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猫界の希望の星になるニャ

以前、猫と腎臓病についての記事を書いたことがあります。

我が家の猫は先日16歳になりました。
上の記事でも書きましたが、猫はかなりの高確率で腎臓病で亡くなります。
毎年の定期健診で、10歳の頃には片方の腎臓の機能が落ちてきていると指摘を受けていました。
あとは片方の腎臓がどれぐらい頑張ってくれるかだねぇという先生の言葉を聞きながらも、どこにも不調を感じさせないぐらい元気な猫を見て、まだまだ先の話だなと思っていました。

さてそれから4年ほど経ったある日、猫があまりご飯を食べない日が続きました。しかし、ご飯に関しては結構わがままで、普段からも特定の銘柄だけを食べ続け、それに飽きると全く口にしなくなり、食べてくれるご飯を何種類も試して、ようやく新たなご飯が決まるという感じだったので、今回もそれかなと様子をみていました。

また盛んに毛玉を吐こうとしているようで、一日に何回もゲーゲー吐いていました。
猫は毛づくろいをして、胃の中に毛玉が溜まると所かまわず吐く習性があります。
我が家の猫は毛玉を吐くのが下手で、何回も吐いて何日もかかってようやく毛玉を吐きます。それまでは胃液だけ吐いたり、ご飯を吐いたりもします。

しかし明らかに吐く回数が多いし、ぐったりとしている感じがするので病院へ連れて行き、血液検査をしてもらうと数値が恐ろしい事になっていました。
いわゆる急性腎不全的なもので、おしっこがうまく出せずに血中の濃度が高くなっている状態でした。
命に係わるという事で緊急入院する事になりました。

と言っても、手術できるものでも無いし、薬があるわけではありません。
まずは点滴をして排尿を促しつつ、クレアチニンやBUNを下げるしかありません。
要するに大量の水分で、血中の悪い成分を薄めつつ、体外に排出するイメージです。
良くなります様にと祈っていましたが、翌日病院から電話がありました。

「怒って手に負えないので引き取りに来てください」

我が家の猫は非常にのんびり屋さんかつビビリで、人を攻撃したりしないのですが、飼い主と離れて知らない場所にいる事が耐えられないようで、シャーシャー四六時中あたりを威嚇してご飯も全く食べず、これでは却って体調が悪化するとの事でした。

そのため毎日点滴に通う事になったのですが、また入院させられると思うのか、病院をかなり嫌がるようになり、噛んだりしないものの治療中もずっと唸り声をあげて、家に帰るとぐったりするような状況になりました。

そんな通院が続いて4日ほどしたでしょうか。朝から明らかに体調が悪そうで、息も荒く呼びかけにも反応せず、時折吐くような状況になっていました。
しかし仕事を休むわけにも行かず、会社へ行きました。
夕方早めに帰宅した家内から、かなり状態は悪い事、病院に連れて行ってもストレスが酷そうで可哀そうなので、このまま家で最期を看取りたいとメールがありました。

これには正直カチンときました。

それはあなたの感傷ですよね!わずかでも助かる可能性があるのは病院での治療だけ、助かるかも知れない命を治療がストレスで可哀そうなどという理由で奪うな!と心の中で思いつつ「いいから病院に連れて行って」とだけ返信しました。

結果的に、ダメ元で与えた薬や点滴などが功を奏したのか、奇跡的に危機を脱する事ができました。
しかし継続して点滴をする必要があるという事で、継続的な通院は人間も大変な事から、自宅での点滴を勧められ今でも週に3回自宅で点滴をしています。
無くなると検査のついでに一か月分の点滴パックや針を貰ってくるのです。

それから2年か過ぎました。
病院で言われたのは、多くの猫は同じような状況に陥るけど、あまり予後が良くない。ましてやあそこまで数値が悪化した場合、在宅で点滴治療を行う事が多いが、そのまま徐々に悪化して持ち直すことなく亡くなる事が殆どである。というか2年経っても元気な例が当院では初めてのケースですとの事。

そのため、同様の症状の猫の飼い主には、この治療で元気になっている猫もいますと伝えているそうです。

そんな我が家の猫ですが、2か月前のちょうど七夕の日に急変し、2日間吐き続けて起きられない状態になりました。
病院に行くと前回をはるかに超える悪い数値で、今突然亡くなってもおかしくない数値ですと告げられました。

通院するも状況は悪く呼吸も辛そうで、一日中カーテンの中に隠れて動きません。非常に浅い呼吸で、肩で息をしているような感じです。さらには呼吸のたびに「ゼロゼロ」という喘息のような音もします。
そしてご飯を食べないのはもちろんですが、水すら受け付けなくなりました。水をシリンジで無理矢理与えると、吐いてしまうのです。

翌日の診察で、胸に水が溜まっている事がわかり、針を何回も刺して150ccの水を抜きました。それで呼吸はいくぶん楽になったようですが、トイレに歩いて行く事もできず、垂れ流すようになりました。

家内は今度こそダメだろうと覚悟を決めていましたが、僕はまだ助かるのでは?と思っていました。本人?から生きようとする気力のようなものを感じたからです。
また一週間固形物を口にしていないので、5.6kgから4.8kgまで体重も激減しましたが、幸い大きい猫だったので、まだ少し体力が残っているのではと思ったのです。
BUNやカリウムの血中濃度が下がって、気持ち悪さが軽減されれば、ご飯を食べてくれるのではないか、そう思っていたのですが、次の日自力で水を数口飲んでくれました。

そして少量ですがご飯も食べるようになり、8日ぶりにウンチを一つしました。翌日からは自分でトイレに行けるようになり、悪くなったり良くなったりを繰り返して、とりあえず1か月かかって、二度目の奇跡の復活を果たしました。

あれからひと月、急に衰えた感はありますし、寝ている時間も長く、数値も平均値よりははるかに高いところにいますが、普通に日常生活を送れるようになりました。
病院でも、今回は難しいかと思ったけどよく復活したねと驚かれました。

まだ本調子ではない事もあり、家内はかなり神経質に食事の量や飲んだ水の量、おしっこの重さを測って細かくノートにつけています。

そんなわけで、来月予定していた旅行も、猫を置いては行けないと言うので、残念ながら中止に決定しましたが、腎臓病の治療をしている全国の猫とその飼い主さんの希望の星になるべく、もう少し頑張っていきます。

おしまい

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