将棋の呼称こうしよーよ

ご堪能頂けただろうか。
私が全力で韻を踏みに行ったタイトルである。

将来、日本語将棋ラップというジャンルがお茶の間を騒がせる日がきたら
宝くじが当たって脱サラした私だと思っていただきたい。

将棋用語はややこしいのである。
ワイドショーなどのテレビでも確かに厳密に言うと、変だな、と思うことあるが、将棋界以外の方に対してはなんとなくプロのほうが寛大で、ファンのほうが厄介だなと思う。

代表的なのが、
「将棋を打つ」
「この手を打つ」
の「打つ」だと思う。
麻雀や囲碁では正しいが(我々自称雀鬼は「打つ」と書いて「ぶつ」と読む)将棋では言うまでもなく「指す」だ。
「打つ」は持ち駒を使用する時だ。
余談だがこの持ち駒を「打つ」事を子供の頃よく「はる(貼る?張る?)」と言ってた気がするが、プロ棋士でそう言うのは渡辺名人だけな気がする(私調べ)

ワイドショーなどの番組で詳しくないコメンテーターが「打つ」と言っても
プロ棋士が訂正して回るのを見た記憶が無い。
そんな細かい事で将棋は面倒臭いと思われたくないのではないかと思う。

自称マニアみたいな将棋ファンは結構うるさい印象だ。
SNSや中継コメントでよく「打つ」じゃない!「指す」と言え!という
用語警察が現れるが見ていて非常に不快である。
マニアがブームを終わらせるとはよく言ったものである。

将棋について語るなら、こっちの世界を覗くなら、最低限の勉強をしてから来い!それが礼儀だろ!
みたいな理屈かも知れないがお前はいつから玄関掃除を請け負うことになったのか、と問い詰めたくなる。

仮に、芸能人が、(そんなことはあり得ないが)
「俺昔じーちゃんに教わったんで本気出したら羽生名人より強いっすよ!
1試合将棋打ちましょうよ!」
と面と向かって言ったとしても羽生九段なら苦笑いで手抜くような気さえする。(加藤九段ならただじゃ済まないだろうが)

将棋用語の誤用や気になる使用例にはいくつか種類がある。

1:)単純な知識不足
・打つ(指す)
・試合(対局)<-間違いではない。羽生九段も理解を得るために稀に使う
・羽生名人(名人はタイトルでは無く敬称だという誤解)
・下(先手)
・女子アナ?(聞き手の女流棋士)

2:)幼少期に身内から習ったままアップデートしていない
・やり、かしゃ(香車)
・しゃ(飛車)
・はる(打つ)
・「王手!」(教えてくれてありがとう。)
・「飛車取り!」(同上)
・指が離れるまではセーフ(まぁ。ねぇ。)

3:)敬意を欠いた呼称
・藤井クン、そーたクン(藤井二冠)
・ひふみん(加藤一二三九段)
・あのハゲてる人(自粛)

私はこのような気になる言い回しについて自ら訂正して回るような真似はしない。せっかく将棋の話題について触れてくれてる人にわざわざイヤな思いをしたくないし、なにより面倒臭い人間だと思われたくないからである。

しかし、

例えばキャバクラでお嬢に
「こないだひふみんテレビ出てたね!」
と言われた際に
(*私がキャバクラ嬢に全力で将棋の話をするという地獄みたいな時間の件についてはいずれ別記事にて投稿するつもりなのでここでは気にしないで欲しい。)

私もお付き合いして
「ひふみん面白いよね」
と言うのはどうも抵抗があるのだ。

かと言って、
「加藤先生面白いよね」
と応じるのは
実質訂正しているのと変わらないし、なんなら、
「何この人。生徒なの?業界人なの?」
みたいな若干の気持ち悪ささえある。
「いや、将棋ファンとしてはプロをリスペクトし過ぎてダメなのよ。加藤九段か加藤先生じゃないとダメなのよ。」
と突っ込まれてもいないのに自ら言い訳するのもやはり味が悪い。

この場合の正着はあるのだろうか。

さらに肩書きが絡むと正直ファンでもややこしい。

「藤井棋聖と渡辺名人の対局と言えば渡辺棋聖と藤井七段の棋聖戦凄かったよね!渡辺名人は豊島名人を倒して豊島竜王から名人を獲ったのも同時期だったしね!」

など、間違っちゃいないのだろうが何を言ってるんだかよくわからない。

じゃあ、もう一律「さん」か「先生」で統一するのは?とも思うが、
藤井先生、中村さん、佐藤さん、佐々木先生、と言われると結局特定できないのだ。
佐藤さんに至っては佐藤九段、ですら特定できない。
佐藤康光九段にはずっと会長職を続けていただきたいものである。

ということで詳しくない人との会話では

「将棋打てるの?」と言われたら
「将棋できるよ!」

「羽生名人って」と言われたら
「羽生さんはね」

「メガネじゃない人」には
「中村さん?」

「まだ指離してないよ!」には
「そだねー」

「下の人」には
「こっち」

以下

「(藤井システム信者なので歯ぎしりをしながら)藤井さん」
「ひふみんさん」
「木村さん」

など、間違ってはいないが若干ボヤかして誰も不幸にならない言い方をするように心掛けているつもりだ。

だからさ。あんま目くじら立てないでさ、将棋の会話に付き合ってくれる人に感謝してほんの少しでも将棋に好印象持って貰えるようにしようよ、って思うんですよ。

全然関係ないけど、前に近所の子供会的なイベントで昔遊び体験コーナーみたいなやつがあってさ。息子の同級生、当時小学4年生に将棋誘われてさ。
君強いのかい?って聞いたら、めちゃめちゃ強いよって自信満々に言うもんだからさ。
小学生だって強い子はほんとに強いじゃん?習ってる可能性だってあるじゃん?あと俺普通に弱いじゃん?
だからさ。
全然調整しないでやっちゃってさ。
あ。そんな強くない。って気づいた頃には、もう取り返しつかないくらい序盤で酷い目に合わせちゃってさ。
もうどうやっても気持ちよく負けてあげられない感じになっちゃってさ。

ほんとあの時ごめん。
楽しくなかったよね。
将棋好きでいて欲しいってほんと思ってる。



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