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ニケが教えてくれた羽の力 ~人間のパフォーマンスとの関連性を探る

こんにちは、パフォーマンスビルダーの三浦千紗子です。
今日は人間の体と併せて彫刻のお話です笑
彫刻??となりますよね、ええ、彫刻です。
タイトルにもある「サモトラケのニケ」。私はこの彫刻が大好きで、その美しさに心を奪われています笑
と同時に、ここに書くからにはそれが人間のパフォーマンスに関連していると考えています。

そのヒントは「羽」。

この羽が人間にどんなパワーを授けてくれるのか。
今日は彫刻からその羽のパワーを紐解きたいと思います。


1、 ニケとの出会い

20代でフランスに旅行に行った時に、ルーブル美術館で初めてニケを見ました。初めて見た瞬間に目と心を奪われてしまったのを覚えています。
人間ならばこれを一目惚れと言うのでしょうね❤
美しいのはもちろん、どこか優しさのようなものもあり、加えて躍動感や疾走感、そして何よりも強さを感じました。
美しさと強さを併せ持ったこの彫刻。
美術館に展示されていた他の絵画や彫刻も見ましたが、このニケがものすごーく印象的で何度も何度もニケの周りをぐるぐるしながら鑑賞したのを覚えています。

ちなみに、このニケはWikipediaによると「ヘレニズム期の大理石彫刻。翼のはえた勝利の女神ニケ(ニーケー)が空から船のへさきへと降り立った様子を表現した彫像」で、「スポーツウェアメーカーナイキの社名の由来。ナイキのロゴはこの像の翼をイメージしたもの」と。


2、 のちに感じた運命

ニケに一目惚れして、その後数年。
私の頭の片隅にニケの姿はインプットされていたものの、そんなことを忘れつつ仕事に精を出していた頃の話です。
クライミングのクライアントさんとのトレーニング中に、ふと私の頭の中にこのニケの姿が蘇ってきました!!
クライミングは手の指から足の指まで文字通り全身を使って登るものなのですが、その際に体のどこを機能的に使うことが大事か。それを説明しようと思った時に、ニケの姿が舞い降りてきました笑
「そう、人間の羽を活かすことが大事なんだよ」と。
「え?羽???」と返答をもらったのは言うまでもありません…。

(このクライミングという競技での体づくりの話はたんまり述べたいことがあります。これも後日記事を書かせてくださいね!)


3、 羽を活かす体づくり

「人間の羽を活かす」と書きましたが、もちろん人間に羽は生えていません。
でも、私は羽のような役割をしてくれる上半身の使い方、活かし方が重要だと考えていて、それこそまさしくクライミングの仕事を通じて身に着けた視点でした。
(“「手」との出会い、その難しさとこれからの楽しみ”参照)


羽のような役割とは、どういうことか、何を指すのか。
体のトリセツ #2 ~手と体の繋がりを考える」でも取り上げたように、人間の体は巻き肩(肩が前に丸まり、猫背のようになっている状態)では良いパフォーマンスを発揮しにくく、逆に肩や腕がいい状態にあると全身のパフォーマンスが向上しやすいという特性があります。
ということは、巻き肩のような状態にならないように、背中の辺りでぐっと何かが体を支えてくれていたら良さそうな感じがしませんか?!
そう、それが私のイメージする「羽の役割」です。
その羽をつくること、それがパフォーマンスビルダーの体づくりの特徴にもなるのです。

例えば、羽をつくることでどんなメリットがあるのか。
要は「グッと体を支えてくれる」という機能なので、

①羽生選手の記事にも書いたように「耐空時間」が変わる

 →跳びやすくなり、空中にいる時間が長くなる
 ※フィギュアスケートはもちろん、バスケットボール、バレーボール、
  ハンドボール、陸上の幅跳びや高跳び、スキーのジャンプ種目等での
  跳びやすさ・耐空時間

バレーボール

高跳び

スキージャンプ

②体を支えてくれる力が向上する
 →コンタクトスポーツ、サーフィンやスノーボードのように不安定な
  状態での安定感
 →テニスやバドミントンなど左右に振られる動きの中での体の安定感、
  クライミングで重力に対抗して動く際の動きやすさ
 →歌舞伎における衣装の重さに対応する体の強さ
 →介護や育児、重い荷物を運ぶ時など腰を始めとした体への負担軽減

バトミントン

クライミング

介護

③足の負担軽減
 →体が良い状態に(巻き肩・猫背ではない)あるために足に過度な負担が
  かからない
 ※マラソンやクロスカントリー、あらゆる球技等で走力を必要とする
  競技における疲労軽減や足の怪我の予防

④足の機能の向上
 ④-1→足をあげやすくなる
   ※バレエや新体操、ダンスなど足を上げやすくし、高く美しく
    リズミカルに使う
   ※スキーやスノーボードなど足に重りをつけて動く際の足の
    使いやすさ
 ④-2→足の一番の機能であるビックエンジンを最大限に活用できる
   ※走る時、跳ぶ時に地面を蹴りだす力の向上

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などなど、簡単に書いてみただけでも羽がもたらしてくれるメリットはここには書ききれないくらいです。

4、 おわりに

ニケがまとっている「美しさや強さ」を、人間の体でも表現できるのではないか。
実際に人間には羽はないので、体づくりを通して羽を体現する。
それがパフォーマンスビルダーの仕事の面白さであり、私の心を捉えて離さない仕事の原点でもあるのかもしれません。

ちなみに、ニケに留まらず、私は彫刻好きです笑
美しい。
以前美大卒の方と彫刻について話ながらお酒を飲みました。とってもマニアックな話で盛り上がりましたが、私の目指す体づくりはもしかしたらはるか昔、古の時代にあるのかもしれません。
見事に時代と逆行していますね笑

画像引用:見出し「shutterstock
     その他「depositphotos

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