれを読んでもっとプロマネに優しくしてもらえたら嬉しいです。

プロマネの仕事は大変ですが、やりがいもたくさんあるので興味があれば是非体験してみてください!(説得力皆無)

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