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猫の薬
我が家が猫を飼い始めたのは15年ぐらい前だったかと思います。
一歳になった頃、定期健診を受けるために近所の病院へ連れて行きました。その時先生に言われたのが「猫は歳を取ると高確率で腎臓がダメになって亡くなる」という事でした。
先生の説明では、猫の先祖は砂漠出身(リビアヤマネコ)で、水が容易に手に入らない環境に住んでいる為、少量の水分で生きていけるよう、腎臓で老廃物をろ過して、人間ならそのままおしっこにして出すところを、それをさらに体中に回して、何度もろ過を繰り返して、極限まで水分をリサイクルするようにできている、それだけ腎臓に負荷が掛かるので、みんな腎臓を悪くしてしまうというものでした。
ところが去年、猫を飼っている人たちに衝撃のニュースが発表されました。
東京大学大学院の宮崎徹教授が、猫は血液中の「AIM」というタンパク質がうまく働かず、腎臓を悪くする原因になっていると発表したのです。
具体的にどういう事かとうと、
AIMはたまっては困るさまざまな“ゴミ”に貼り付きます。例えば、尿細管にたまり、腎臓病を引き起こす死んだ細胞、アルツハイマー型認知症を引き起こすタンパク質『アミロイドβ』などに付着して目印になり、マクロファージに効率よくこのゴミを食べさせるのです。ゴミ掃除の機能を強化すれば、多種多様な病気を治療できます。肥満、脂肪肝、肝臓ガンなどもAIMで制御できる可能性があります
という事で、簡単に言ってしまえば、猫は生まれ落ちた時から腎臓に老廃物が溜まり続け、どんどん腎臓の機能が低下してゆく動物だったのです。
宮崎教授は猫の専門家でも何でもなくて、海外で15年間タンパク質の研究をしていた方です。
一般人向けの講演会で、獣医師から猫は腎臓が悪くなって死んでいくという話を聞いて興味を持ち、その原因を突き止めたそうです。
宮崎教授は治療薬の研究開発を行うとしますが、それには莫大な開発資金が必要で、昨年急遽、東大のホームページに寄付の窓口が設けられ、我が家でも万単位で寄付しました。
数週間で2億円を超える金額が集まったそうで、この話を聞いた製薬会社から協力したいとの話が来て、教授は3月で退職し、創薬の研究に専念するそうです。
年内にもネコに薬を与える治験を始め、早ければ2023年の承認申請を目指すとの事で、我が家では心待ちにしています。
上でも書きましたが、猫に限らず人間の腎臓病やアルツハイマーにも効果がありそうだとの事です。
アルツハイマーは治療法も無いし、腎臓病も透析を続けなければならず、治療方法はありません。いつ自分も罹るかわからないので、早く薬が出来て欲しいなと思います。
国もこういう研究にはどんどんお金を出して欲しいなぁ。
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