見出し画像

寝台列車の思い出1

寝台列車といっても、最近は乗ったことが無い人も多いのではないでしょうか。
最近は、なんだか誰が乗るんだか知らないけど、めちゃくちゃ高い豪華寝台列車もあるようですが、ここでいう寝台列車とは、いわゆるブルートレインと呼ばれていや客車や、国鉄時代に走っていた寝台電車、まだ現役のサンライズを指します。

高度成長期からバブルまで日本経済を支えた影の立役者だと思っています。

あまり詳しくない人、興味の無い人の為に簡単に説明すると、飛行機は高くて便も少なく、夜行長距離バスなど殆ど無く、あってもリクライニングもしないような観光バスを流用したものしか無い時代、例えば朝から東京本社で会議があるような場合、地方の人は前日の夕方から鉄道で前乗りしなければいけませんでした。

時間もお金も掛かります。そこで寝台車の登場です。移動は夜寝ているうちにできて朝一から活動できます。寝るのも、狭いとはいえ足を伸ばして寝れるベッド。
時間とお金を節約できる、素晴らしい乗り物でした。

どの列車も常に満席状態で、平日は出張のサラリーマン、週末は旅行客、盆と正月は帰省客で賑わっていました。

さて、乗ったことの無い人にはイメージしにくいと思うのですが、皆さん夜に電車やバスに乗った事はあるかと思います。何なら明かりをつけた自宅でもいいのですが、夜窓の外が見えますか?
室内が反射して外はよく見えないはずです。窓に顔をつけて手で目の周りに光が入らないようにすると外が見えるかと思います

寝台列車は遅い時間になると電気が暗くなります。寝やすいように減光されるのです。そしてベッドはカーテンで囲われますので、中はかなり暗くなります(読書灯はあります)
つまり、窓の外を見ると、夜の景色がきれに見える状態なのです。

日本なんて首都圏を離れると殆どが田舎です。一人窓から流れる夜の景色を見ていると色々な想像(妄想)が湧きあがります。

暗い街灯もまばらな狭い道を走る車を見ると(きっと急なトラブルでこんな時間まで残業になって家路を急ぐ人なんだろう。家では子供も奥さんも寝てしまって、小さな明かりの灯ったダイニングテーブルには冷めたおかずが置いてあるんだろうなぁ) とか

田んぼの向こうの一軒家の二階に煌々と明かりが見えていると(受験を控えた高3のお兄ちゃんが、風呂からあがって髪を拭いているんだな。このあと1時までラジオを聴きながら勉強か・・・頑張れよ!) とか

明かりもまばらな住宅地に突然まぶしい照明と小さな工場が見えてくると(電気部品の下請け工場か。24時間稼働で夜勤の人達も頑張っているな。もう少しで休憩の時間かな) とか

もう、全部勝手な妄想なのですが、日中明るい車内から見たら何とも思わないのに、何故か夜遅い時間に見ると、知らない誰かの存在を身近に感じて、しかも一方的な親近感を覚えてしまうのです。

でもこれが楽しくて、寝台列車に乗ると時間の経つのも忘れて外を見てしまい、寝ているうちに目的地に着くのがウリのはずなのに、毎回ほとんど眠れず睡眠不足で目的地に着くという羽目に陥っていました。

乗った事の無い人には是非一度乗ってもらって、この感覚を味わって欲しいなぁなんて思いますが、僕だけですかね、こんな感覚になるのは。

サンライズ出雲(瀬戸)は、完全個室でカーテンで仕切られただけの寝台とは違って、快適に過ごせます。シャワーもあるし。

乗った事が無い人は、是非機会があったら乗ってみて下さい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?