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ミルクさんの「起・承・転・結」

今までこのようなスタイルで書かれた短歌を見たことはありませんでした。
ミルクさん曰く起承転結になぞらえたとのこと、「そんなことは不粋だ」とか「過剰な説明は読者の想像の幅を狭くする」とか、そんな声も聞こえてきたそうですが、短歌と歌意についての答えが明確なミルクさんだからこそ作り得たスタイルなのだと思います。
※最近はこのスタイルが少なくなってちょっと寂しいです。

単独一首で日常の中に居続けることは、短歌にとっては相当高いハードルであると思いますが、ミルクさんとその歌はその場所を目指しているのだろうという強い意欲や駆動力を感じています。語彙のない私では表現しきれませんが、額に入れられた記念写真のような一首ということでしょうか。

ジューンブライド(六月の花嫁)を紫陽花に例えた「紫陽花」という投稿も、美しい短編を読んでいるかのような構成です、ぜひ起承転結を意識して読んで頂きたいと思います。
これだけ歌意のヒントになることが綴られていても、短歌そのものにはそれ以上の広がりを感じさせる深みが込められていて秀逸です。花嫁の人となりまでが浮かんでくるようなこんな素敵なプレゼント、いつかは貰ってみたいものです。

※実際のミルクさんの投稿ページには、起承転結は書かれていません。便宜的に付けさせて頂きました。

起(タイトル)
紫陽花

承(序文)
花嫁は紫陽花のブーケを手に教会の中へと歩きはじめました。「心変わり」などという縁起でも無い花言葉も気に掛けず、彼女は嫁いだ先に染まりたいとの願いを込めて紫陽花を選んだと聞いて、賢く謙虚で、芯の強い女性だとあらためて感じました。派手に色づく装飾花の内側でひっそりと咲く本来の花弁や、食すれば中毒を引き起こす葉に自らをなぞらえてしっかりと根を張り始めた君は、いつまでも雨の六月を美しい景色に変えてくれることでしょう。

転(短歌)
曇天に負けじと集うペンライトもう六月は紫陽花のもの

結(あとがき)
本当は雨は嫌いで、その色は青空と夕焼けを間近に置いておくためだと信じたい。

ミルクさん 短歌のリズムで  https://rhythm57577.blog.shinobi.jp/